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【現在、ザリバン高原地帯13時40分】


 仲間の援護のおかげで、無事森の端に辿り着くことが出来た。

 正直、森が近づくにつれ不安になっていた。

 もしも、森の端に見張りが居た場合、這いながら近づいて来る俺の姿は簡単に見つけられてしまい簡単に殺されてしまう。

 だから、一番狙撃の腕の確かなゴードンに頼んだ。

 おそらく彼なら、細心の注意を払いそれを見つけてくれるだろうと。

 そのゴードンの発砲が一度も無かった。

 見張りが居ないわけがないと思っていた俺にとっては、それが逆に不安だった。

 しかし辿り着いてみると、森の端には人影はなく、有るのは死体だけだった。

 機銃や砲弾の破片で倒れた死体が、木々の根元をを覆うように折り重なっている。

“俺たちが奪った命”

 だが奪わなければ、俺たちの命が奪われていた。矛盾があるとすれば自分一人の命を守るために、何十人もの命を奪っていること。自分に、それだけの価値があるのだろうか?

 暗い森を奥に進むと、倒木や落ちた枝が散乱していて足場が悪くなる。

 もはや足音を忍ばせて歩くことなど困難に等しい。

 これが航空機からの20㎜機関砲の破壊力。

 木々の枝という枝が落とされて、銃撃の道が開け、森がここから明るくなる。

 所々に人体の一部と銃が散乱しているが、その数は左程多くはない。

 破壊力に比べると、所詮航空機による攻撃はこんなもの。

 だからいくら時代が進んでも、地上を制圧するためには歩兵が必要となる。

 人の死には、それ相応の犠牲が伴う必要がいるという事か。

 それにしても、敵と出くわさないのが妙だ。

 森に入って出くわすのは死骸ばかり。

 別に俺は殺人マニアじゃないから、敵を殺したくてしょうがないとは思ってはいないので、こちらにとっては好都合なのだが――。

 ようやく、ヤザと狙撃兵が居た場所まで辿り着いた。

 拳銃を構え、注意して近づく。

 しかしヤザは居ない。

 更に進むと、四人の兵士が屯しているのが見えた。

 見つからないように、その周囲をぐるりと周る。

 他に敵は居ない。

 四人は、どいつも銃を地面に転がし煙草を吸って寛いでいる。

 武器はAK-47と、それにRPGが二つ。

 銃で殺るか?

 いや、発砲音に気が付いて輸送機の攻撃に出ている敵が戻って来る危険性がある。

 ナイフ。

 二人は殺れる。

 だが、声を出されて気付かれるだろうし、結局銃を使うことになるだろう。

 RPGが有る以上、見逃してはおけない。

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