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【現在、ザリバン高原地帯06時40分】


 ヘリのパイロットに前線基地に寄って、この紙を渡すように言った。

「駄目です。前線基地に寄る飛行計画ではないので、命令書がないと寄れません!」

 命令書……。

 そう言えば、パリを出発するときにハンスから渡された命令書があった。

 ハンスからは“前線基地に着いたら、基地司令に渡せ”と言われたきり、俺は中身を見ていなかった。

 ポケットから取り出して「これが命令書だ!」と言って渡すと、訝しそうにその紙きれを広げて眺めていたパイロットの表情が変わり「承知しました!」と敬礼までされた。

 どんな内容が書かれた命令書か知らないが、効果はあったようだ。

 あとは前線基地が、時間通り行動してくれることを望むのみ。

「スタンレー中尉、頼みがある」

 地図を広げてスタンレー中尉を呼んだ。

「ここから8キロ離れた所に崖がある。崖の下には前線基地から東の村まで通じる道があり、敵はここに爆弾を仕掛けているはず。1時間で行けるか?」

「ああ、敵さえ居なければ行ける」

「おそらく、道中に敵は居ない。そして崖の上にいる敵も数人程度だ」

 作戦の内容を細かく中尉に説明する。

「やってくれるか?」

「OK! それが終わったら、どっちに行けば良い?」

「ここに戻って来て、仲間の仇をうってくれるか」

「喜んで!」

 そう言ってスタンレー中尉は俺の肩を叩いて、部隊を連れて行った。

「キース。このバイクでカナダ軍に伝令を頼めるか?」

 バイクはヤマハの450㏄のモトクロッサー。

「このバイクなら20分で行けます」

「では、これを頼む」

 キースにメモを渡した。

 彼は元モトクロスのプロ選手。

 俺たちにとっては無理かもしれないが、彼が20分で行けると言うのなら、必ずその時間で行ける。

「ハバロフ。トーニ将軍に無線で、ここを撤収する旨伝えろ」

「トーニ将軍?? 撤収するんですか?」


<ザリバン地下壕本部>

「通信傍受! 崖の上です。LéMAT撤収します」

「それみろ。結局彼らは崖の上から何も発見できずに撤収だとさ。ヤザ、お前のお気に入りのナトーも、こんなものだ。残念だったな」

「ナトーがここを発見できない? まさか……罠かも知れない。見てくる」

「おいおい、止めてくれよ。上空には無人偵察機が赤外線で見張っているんだぜ。勝手な行動をされて計画を台無しにしないでくれよ」

「しかし」

「駄目だ、お前にはまだ、やらなければならない仕事がある。最後の大仕事がな」

「前線基地の見張り員からイリジウムで、戦車2台を先頭に約80人基地を出たと報告入りました」

「そら、おいでなすった。ヤザ、準備をさせろ1時間後に出発だ」

「しかし、こんな穴の中に居るだけで、都合よく作戦が遂行できるとは思えない。アサム様、是非私に偵察を!」

「ヤザ、気持ちは分かるが、ここはこの者に従え。これまで奴らのハイテク兵器に何度も泣かされて来たではないか」

「それは、そうですが……」

「大戦果はもう直ぐ。そうだな」

「間違いありません。ヤザさえ従えば」

「では、ヤザ。この者に従え」

「分かりました」

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