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【Is Paris burning?(パリは燃えているか)㉜】


 1回目の会議を終えて、俺たちLÉMAT内で配置が決められた。

 エッフェル塔にはマーベリック少尉と第1分隊、ルーブル美術館はハンス中尉と第2分隊、オペラ座はニルス少尉と第3分隊、そしてノートルダム大聖堂は俺たち第4分隊。

「なんで俺たち第4分隊だけ将校が付かないんだ?」

 モンタナの疑問にトーニが答える。

「そりゃあ将校並みに実力のある分隊長が居るからに決まっているだろ。なあナトー」

「違うと思うぞ。だって俺たちの守るノートルダム大聖堂と、ハンスのルーブル美術館は近いからな。それに、将校が足りないからと依頼して、テシューブがどんな将校をよこすかも分からないし」

「近いからって、もし分隊長がモンタナだったら、こういうふうにはならないぜ。なあモンタナ」

「俺に答えを求めるな」

 モンタナがトーニの首根っこを抱えて言った。

「さあ、配置も決まったことだから、これから決起集会で皆で飲みに行くか!」

 皆が賛成の声を上げる中、ナトーだけそれを断った。

「すまん。俺は少し図書館で調べものがるから」

 そう言って部屋を出て行くナトー。

 その後姿を見ながら、いつの間にか来ていたニルスが呟く。

「決して群れの中に馴染まない一匹オオカミ」

「それでいて、いつも群れを見守っている」

 フランソワがニルスに並んで言った。

「飼いならすことが出来たら、最高なんだがな」

 続いて言ったモンタナの言葉に、一同がナトーの後ろ姿を恨めしく見ていた。


 図書館に入ると館長さんが、入り口にある掲示板のチラシの貼り換えをしていた。

「こんばんは!」

「こんばんは。ナトちゃん今日もかい、勉強家だね」

「それほどでも――」

 余所見をしていた館長さんが、1枚のチラシを床に落とした。

 チラシは俺の足元に滑るように来たので、それを手に取る。

「落ちましたよ」

「ああ、これはどうも」

 チラシはドローンの競技会の案内。

 競技会の日にちが、テロの決行予定日と重なっていたので自然に目が行った。

 テロを防げなければ、その場にいる人たちはもちろんだけど、こうした様々なイベントの開催も自粛されることになる。

 人々は気軽に外に出あるけなくなり、観光客も減り街は閑散としてしまう。

 チラシを館長さんの手に渡す。

「ありがとうございます。しかし最近は凄いものですね、こんな玩具が簡単に操作できて空を飛ぶなんて信じられない。私なんか若い頃に何度ラジコン飛行機を墜落させたことか、そのたびにバイトで溜めたお金が吐き出される」

「これは?」

 館長さんの手にある回収されたチラシに目が留まった。

 それはエアガンの競技会のチラシ。

 しかも日にちはテロが行われる日で、場所はルーブル美術館近くのチュイルーリ公園。

 テロの日に、こんなイベントを誰が許可したのか。

 たとえエアガンと言えども、こんなものを持った人たちがウロウロされたのでは警備に支障が出てしまう。

「ちょっと失礼」

 慌ててリズに連絡をしたが、そんなイベントの許可は誰も受けていないと言う事だった。

「館長、そのチラシ貸してください」

「いいよ、どうせ廃品回収に出すだけだから」

 俺は館長から受け取ったチラシを持って、慌てて図書館を出てDCRIに向かった。

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