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【Is Paris burning?(パリは燃えているか)②】


 収容所を出てエマの家に向かう。

 俺たちの世界とは真逆のような、華やかで自由な活気あふれるパリの街並みを抜けると、白い大きなマンションに着く。

 入り口にあるセキュリティーシステムに、教えて貰った暗証番号を入力するとロビーの入り口のドアが開き、中に入って一階のインターフォンでエマに来たことを知らせる。

 さすがにDGSE御用達のマンションだけあってセキュリティーが確りしている。

 ガラスドアの向こうにあるエレベーターが降りて来て、そこからエマが出てきた。

 厚い防弾ガラスの向こうで、エマが端末の操作をして、ようやくドアが開いた。

「ごめんね。面倒でしょここのセキュリティー」

「仕方がないようだね、なにせDGSEの上級幹部だから」

「まあ大尉だから、上級とまではいかないけれど」

「いつ誰が来たかなんて、上に筒抜けだな」

「そこまでプライベートに関しては厳しくないけれど、場合によっては直ぐ調べられるわよ」

「俺は大丈夫なのか?」

「ナトちゃんは素性が明らかでないから調べられるかも」

「面倒だな、じゃあ会うのはこれっきりにしよう」

「嘘よ。リビアをザリバンから救った英雄ですものフリーパスよ。だからいつでも遊びに来て頂戴」

 俺の腕を掴んでエマが言った。

 嘘ではないと思ったが、俺の素性についてはDGSEでも屹度調べているに違いない。

 俺の隠していることや、俺の知らないことも……。

「なに難しい顔をしているのよ。昔。ナトちゃんが何処で何をしていたとしても、関係ないわ。大切なのは今のナトちゃんだから気にしない気にしない」

 2人でエレベーターに乗って17階で降りた。

 通路のあちこちに監視カメラがあり、死角の無いように設置されている。

「これって記録だけ? それともライブ?」

「両方よ、まったく嫌になっちゃう」

 部屋の鍵は無くて顔認識。

 しかも最新式の光の出る、瞳孔反応付き。

 そしてドアノブは心拍数測定機能付きの、指紋認証。

「酔っぱらって帰ると、空かないんじゃない?」

「一応、数パターン登録してあるから開くけれど、開きにくいのは確かね」

「開かなかった事ってないの?」

「そうねぇ――手術してまだ麻酔が抜けきらないうちに戻っちゃった時くらいかな」

「そのときは? 管理室に言って開けてもらったの?」

「ううん。管理室でも部屋の鍵は開かないのよ。ナトちゃんなら、どうして開ける?」

「銃でロックを壊す」

「残念! 扉は戦車並みの防弾版よ」

「なら、TNT爆弾!」

「惜しい! 実は扉の強度よりも床の強度の方が弱い作りになっているから、TNTで扉を爆破したら床に大穴が開いて、扉は開いても中には入れない仕組みになっているの」

「凄いな……じゃあ、どうやっても入れないじゃないか。もし中の人が自殺してしまったら永遠に開けることは出来ないのか?」

「ううん。DGSEの本部からだと遠隔で開けることが出来るよ」

 話しながら部屋に入り、ハンガーが目に付いたのでいつの間にか上着を脱いで、それに掛けていた。

 エマが、その様子をジッと見て「脱いだわね」と意味ありげに言ったので「ゴメン。勝手に使っちゃいけなかった?」と謝る。

「いいのよ。……ただ、自分から脱ぐ習慣がついてくれて嬉しいの。ドキドキしちゃったわ」

「そっ、そんなつもりじゃ――」

 いきなりエマに抱きつかれて、言い訳をしようとする唇を塞がれた。

 いつもにも増して、濃厚なキス。

 唇が離された時には、もう頭がボーっとしていた。

「さあ、ベッドはこっちよ」

 エマの柔らかい手に引かれるまま着いて行き、そのままベッドに横になりお互いの唇を求めあう。

 いつの間にか、ベッドから落ちる脱ぎ散らかされた衣服。

 顔を上げたエマが俺を見つめて言う。

「あら! ナトちゃん、これって勝負パンツ!?」

「うるさい……」

 俺はエマにしがみ付き、その口を塞いだ。

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