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Grim Reaper(死神)  作者: 湖灯


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【現在、23時10分、ザリバン山岳地帯高原】

挿絵(By みてみん)

 20キロほど向こうにある山が赤く燃えていた。

 おそらく1号機の墜落地点。

 あっちは不時着が出来ずに、そのまま墜落したのだろう。

 月明かりと、その炎のおかげで負傷者の捜索はし易かった。

 機外に放り出された兵士の中に、生存可能な者は極端に少なかった。

 ほとんどの者たちが、胴体から伸びているはずの体の一部を失っていた。

 まだ息のある者もいたが、損傷の程度が激しくて手に負えない。

 動かして余計な痛みを与えるよりも、そのままにして静かに永遠の眠りについてもらう方が彼らのためだろうと思い、水だけをやって放置する。

 機に戻る時、今現在動くことのできる俺以外の六人を集めてミーティングを行った。

 先ずは各自の階級と、所属部隊を把握しておこうと思った。

・レイ伍長、イギリス陸軍通信兵。

・ゴードン上等兵、アメリカ陸軍山岳歩兵。

・ジム一等兵、アメリカ海軍海兵隊機械化砲兵。

・ゴンザレス一等兵、アメリカ海軍海兵隊歩兵。

・フジワラ伍長、傭兵、普通科教育隊。

・キム一等兵、傭兵、普通科部隊。

 詳しい戦歴などは知らない。

 今動ける中に、衛生兵がいれば有難かったが、もともとの数が少ない上にこの惨状では仕方がない。

 俺は、この少ない人数の中から先ず周囲の偵察にゴンザレスとキムの2名を出すことにした。

 通信兵のレイ伍長が使える短距離用の小型無線機を見つけてくれたので、それを持たせ、ここから半径2キロを偵察するように命令した。

“チッ”とキムが小さく口を鳴らすのが、耳に入る。

 傭兵の場合、全ての兵士が信用に値するとは限らない。

 通常なら、命令に少しでも不満のある兵隊は使いたくないが、人数がこれだけでは仕方がない。

 使える頻度、信用の高いものを傍に置く必要がある。

 世界一勇猛な戦士と名高いアメリカ海軍海兵隊員とコンビを組ませれば先ず間違いはないだろうと思い、海兵隊員のゴンザレスと組ませた。

 二人を偵察に出したあとゴードン上等兵に、この辺りで一番見晴らしの好い所を探し、そこで警戒任務に当たるように命じ、フジワラ伍長には機体の周りを警備するように命令した。

 フジワラは傭兵だが教育指導部隊員だし信用は出来そうだ。

 そしてレイ伍長に長距離用の通信機が使用可能か、または修理可能か調べさせ、俺とジムの二人でとりあえず生存可能な負傷者の手当てをすることにした。

 手当を始める前に、先ず燃えそうなものを集めて火を付け、そこに携帯用のスコップを放り込む。

 俺たちに出来ることは限られている。

 それに、いつ救助の手が差し伸べられるか分からない。

 現在時刻は23時、救助が来る時間を明日正午過ぎとして、それまで充分生存の可能性のある重傷者を優先的に探す。

 俺が負傷者を見る。

 生存可能と判断した兵士の傍に目印を置いていく。

 その間、ジムに医療用の部材を探してもらう。

 赤十字のマークの付けられた箱は、飛んで行ったシェリダンⅡによって粉々に砕かれていたが、それでも少しだけ点滴と輸血用の血液、それに抗生物質とモルヒネ、消毒用アルコールなどがあった。

 他には、死んだ衛生兵のバッグと、機内に常設されてある救命用具が使えた。

 外科手術の道具は見つからなかった。

 裁縫道具を持っている奴も、そうそう居ないだろう。

 だから傷口を塗って治療することは出来ない。

 傷の程度によっては絆創膏を使うか、最悪焼灼(しょうしゃく)止血法(しけつほう)を使うしかない。

 傷口に焼けたスコップを当てると、殆ど決まって大声で悲鳴を上げて気を失ってくれるから、その後の消毒や化膿留めの措置が楽になる。

 赤十字の難民キャンプで、サオリやミランに教わったことが役に立つ。

 怪我人の治療は厄介だった、治療してやると言うのに激しく抵抗する奴には、ジムの怪力が役に立った。

 この大男に押さえ込まれたら、殆どの奴は自由を奪われる。

 稀に、ジムの怪力をもってしても適わない猛者が居る。

 重症のくせに、どんだけ元気なのか。

 そんな時はジムのパンチをお見舞いさせる。

 まあ、鼻が折れたり当分顔が腫れたりはするが、死ぬよりはマシだろう。

 重症者の治療が一通り終わると次は、軽症者の治療。

 骨折者の手当てが主になる。

 当て木と包帯が沢山要るので、ジムに当て木に使えそうな木の枝を探しに行かせる。

 重症者の手当てで包帯は使い切ってしまったから、死体から衣服を剥ぎ取り、それをナイフで切って包帯の代用とした。

 軽い骨折もあれば酷い奴もいた。

 手当をしているとき、隣の目印の付いていない重傷者が助けを求めてくることもしばしばあったが、俺は無視した。

 残念ながら、君は朝まで持たないから。

 30名ほどの兵士の治療が終わる頃には、薄っすらと空が明るくなりかけていた。

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