会談の準備
よろしくお願いします!
数時間ほど二度寝と言う名の現実逃避を終わらせた後、リンに俺達が倒れた後の事を説明して貰った。
数分後...。
ふむ、何故俺達が助かったのかと言うと避難していたエルダ達が配下として主に危険な事を押し付け自分達だけ安全な場所に待機しているのは配下とは言えないのでは無いか、と考えたらしい。
だが命令された手前背く訳にも行かず辺りの偵察、と言う事にして1人エルダを見に行かせた様だ、
遠目から俺達を発見したそのエルダは何やら様子がおかしい、と思い少し近付いて見ると案の定リンがぶっ倒れる直前だったらしい、
そうして俺達を村まで運び寝かした後他のエルダを呼び戻して余っていた薬草なんかで治療してくれていた見たいだ。
「なるほどな...、ちょっと不安になる行動をした見たいだけど...、ある意味幸運だった見たいだな。」
「はい...、元はと言えば俺の...」
「あ!そう言えば村に何か変わった事とかあったか?」
リンのスイッチが入りそうだったので急いで話題を変え気を失っている時の村に変化が無いかを聞く。
「はい、変化と言う程ではありませんが森の奥の洞窟に住むスケルトン族が昨日の夜尋ねて来てました。」
「え?スケルトン?」
スケルトンってあのスケルトンだろうか、カタカタ鳴りながら人を襲う骨の...。
「はい、スケルトン族です、ゴブリンだった俺達の魔素量がいきなり増大したので魔力に敏感なスケルトン族が尋ねて来たのでしょう。」
なるほど、てかスケルトンって喋れるの?俺の想像しているスケルトンに声帯は無いように思うのだが。
《この世界のスケルトンは「念話」のスキルを所有しています、スケルトンは死後弔われなかった人間が魔物化した姿です、マスターの想像するスケルトンの姿にほぼ間違いはありません。》
ナビさんが説明してくれた。
なるほど、スケルトンはスキルで喋ってんのか。
スキルって便利。
「あ、そう言えばフラム様に契約して貰い進化した事を話すと「是非主殿に会わせてくれ!」って仰ってましたが...、
フラム様は眠っていましたのでお引き取り頂きました、明日も来ると言っていたので今夜も来訪されるかと思います。」
へー、そうか、元人間ならこの世界の事に付いても詳しいかも知れないな、是非とも話を聞きたい。
「そうか...、じゃあ夜までに話し合いの準備
をしとくか。」
夜まではまだ結構あるな、準備するくらいの時間は余裕がありそうだ。
「でしたら俺にお任せください!」
リンが名乗り出てくれた、でもこいつ怪我はもう良いのか?
「でもお前も怪我してんだろ?あんま無理すんなよ...。」
「いえ、もう痛みは無いのでご心配は不要です!」
んー、そう言う事なら任せようかな。
「なら頼むよ、話し合いの場所は俺達が一番最初に出会った広い家でやろうと思ってるからよろしくな!」
「はっ!解りました、急いで準備して参ります!」
そう言って礼をして俺の寝ていた部屋から出ていった。
喋り相手が居なくなるといきなり部屋が静かになった気がする。
特にする事も無いので人間に擬態して外に出る、すると3人のエルダが狩ってきた猪を調理していた、
俺が珍しそうに見ていると...、
「フラム様!お元気になられたんですね!」
「もう怪我は大丈夫なのですか?」
「起き上がって大丈夫なんですかい?」
調理している女性エルダの中に1人おっさんが混じって居る気がするが無視する。
「もう痛みはしないから多分大丈夫だと思う、それよりこれ、何作ってんの?」
「ビッグ・ボアのゴブリン煮込みです、1皿どうですか??」
何だか美味しく無さそうな名前だが匂いは最高だ、是非食ってみたい。
「へー、んじゃまだ昼飯食って無いから1皿貰っていい?」
食事は必要無いのだが毎日3食食うことに決めている、味覚はあるので食べれるのであれば食べたい。
「じゃあどうぞ!フラム様、肉多めに入れときますぜ!」
木で出来たお椀にビッグ・ボアのゴブリン煮込みを入れて渡してくれたのはおっさんエルダだった、嬉しいのだが何故か残念な気がする...、
女の子に入れて欲しかったなぁ...。
何時までも気にしていても仕方ないので木のスプーンを貰い近くの石に座って食べ始める。
パクッ
「うまぁぁぁい!!」
美味い!臭みは無く口の中でほろりと崩れる、そして甘くピリッと辛い味付けがなんとも言えない味を出している。
夢中になり食べ続けているといつの間にかお椀が空っぽになっていた。
エルダ達をチラっと見ると何だか優しい目をしており少し恥ずかしくなる。
「フラム様、お代わりどうですかい?」
おっさんが尋ねて来る。
「本当か!?いいのか!?」
「他の者にも配らないといけませんのでこれで最後ですけどね〜。」
ボインのエルダが言う、そうだ、これは夕食なのだ、俺が全て食べてしまう訳には行かない。
だ、だけど後1皿くらいなら...、
俺は美味しそうな匂いに逆らえる筈もなく。
「じゃ、じゃあ後1皿だけお代わり!」
そう言って俺はもう一度幸せを貰った。
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