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【現在、ザリバン高原地帯08時55分】


『軍曹、森の敵がこっちに近付いてきます』

 モンタナから連絡が入る。

 おそらく穴の中からペリスコープを出して、見ているのだろう。

「こっちからも確認は出来ているが、もう少し待て。それからペリスコープが発見されるとマズいから、引っ込めて中で大人しく寝ていろ。今のところは、お前たちに出番はない」

『了解しました。頼みますぜ』

 モンタナが電話を切った。

 さっきから、5人のザリバン兵が森の中をウロチョロしているのは分かっているが、それは俺たちが注意深く見ているから。

 お留守番を任されて、あまり危機感を感じていない兵隊が気付く距離ではない。

 あまり早く見つけてしまうと、こちらの練度と警戒レベルが敵に分かってしまう。

 しばらく待っていると、子供に見張りを頼んでも分かるくらい、敵兵が露出してきた。

「ハバロフ、よーく狙って撃て」

「はい――」

 ハバロフが両手でSIG P-320を構える。

 敵までの距離は約300m。

 ちなみにSIG P-320の有効射程距離は50m。

 しかし銃弾自体は2㎞近くまで飛ぶから、当てられない距離でもない。

“パンッ”

 ハバロフが引き金を引いた。

 弾は敵兵の2mくらい上にあった木の枝に当たり、それが地面に落ちたのを見て、驚いていた。

「惜しかったな、すこし距離を意識し過ぎたね」

 そうハバロフに声を掛けて、両手に持ったM-16とM-249を乱射した。

 弾は敵の傍の樹や地面に当たるだけで、敵本人には当たらない。

 ハバロフの方は、そのままSIG P-320を撃ち続けて、ひとりの敵の臀部を霞めた。

「距離感が掴めて来たな。もう少しで当てるコツが掴めるぞ」

 しかし敵は、崖の上からの猛攻に驚いて、直ぐに逃げ帰ってしまった。

 俺たちのところにキースが飛び込んできた。

「2人、抜け道を上がってきます。遣りますか?」

「ほおっておけ。それよりもキース、あの木の上に咲いている赤い花を撃ち落とせるか?」

「花? ですか……」

「そう」

 それからしばらくキースはHK416を使って、花を狙っていたけれど、結局落とせずにいた。


<ザリバン地下壕本部>

 偵察に出ていた兵士が慌てた様子で戻ってきた。

「どうだ?」

 黒い覆面の男が聞いた。

「敵は崖の上に陣地を構えて、そこに6人ほど見張りを置いていました」

「トーチカは、どうだ?」

「無事です」

「中を確認したか?」

 ヤザが聞いた。

「トーチカの傍まで来たところで敵に気付かれてしまいましたから、中は確認していませんが、トーチカの上には今まで通り木の枝で覆われていました。

「抜け道は?」

「抜け道も大丈夫です。2人を上げましたが、敵の横側は丸出しでした」

「……そうか」

 腕を組んだヤザとは正反対に、覆面の男が「ほら、心配することはなかっただろ」と上機嫌に言った。

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