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【2年前、リビア“Šahrzād作戦”㉜】


「おっせえなぁ~、あいつら一体何してやがるんだ?」

 そう言って、一人が正面のドアの方へ向かった。

 こいつがドアの向こうに出たときが最大のチャンス。

 先ず一番手前の敵に襲い掛かる。

 折角後ろを向いてくれているので延髄蹴りで一気に倒し、傍に立てかけてあった銃を後方に払い除ける。

 銃の傍に居た敵が銃を手に取ろうとしたので、その手を蹴りつけると銃を離して足を受け止められてしまった。

 俺はそのまま体を回転させて、掴まれていないほうの足の踵でコメカミを蹴ると、敵は倒れた。

 正面の敵が、銃を掴んだ。

 俺は今倒した敵が取ろうとした銃の先端を握り、ブーメランのように投げつけた。

 狙い通り銃床が敵の顎を捉えようとして、とっさに避けようとした敵の手から銃が離れた。

 飛び込み前転の要領で一気に敵の懐に入ると、そのまま背筋を伸ばして頭頂部が敵の顎意を捉え、そのまま側転して敵に備えて身構えた。

 しかし、もう敵はいなかった。

 立っているのは、俺の正面にクリーフ。

 クリーフの前には、彼が倒した男。

 そして正面のドアからムサとエマが入って来た。

「凄いね君。いったい何者?」

 クリーフが驚いて、俺の手を掴む。

「今は、アマル・ハシュラム。エマの従妹だ」


 外に出た5人は、ムサと、応援に出たエマの二人によって伸びていた。

 エマは自慢そうに、携帯のスタンガンをパチパチと言わせていた。

 なるほど、その手もあったな。と思った。

 捉えられていたエージェントの縄を解き、今度は捕らえた10人の縄を結ぶ。

 結びながらエマに話しかけた。

「エマが正面に回って、ムサを助けてくれたんだね」

「だって、ここに居てもどうせナトちゃんが敵を簡単にやっつけてしまうから、私の出番なんて無いでしょ」

「それだけじゃ、ないだろ」

 俺がそう言うと、エマの顔が赤くなるのが分かった。

「さて、ここからどうする?」

「そうねぇ~。問題は、この倉庫にある品物ね」

「何がある」

「武器よ」

 エマが、箱の一つを開き、中を見せた。

 中にはAK47が綺麗に並べらえてあった。

「部隊を呼ぶか?」

「駄目よ。回収した武器は、いつか誰かがどこかに横流しして再び私たちを襲うの」

「本当なのか?」

「残念ながら、世界はそういう仕組みになっているみたいね」

「だったら、どうする?」

「燃やしましょう。そしたら誰ももう使うことは出来ないわ」

「捕虜たちは?」

「そうね、捕虜たちには申し訳ないけれど、火災に巻き込まれた事にでもしましょうか?これだけの武器が燃えるのだから、おそらく死体も残らないわ」

「それは駄目だ、依頼主との約束を破るようなことは出来ない!」

 俺の睨む目を見て、エマがクスリと笑う。

「嘘よ。でも、そう言うことにしておけば、この人たちだって助かるのよ。開放なんかしてみなさい、直ぐに責任を取らされて10個の首が落ちるのよ」

 そう言って、携帯でどこかに連絡をしいた。

 直ぐに観光バスが来た。

「これを手配したのか?」

「そうよ。これから沢山のエージェントと共に、仲良く国外に出てもらうの」

「捕らえたエージェントの仲間に、今度は捕らわれるっていうことか」

 観光バスの車内には大勢の外国人。

 これが全員エージェント。

 そして、この中に混じって捕虜も乗せられて観光バスが出発した。

 行先はフランス。

「捕虜たちは、どうなるのだろう?」

「まあ、それは私たちの腕次第よ」

「と、言うと」

「ここの平和になんの問題もなければ、彼らは1年も経たずに戻れるでしょうね。でも内戦状態になれば、それが続く限り彼らを帰すことは出来ない。だって戦士なんだもの」

「そうか――そうだな……」

「さっ、私たちもそろそろ行かないと、行方不明になっちゃうわ」

 そう言ってエマが起爆装置のスイッチを入れた。

 慌てて車に乗り込み、急いで車を出した。

 しばらくすると、パッと夜空が明るくなって、それからドンという爆発音。

 その衝撃は、移動している車にも届いて、爆風で車が転倒しそうになるくらいだった。

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