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【現在、ザリバン高原地帯19時30分】


 外装の大部分が防弾の樹脂で覆われたC237は一旦火が付くと、その樹脂素材自体が可燃物となり、よく燃えた。

 日の落ちた高原が赤々と照らされ、まるで直ぐそこに夕日が沈んでいくような神秘的な感覚に陥る。

 その夕日の影からヘルメットを被った影が、ひとつ、そしてもうひとつと現れてくる。

 救援部隊の兵士達だ。

 俺はライトを点滅させて、その影に味方であることを知らせると、20人ほどの影がゆっくりと近づいて来た。

 ジムのように横幅があり体格の良い影。

 背の高いスマートな影。

 背が高くガッチリした影――。

“モンタナ、ブラーム、フランソワ!?”

「よう! 墜落した輸送機で大勢のザリバン兵を蹴散らしている奴がいると聞いて、凄いヤツだと思って来てみたら、やっぱりナトー軍曹だぜ」

 燃え盛る輸送機を背にしている彼等からは俺たちのことが良く見えるけれど、俺からは黒いシルエットしか見えない。

 でも、その声は確かにモンタナの声。

「モンタナ!」

「軍曹、怪我はなかったですか?」

「ブラーム!」

「また勲章ものだな」

「フランソワ!」

 到着した救援部隊はLéMAT第四分隊に傭兵普通科師団の二個分隊。

 その後からもジェイソンやボッシュ、衛生兵のジャン特務曹長たちが続いてきたけれど、待ち焦がれているひとつの影が見当たらない。

「隊長はパリに居る。来ないのか、それとも遅れてくるのか分からないが、事務的な事で今手が離せないらしい」

 ブラームが教えてくれた。

「そうガッカリするなよ。何なら呼んでやろうか? 無線でナトーが死にそうだって言ったら、紙っきれなんてフッとばして飛んで来ますぜ」

「やめろ。縁起でもない」

 そう言って、揶揄ってきたモンタナを注意した。

「LéMATか!」

 そう言って、今度はこちらからゴードンが話し掛けてきた。

「ああ、俺の仲間たちだ」

「こんなところでLéMATに会えるなんて光栄です。アメリカ軍山岳師団のゴードンです。こっちは機動部隊のジム」

 モンタナはジムを見て「いい体格をしているな」と、少しライバル心を燃やすように言った。

「いいえ元NFLの名フォワードだったモンタナ選手には敵いませんよ」と謙遜して言った。

「その他のメンバーも墜落組か?」

「いいえ、俺たちは救助に救難ヘリで真っ先にここに到着した部隊です」

 負傷している少尉と、その向こうに居る負傷兵たちを見て「派手にやられたもんですな」と言うと衛生兵のジャンに目で手当ての合図をした。

「ところで安心してくれるのは嬉しいが、状況はそうでもないです。敵の激しい抵抗に遭い、こちらも多くの負傷兵を出してしまいましたし、それに武器は持っているが、もう弾薬が左程ありません」

 モンタナが済まなそうに状況を説明した。

「弾薬の心配は要らない」

「でも、輸送機があれじゃあ……」

「チャンと運び出してあるよ」

 そう言うと、俺の後ろでジムたちがリュックに入れた弾薬を見せた。

「さすが軍曹だぜ」

 それを見てブラームが褒めてくれた。

「打ちまくるだけの、どこかの分隊長代理とは違うな」

 続いてフランソワが言い「しかたねえだろ」とモンタナが笑った。

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