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【Is Paris burning?(パリは燃えているか)㊸】


「よう、姉ちゃん。ナトーとか言っていたな、どうだ俺と取引をしないか?」

「取引?」

「そう、取引だ。俺の持っているマルタの別荘をお前にやろう。金も沢山やるし車もやる。そこでお前は、一生自由気ままに暮らせるってわけだ。コカインが吸いたければ、いつでも送ってやるし、SEXだって好きな奴と好きなだけやればいい。安月給で命を張って悪党共と闘うより、随分いい話だとは思わないか?」

 メヒアの後ろ側にある廊下の向こうに、人影が見えた。

 敵じゃない。

 ミューレだ。

「いいねぇ。ところでマルタ島の別荘って言うのはシーサイドかい? それとも街に近い方かい?」

 メヒアの気を引くために話を合わせた。

「シーサイドだ。商売柄人目を避ける必要があるから、少し街からは離れているが、なぁ~に車をとばせば街になんか直ぐ着いてしまうさ。そうだポルシェ911カブリオレをお前にやろう。オープントップで快適だぞ」

「いいなぁ。私は泳ぐのが好きだけど、泳いだ後、日焼けした肌に水着の後が付くのがいつも気になっていたんだ。人けのないプライベートビーチなら、水着を着ないで楽しめるね」

「ああ、その体でトップレスでいられたら、さぞや男どもが煩く付き纏ってウンザリしたことだろうが、そんなことはありはしない。お前だけのプライベートビーチを楽しむがいい」

「わたし、家事は苦手なんだけど……」

「ああ大丈夫だ、コックがいる。それに若いメイドが5人も。そうだ! 男を雇ってやろう。とびっきり逞しくてハンサムなやつ。種馬だがパイプカットは、しておいてやるから自由に使うがいい」

 窓の向こうからヘリがやって来る。

「やっと迎えが来たぜ、さあナトー、銃を捨ててこっちに来な」

 カウンターの上に、ゆっくりと銃を置く。

 話をしているうちに壁越しにミューレが拳銃を構え、射撃体勢に入った。

 そしてズドンと大きな発砲音が響く。

 壁に大きな穴が開き、撃つはずだったミューレが吹っ飛ぶのが見えた。

「残念だったな。俺は難しい事はよく分からないが、目と勘は良いんでね。お前の僅かな目の動きと、急に話を合わせだしたことで気が付いたってわけだ。それに外が暗くなればガラス窓は鏡に替わる。こいつの間抜けな姿も、そのバーカウンターのガラスにチャンと映っていたぜ。しかしお前は顔やスタイルだけじゃなくて頭もいいし、話もうまい。グッと来たぜ。気に入ったから、そのうちに迎えに行って俺の女にしてみせる。なあに心配することはねえ、薬漬けにすれば直ぐに理性なんざ吹っ飛んでSEXに溺れる女になるさ。あばよ」

 そう言いながら抵抗するレイラをガッチリとホールドしながら、後ずさりして通路の方に向かうメヒア。

 その時だった、突然窓ガラスが割れる音がしたかと思うと、壁に血しぶきが飛んだ。

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