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ゴブリン村②

よろしくお願いします!

 デッド・ベアーを倒してから特に何も無く森の中を無心で進む、俺が暇を通り越して悟りを開き始めた頃に。



《ゴブリンの村が見えてきました。》



俺は死んだ魚の様な目を上にあげた、



「お?おお!おおおおお!!」


 水を貰った魚の様に俺の目には力が入った。

そこにあったのは不格好だが何とか村の形をした村だった。


「家?と、言うよりテントだな。」


 三角になっている藁で作ったであろう屋根を見て思った、



 そして門番を見つけ即座に木に隠れる。

あれがゴブリンか、全身緑で醜い顔、頭に角の生えた魔物だった、あれ、一本の奴と二本の奴がいるな?



 ナビさん?何すればいいの?

ここまで来てあれだけど、どれがゴブリンキングか解らない。



《門番を倒して正面から入りましょう、現段階で最も効率的にゴブリンキングと遭遇します。》



 さらっと恐ろしい事を言うナビさんに少しビビりながら、それもそうか、と理解する。



 でもここから見るだけでも数十匹いるぞ、大丈夫なの?



《ここは最近まで存在すら確認されていませんでしたが最近活発化している様です。》



 へぇ〜環境の変化とか、そんな感じかな?色々考えて見たが俺がいくら考えても解るはずも無い、と結論が出たのでやめた。



気になる事はあるが...、やるか。

俺は初めての魔法を行使した。



「ファイアボール!」


 俺の周りの風が吹き荒れる、

そして手に俺の魔素が集結し炎へ変化する、それは段々と大きくなり縦横3m程の小さな太陽の様な物が出来上がった。



 大きさとは裏腹に...、周りの風を巻き込む様に猛スピードで門番へ飛んで行った。



 そして着弾すると同時に周りの木を吹き飛ばしながら小さなクレーターを作った。


苦笑いしながら俺は呟いた。


「おいおい、これ本当に初級魔法だよな...?」



《はい、初級魔法です、マスターの膨大な魔力を使った事により通常の数倍の火力を得ました。》



 ナビさんがきちんと説明してくれた、ありがとう。

でも安全に門番は倒せたので成功と言える。



 そうして俺はゴブリンの村へ足を踏み入れた、暫く歩いてゴブリンキングを探していると、数匹のゴブリンが襲ってきた。



 ふっふっふ、愚かな鬼共めそう思いながら俺は奥の手を使った!


「擬態!デッド・ベアー!!」


 へーんしん!と掛け声をあげながらデッド・ベアーへ擬態する、ゴブリンは突然人間がデッド・ベアーに変わった事に同様しながらも攻撃を仕掛けてきた。



 だがその分厚い毛皮の前にゴブリンの武器は歯が立たない。



「グァァァ!」


 デッド・ベアーに擬態した俺は攻撃を仕掛けてきたゴブリンに腕を振るう、するとそのゴブリンは数メートル程吹っ飛び木に当たって動かなくなった。



 もしかして、俺、強くね?そんな事を思いつつ俺は進む。


 すると段々とゴブリンの武器や鎧の質が良くなってきた、ついに魔法を使うゴブリン等も出始める。



《そろそろです。》



ナビさんが言うと王座のある広場の様な場所に出る。



「あれがゴブリンキングか、王冠被ってるし、あいつ以外居ないよね?」



 もう周りのゴブリンはゴブリンキングの近くに居る質のいい鎧を纏った数匹しか居ない、



《はい、ゴブリンキングです。》



 アイツを倒せば良いのか、俺はデッド・ベアーの巨体で間合いをつめた、


 すると近くの槍を持ったゴブリンが俺に槍を突き刺す。


手でそれを弾きゴブリンに体当たりする。



数メートル上空に飛んだ後落下し動かなくなる。


 それを合図に他のゴブリンも襲いかかってくるがデッド・ベアーの身体は強力で暴れるだけでゴブリン側に甚大な被害が出た。



俺、良く勝てたな...。



 そんな事を思いつつ最後に残ったゴブリンキングを見据える。


「チッ使えん奴らめ。」


 そういいゴブリンキングは王座から立ち上がり大剣を構える。


「こいつらを倒したからと調子に乗るなよ、我がいる限り何度でも増やせよう。」



 ゴブリンキングは素早い動きで仲間のゴブリンの屍を越え俺に接近する。


 少し気迫に押されて後ずさるが持ちこたえる、その瞬間に目の前まできたゴブリンキングが大剣を横に一閃する。



ザシュッ



《!》



 その時、この世界に来て初めての痛みを感じた、てか...。


痛てぇぇえ!!!

何これ!ちょー痛いんですけど!?

いや、雑魚ゴブリン倒して調子乗ってた、これやばい!


 俺は後ずさりしてゴブリンキングから離れる。



《浅いです、特に影響ありません。》



 え、そうなの?よく見たら切り傷がデカいだけでそんなに血が出てない気も...。


少し恥ずかしかった。



「ゴブリンキングめ!これが狙いか!!」


俺は戸惑わず黒牙を使った、


 ゴブリンキングは大剣を縦にし黒牙から逃れる、

マジか、あれ避ける生物なんて居るのかよ!


 だがゴブリンキングが防ぐために使った大剣は吹き飛び遠くの木に突き刺さっている、



 俺はもう一度黒牙を使った、次こそはしっかりとゴブリンキングを捉え当たる



《擬態・ゴブリンを獲得しました。》



 ナビさんのアナウンスが聞こえやっと気を抜く、

なんだあのゴブリン、普通のゴブリンと全く違う強さだったぞ...、浅いとは言え全く傷つかなかったデッド・ベアーの身体が切られるなんて...。



《マスターの魔力によって強化されているデッド・ベアーの身体を傷付けることは普通のゴブリンキングには不可能でしょう、あのゴブリンキングの持っていた大剣に何か特性があったのでは無いでしょうか。》


 あとで拾っとくか...、鉄の剣は使ってればそのうち使えなくなっちゃいそうだしな。

 そんな事を思っているとナビさんから嬉しい報告があった。



《魔素量が一定を越えました、進化を開始します。》




そして何やら煙が渦巻き黒い空間に入った。


水の中の様な、そんな感覚を覚えていると。



《肉体の強度を強化》



《魔力総量の増加》



《スキル付着》



《スキル進化》



《種族名の変更》






《進化が完了しました。》




 一瞬の様な物凄く長い時間の様な...そんな曖昧な感覚で意識が戻った、周りを見るとまだ数分しか経って居ないようだ。



「よく見てみると...。」



凄い有様だ、そこらにゴブリンの亡骸がある。


あれ、そう言えば

 俺は人間を殺した時は酷い吐き気や罪悪感に呑まれたが今回はそれが無かった、何故だろうか。



《マスターの精神が魔物の身体に引っ張られているのでしょう、そして相手が明らかに人間ではない魔物であった事も関係しているかと思います。》



なるほど、って、えぇ!?



 なんだそれ、魔物に精神が引っ張られてる?じゃあそのうち平気で人間殺したりしちゃう訳かよ!?



《いえ、マスターは元人間であり魂が人間のそれですので完全に魔物の精神になる事は御座いません、魂と魔物の身体が精神を引っ張り合い中間で止まっていると言った状況でしょうか。》



 なるほど、取り敢えず殺人鬼みたいなのにはならない訳ね?

 ならひとまず安心だな...。



 はぁここに居るのは流石に気分悪いな、どこかで少し休もう、そう思い一際大きなテントを横切ろうとした時。



「おねーちゃんだれ?」



「おい!」


 小さな子供のゴブリンと少し大きいゴブリンが飛び出してきた。



 よく見てみると中にかなりの数のゴブリンが居る、まだこんなに居たのか...。



警戒しつつ距離を取るため後ずさる、

だが何やら様子がおかしい。

皆怯えてる様な...、



「見逃してくれ!!」



子供ゴブリンを家に押し入れたもう1人のゴブリンが叫ぶ様に言った。


「え?」



「虫のいい頼みだと言う事はわかっています!ですがどうか、どうか、この家にいる人達だけは俺の首1つで見逃して貰えないでしょうかッ!!」



 いきなり土下座をして喋り始めるゴブリン、もう目的は達成したし、倒すつもりはサラサラないけど...。



「いや、無抵抗なゴブリンを倒すつもりは無い。」


ちょっと格好付けてみた。



 ゴブリンはきょとんとした顔で頭をあげこちらを見る、何かを疑うように。



「それは...、では他に何を差し出せば良いのでしょうか...。」



 ゴブリンは警戒心を強めて俺を見る、

あー、逆に警戒させちゃったかな...。



《魔物の常識は敗北=死です、それを勝者が殺さずに報復に来るかもしれない相手を野放しにする行為が有り得ないのでしょう。》



 敗北=死って...、なに?そんなにやばい世界なの?ここ。

 んー、どうしよう、じゃぁ。




「なら俺の部下になれ、食事は遠分俺が出してやるから衣と住を俺に差し出せ!」



 ゴブリンはまたきょとんとした顔で俺を見る。

あれ、やっちまったかな?



「そんな事で本当によろしいのでしょうか??」



「あ、いや、住は立派なものを頼むぞ?」




はっとした顔でゴブリンは謝罪する。


「すみません...、我々の知識ですと人間レベルの物がお作り出来なくて...。」



 ふむ、まぁそうだろうな、ここに来るまでに家を見てきたがどれもテントと表現出来るほどの最低限の風邪と眠れる場所と言った風だった。



「それはのちのち考えよう、それで?俺の部下になる気はあるのか?」



 まだ肝心の返事を聞いていない、これで断ったとしても俺はこいつらに手は出さないが...。



「はい、戦で負けた身、それに我々魔物は強い者に従います、相手が人間でもそれは同じ事!是非とも部下に置いてください!」



 案の定良い返事が帰ってきた、そろそろ1人も寂しいと思って居たんだ。


それと...、これはちゃんと言って置かないとな...。



「いや、俺魔物だけど。」





「え?」



ゴブリンの驚いてる顔が少し面白かった。

読んで下さりありがとうございます!

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