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【2年前、リビア④】


 ゾロゾロと尻尾のように付いて来る暇そうな奴等を引き連れながら、自分たちに割り当てられたテントへと進むが、近付くにつれ何故か騒々しい声が聞こえてくる。

「このマカロニ野郎!基地司令や大勢見ている前で恥かかせやがって!」

「しょうが無いだろうが」

「何が“しょうが無いだろう”だ。毎日たるんでいるから、そうなるんだ」

 どうやらフランソワが声を荒げ、トーニを怒っているようだ。

「喧嘩の仲裁は、下士官の務めだよ。それじゃ僕たちは士官用のテントへ行くからね」

 ニルスがポンと俺の肩を叩き、去ろうとするがハンスが付いて来ないので立ち止まる。

「悪いが先に行ってくれ、俺も少し言っておきたいことがある」

 ハンスの返事に、呆れたように両手を肩の位置で広げて見せて「じゃあ、お先に」と、そう言って去って行った。

「でも、潰すと脅されたろうが!」

「ナトーは、俺にそんなことはしないさ、ただの脅しだ。じゃあ聞くけどよぉ。オメーは、あんな美人にキ〇タマ掴まれて平気でいられるのかよ?知っての通り、とびっきりの美女だ。しかもナトーの手ときたら、しなやかで柔らかい。その手が俺の〇ンタマを掴むんだ、これを男として我慢できるかぁ?」

 丁度、俺がハンスと一緒にテントへ入ろうとしたとき、トーニの反論する声が聞こえて来た。

 ハンスが横目で睨む。

「……トーニがギャラリーにニヤけっぱなしだったから、ほら映画で鬼軍曹とかよくやるじゃないか“握り潰す”とか言って……」

 いいわけだという事は分かっている。

 言わなくても、良いと言う事も。

 でも自然に口から出てしまった。

 ハンスが困った顔をして言った。

「顔が赤い。何とかしろ」と。

 慌てて頬を触ると、確かに熱かった。こんなこと、今まで無かったのに……。

「結局、フランソワ。オメー、羨ましいだけだろう」

「なっ、なにぃこの野郎!!」

 テントの中に入ると、丁度フランソワがトーニの胸座を掴んで拳を振り上げた所だった。

「そこまでだ!」

 テントを開けてハンスが言い放つ。

「気を付け!」

 モンタナが号令をかけ、皆がハンスに向かい直立の姿勢をとる。

「何をしている」

 ハンスが尋ねる。

「こいつが、――」

 お互いに声を出そうとする二人を止め、自分の前に立たせる


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