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【現在、ザリバン高原地帯08時50分】


<ザリバン地下壕本部>

 ざわつく地下壕の洞窟の向こうから、その張本人であるヤザが出てきた。

「馬鹿野郎、なにが作戦だ!」

 ヤザは本部に入って来るなり、いきなり覆面の男に罵声を浴びせた。

「どうしたんだ!?」

 驚いて、咥えていた葉巻を灰皿に置く覆面の男。

「どうしたここうしたも、全然基地には今まで通りの敵兵はいるし、戦車だってチャンと2輌ある」

「し、しかし確かに東西の道路では崖を封鎖する爆発音は聞こえたはず――」

「たしかに爆発音は聞こえたが、それが成功したものかどうかの確認はしていないだろう! つまりイリジウムによる通信手段を断たれたときから、敵の反撃は始まっていたんだ。既に西にある出入り口の数カ所には敵が貼り付いていやがるし、洞窟に逃げ込むまでに兵の1/3は塵尻になっちまった。さあアサム様、脱出のご準備を」

「まあ待て、洞窟戦は守る方が有利だから時間は稼げる。東の出入り口から兵を回り込ませれば敵の側面をつけるから事態も変わる」

「東は本当に安全なのか?!」

「ああ、少なくともトーチカは占拠されてはいない」

「見てきたのか?!」

「見てはいないが、占拠しようとすれば、必ず爆発音が聞こえるはずだ」

「敵が崖の上に居たらどうする?!」

「敵の兵力的に言えば、もし居たとしても数は少ないだろうから、救出しに来たアメリカ部隊を全滅させたときと同じように、抜け道を使って背後から攻撃できる」

 ヤザは少し考えて、兎に角偵察を出すように言った。

 もう妄想的な現状確認で兵を死なすのは御免だと。


<崖の上>

「軍曹、モンタナ伍長から連絡です。森の中に敵を発見したそうです」

「よし、替われ」

「はい」

 ハバロフから受話器を受け取る。

 まだ本番ではないとは思うが、受話器を渡すハバロフの手が少し震えていた。

「何人だ?」

『5人です』

「そいつらは、おそらくそこを覗きに来るはずだが、銃を仕舞って隠れていろ。決してこちらから覗くんじゃないぞ」

『了解、任せます』

 次にブラームにも敵に見つからないように、動くなと命令しておいて、キースに抜け道の付近で見張るように命令した」

「了解」

「ああ、ヘルメットは置いて行ってくれ、それからもし敵が上がって来たとしても、俺たちが撃たれるまで手出しはするなよ」

 おそらく敵の5人は偵察だろう。

 俺とハバロフは抜け道から身を隠せる場所に移り、ヘルメットを脱いでキースの分と合わせて敵から見える位置に置いた。

 HK416を構えて、森の中を睨む。

 なるほど5人居る。

「ハバロフ、練習だ。拳銃で狙ってみろ」

「この距離でですか? 遠すぎます。自動小銃なら何とかなると思いますが」

「無理に殺す必要はない。俺はこっちで撃ってみることにする」

 HK416を置いて、手に取ったのは全滅したアメリカ軍の残したM-16とM249。

「ふたつも撃つんですか?」

「ああ、だけど当たらないだろうな。拳銃もこの距離では当たらないと思うから、気楽に撃っていいよ」」

 そう言って明るく笑ってみせた。

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