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【Is Paris burning?(パリは燃えているか)⑦】


「9.11の時は世界貿易センタービルだったわ。ナトちゃん、あなただったら何処を狙う?」

「……凱旋門かエッフェル塔。だけど石で作られた凱旋門や鉄塔のエッフェル塔を壊すのは容易じゃない。アメリカのように航空機が市民の足なら可能かもしれないが、ヨーロッパの空港はどこもセキュリティーが厳しいから、そう簡単にはいかないだろう。だから俺がやるとすれば、ノートルダム大聖堂だ。事故で燃えたあの日のパリ市民の悲しみは忘れられない」

「そうかぁ~ノートルダム大聖堂。良い線つくわね」

「エマは?」

「私は、ボルドーで開かれるサミットがターゲットだと思っていたわ」

「「……‼」」

「「サミットの期間中にノートルダム大聖堂襲撃!」」

 俺たちは、お互いの目を見合わせたまま飛び起きるように席を立つとエマが俺の手を取り。駆けだした。

「こら! どこへ連れて行くつもりだ!」

「私のオフィスよ!」

「対テロ対策の提案書だな」

「察しが良いわね」

 振り返ったエマが、子供のように無邪気な笑顔を見せた。

“まったく、思い立ったら即行動。まあ、そこがエマの好い所なのだが……”

 手を引かれたままオフィスに入り、人波を薙ぎ倒すようにドカドカと、その奥にあるエマのデスクに入った。

 先ず広げたファイルは、サミットの警備計画書。

 その中には警察や軍の配置表とタイムスケジュールが地図上に細かく、しかもびっしりと書かれてあり、決して失敗は許されないと言う警備に対する決意が窺えるものだった。

「凄いね」

「そりゃあ、まあ各国のトップを招いた行事だもの。警備上の失敗は許されないわ。RAID(フランス国家警察特殊部隊)は、ほぼ総動員よ」

 動員部隊名簿の方には、警察やRAID、DGSEの他にもCOS(フランス軍特殊作戦司令部)に所属する国家憲兵隊、陸軍の第11落下傘旅団、第13竜騎兵落下傘連隊、第54通信連隊、第27山岳歩兵旅団。

 空軍特殊作戦段、第10落下傘コマンドー。

 海軍コマンドーのユベル、ジョーベル、トレペル、ド・モンフォール、ド・ペンフェクトなど錚々たる部隊が名を連ねていたが、その中に自分の所属する傭兵特殊部隊LéMATの名前が無かったのが歯痒かった。

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