表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/234

【現在、ザリバン高原地帯17時30分】


 谷に降りていた7人を全て狙撃し終わった頃、ゴードンとジムが戻って来た。

 横たわる7つの屍を見て「もう下の奴等をやっちまったのか」とゴードンが驚いていたが、俺は上の道を逃げ惑う敵に的を合わせながら「M82だからな」とだけ答えて「そっちは、どうだった?」と聞き返した。

「駄目だ、すぐ150m先で尾根が切れて崖になっているから、その向こうに行くにはかなり大回りしなくてならない」

「そこから向こうの崖の上に居る敵や、ジェリーの居る谷は見えたか?」

「いや、見ることは出来ない」

“ズドンッ”

 道の先頭きって逃げる敵を撃つと、転がって崖から落ちた。

「じゃあ、敵も尾根伝いに直ぐにこっちには来れないということか?」

「そうなる」

「じゃあ、守りやすそうだな」

“ズドンッ”

 8人目の敵が倒れる。

「どうする?」

「もう一度すまないが今度は下側を偵察して、安全に谷を進めるルートがないか探してくれ。ジェリーたちはこの谷に転がっている敵の中で、一番下にある二人の死体の間にある茂みに潜んでいる」

“ズドンッ”

「了解。ジムは置いて行こうか?」

「いや、尾根が切れていることが分かった以上、ここは当分安全だ。それより味方に押し戻されて先に逃げ帰ってくる敵がそろそろ出て来るかも知れないから、それに遭遇しないように注意しろ」

「了解」

“ズドンッ”

 ここで10発撃ち、同じ数の敵の屍が転がった。

 M82は良く当たる。

 欠点があるとすれば、その12.7mm弾。

 こいつは威力があるが、その分硝煙も多く出る。

 そのおかげで敵から、こっちの場所も特定されやすい。

 だいぶ敵の射撃も正確になって来て、直ぐ近くを銃弾が飛翔する嫌な風切り音が耳につくようになったところで、場所を移動することにした。

 そして銃も。

 HK416にスコープを取り付けて、狙いを定める。

“パンッ”

 先ずは“お試し”

 動きのない、伏せた姿勢で銃を撃っている敵目掛けて銃を撃った。

 少し斜め右上に逸れたので、スコープを調整して2発目を撃つ。

 高さは合ったが、今度はやや左にそれたので修正して撃つと、当たった。

 次は崖にできた僅かな縦の窪みに、体を無理やり埋めて反撃している敵を撃つ。

 弾は当たったが、やや右に逸れたので修正してもう一発お見舞いすると、まるで座り込むように体を崩した。

 5.56mm弾は風に流されやすい。

 その上、HK416の直接照準時の有効射程は400~450m。

 スコープを使うことによる弾道調整で有効射程は伸ばせるが、風による不規則な空気の流れは調整できない。

 風を計算に入れて位置を少しずらして、今度は崖の上に居る奴を狙って撃ち13人目を倒した。

 死んだ敵兵には悪いが、これでHK416のset upは出来た。

 崖の下と直ぐその上にある道に居る敵は排除でき残るのは崖の上に居る敵だけになったが、これを完全に排除することはこの位置からは困難で、正確な人数も把握できていない。

 約500m先のガレ場に銃弾が届くのは、発射してから約0.6秒かかる。

 銃弾を通さない岩の陰から、狙撃を警戒して少し顔を出してまた直ぐ引っ込める敵の行動と不規則な谷の風を考えれば、ここは無理に狙撃するよりも視野を広く持ち大まかな人数をもう少し正確に把握しておいた方が良さそうだ。

 そう思って元居た場所に戻り、銃を双眼鏡に持ち替えて敵の動きを観察していた。

 勿論そんな時にも、うかつな敵を見つければ容赦なく狙撃したし、攻撃を止めない事がゴードンとジムの援護になる。

 ここに来てから俺だけが銃を撃っているので、敵も狙撃兵が一人いるだけだと思って

いてくれれば有難い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ