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【4年前4月、中東紛争地域、赤十字難民キャンプ】


「ナトちゃん、今日から新しい勉強よ」

 私がケガ人に包帯を巻いているところに、サオリが楽しそうに言ってくる。

「なんの勉強?日本の事?」

「残念でしたー。無線の勉強よ」

「無線って、あのアンテナに繋がっている機械の事?」

「そうよ」

「でも、なんで?」

「だって無線が使えると、私がここに居ない時でも、お話しできるでしょ」

「えっ!じゃあ勉強したら使っても良いの?」

 私が飛びつくように近づくと、サオリにデコピンされて「チャンと勉強して、使い方とルールを守れるようになったらね」と言った。

 結構勉強が追い付いていたと思った矢先、また新たな勉強。

 学校に行っていないから仕方がない。

 学校では日中に6時間勉強して、学校が終わってからも4時間ほど勉強するらしいから、圧倒的に私の勉強時間が足らない事は分かっている。

 だから追いつくたびに、新しい勉強が待っている。

 勉強をする間サオリやミランと遊ぶことはできないけれど、勉強しているからこそ分からない所を聞きに行ったりすることも出来るから、嫌いじゃない。

 むしろ勉強することで、出来ることが増えてスタッフの人たちに認めてもらえることの方が嬉しかった。

 無線の勉強をしていると、新しい事にも気が付いた。

 それはマイクが壊れたときや、無線機自体が壊れたときの伝達方法。

 もらった教科書にはモールス信号や、手旗・発光などの説明が簡単に載っているだけだったのでサオリに教えて貰った。

 声が届かない離れた丘から旗を振ったり、夜間にその丘から懐中電灯で言葉を伝えられることを知ることが、とても面白かった。

 キャンプから一人で離れることは危険だったので、そのときはミランが付き添ってくれてチョットした遠足気分も楽しめた。

 サオリが出張でいないときには、本当に無線機を操作させて貰ってサオリとお喋りもさせて貰えて嬉しかった。

 勉強をすればするほど、出来ることが増える。

 そしてスタッフ皆の力になれるし、キャンプにいる人たちの役に立つことが出来る。

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