【現在、ザリバン高原地帯04時30分】
7個の爆弾の撤去が終わったあとはブラームとフランソワに代り、ジェイソンとボッシュと他に何かトラップが仕掛けられていないか気を付けながら木々を除けていった。
全ての木の除去が終わったときジェイソンが「やっと中に入れるぜ!」と中に降りようとしたのをボッシュが止めた。
「中に降りるのは軍曹が、いいと言うまで待て!」
「すまない。つい、うっかり」
ジェイソンの言う通り、困難な爆弾の除去に成功したという安心感は、思わぬ油断を生む。
このように手の込んだ罠を仕掛けた相手のことだから、除去された際の保険として、もうひとつ仕掛けてあってもおかしくはない。
壕の中には木で作った簡単な床があった。
ただし、その床は地面全部を覆っている訳ではなく、ほんの一部だけ。
なにかの機材を置いていたのか、それとも位の高い人のために作られたのかは分からない。
チョッと、何かの木の余りで作ってみました程度の物なのかも知れないし、特にそれがある事が不自然でもない。
でも、何かが引っかかる。
「ボッシュ、脚を持っていてくれ」
俺はさっきよりもより深く壕の中に入るためにボッシュに脚を持ってもらい、仰向けに体を逆さまにして、壕の地面スレスレの位置で中を観察した。
普通、こういう場合に考えられるのは“地雷”
木の上に降りると、その重さで爆発する。
この場合は、木を取り除けば確認できるし、解除もしやすい。
だけど、何かが違う。
腹筋を使って起き上がり、角度を変えてもう一度中に上半身を突っ込んだ。
ライトで照らしてみると、この角度で、手前側だけ木の板が浮いていた。
“これは……!?”
別にチャンとした建築物ではないのだから、少しくらい隙間があってもおかしくはない。
だけど、この隙間の所だけに人が乗った場合、木の板の反対側は浮いてしまう。
勿論反対側に誰かが乗っていれば、木は浮かないが、浮くと言う事はスイッチに成り得る事だけは確かだ。
踏んだ所に仕掛けがあるのか、あるいは浮いたところに仕掛けがあるのか、それともどこにも仕掛けは無く俺のただの思い過ごしなのかまだ分からない。
位置を変えて、今度はジェイソンにも片方の足を押さえてもらった。
踏むほうに仕掛けが無かったので、浮くほうを見るため。
そしてもし俺が失敗した時にボッシュ一人で足を押さえていたのでは、体が立ち気味になり爆風で頭を持って行かれるので、ジェイソンと片方ずつ持って伏せておくように言った。
浮くほうの隙間に、そーっとナイフを忍ばせると、やはりワイヤーに当たった。
地面をナイフで掘って、手が入るようにして、指で摘まむ。
引っ張られた拍子で外れて爆発するのか、それとも引っ張られて爆発するのか、指の感覚だけで探る。
100パーセント確信があるわけではないが、どうやら引っ張られて爆発するタイプのようだ。
ニッパーでワイヤーを切ろうとした瞬間、嫌な予感がして止めた。
目では見えないが、このワイヤーはさっきまでのワイヤーより、やや太くて少しだけ柔らかい。
“なぜ、同じワイヤーじゃないんだ?”
答えは明白。
仕掛けが違うから。
俺は地面を掘った。
掘って、掘って、掘り進むと、1個目の爆弾が出てきて、その爆弾の下にも、もうひとつの爆弾らしきものにワイヤーが伸びていた。
そして、下側の爆弾に付いているワイヤーは、糸のように細い。
おそらく上のワイヤーを切った拍子に、下の爆弾は落ちて爆発する仕組み。
なら、1個目の爆弾ごと抜くか……。
『起爆装置には科学的に薬品を反応させるものと、機械的に起爆薬を叩くもの、電気的に爆発させるものがある。俺たちがいつも使っている手榴弾は機械的なやつだが、テロリストが多く使うのは科学的なやつ。時代遅れだが二種類の薬品を混合さえできれば爆発するから厄介だ。つまり引いたり押したり、その使い方によって簡単に分けることが出来る』
不意にトーニの言葉が、頭を過った。
ワイヤーを切った拍子に落ちて爆発するのなら、下の爆弾に付いているのは押し込むタイプ。
だけど、もしもそれに引っ張って爆発する信管も付けられていたとしたら、細工の仕方次第では落しても引っ張っても爆発する。
時間は掛かるが、また掘り進むことにした。
土の柔らかさが、その細工をしたことを物語っていた。
そして掘り出した2個目の爆弾には、やはり信管が2個セットされていた。
慎重に2個の爆弾を抜いて地面に寝かせてワイヤーを切った。
上体を起こして壕から出る。
「おつかれ! もう起きていいぞ」
「あっ、ああ……」
ジェイソンとボッシュが顔を見合わせて、モジモジしながら立つ。
様子が変だと思って見ると、リビアに赴任したときのトーニのように2人ともズボンの前を膨らませていやがった。
2人に脚を持たせたのは俺。
そして、その押さえた足……つまり2人の顔の先にあったのは、その2本の足が体に繋がり一つになるところだけど、こんな非常時に“まったく男って奴は”




