その後。(人間)
よろしくお願いします!
王都イルムンドにある冒険者ギルド、ギルドマスターのジバルは2日前に出発していたゴブリンの討伐隊からの報告を聞いていた。
「何!?それは本当か!?」
ギルドの事務室にジバルの声が響く。
「あぁ、ロゼアの森に魔人の発生を確認し
た、だが討伐は不可能だと判断し撤退させた。」
「ではゴブリンはどうなった?殲滅出来たのか?」
「いや、ゴブリンの集落に到着する前に魔人と鉢合わせしてしまい撤退せざるを得なかった。」
頭が痛い、想定より早く帰って来たと思ったら...、はぁ魔人の出現か、これは王に報告せねばなるまい。
「魔人には本当に勝てなかったのか?魔階級は?」
「あれは恐らく上位魔人だ、少女の様な外見の魔人と黒髪の男性の様な魔人の2人組だった。」
上位魔人だと!?それと鉢合わせして死傷者0?
まさかの回答を聞いて俺は金級冒険者のロガンに疑いの目を向ける。
「はぁ、俺も信じられねぇけどよ...」
疑われている事に気付いたロガンはそう言うと説明を始めた。
ロガンの話によると黒髪の魔人が白く変化したかと思うと圧倒的な魔力を剣から放出し隊列を崩し、トドメを刺そうとした魔人の攻撃を少女の魔人が防ぎ冒険者を守ったと言うのだ。
嘘としか思えない様な話だがロガンが嘘を言う理由は何も無い、現に他の冒険者達の報告書にも同じ事が書かれていた。
「はぁ、解った、お疲れさん、もういいぞゆっくり休んでくれ。」
急ぎ王に報告しなければと思い馬車を派遣し王城までの道でどう報告するかに頭を悩ませる。
ゴブリンキングの討伐失敗に上位魔人の出現、そしてその魔人が2匹いるだと...、はぁどう説明すれば良いんだ。
いや、そのまま言うしかあるまい、だがやむを得ずといえども死傷者無しで撤退したと...。
「はぁ。」
胃がキリキリと音を鳴らしている。
そして窓の外を見るともう王城へ到着していた。
かなりの時間悩んでいた見たいだな。
「すまない、王に緊急の報告がある、無礼を承知だが取り次いでは貰えないだろうか。」
ジバルは馬車から降り門番へ王に取り次いで貰う様頼む。
「はっ!ジバル様、了解致しました!」
そしてガゼルは王城の待合室へと案内された、
王国イルムンドは商国なだけあって冒険者や商人の出入りが激しい、その為待合室だけでもかなり豪華な装飾がなされている。
それを眺めながら数分待っていると執事に呼ばれた。
「王がお会いになられるそうです、ご案内致します。」
そう言われ執事の後に続き歩く、暫く歩くと大きな扉の前に到着した。
コンコン
「入れ。」
王の声が聞こえ執事が扉を開いた。
「失礼します、国王陛下。」
「よい、緊急の報告と聞いている、話してくれ。」
部屋に入り座るよう言われギルドの報告で聞いた事をそのまま伝える。
「ふむ、そうか...。」
王は驚いた様子は見せずに少し考える素振りをすると口を開いた。
「では1ヶ月後に聖騎士を森に送ろう、我も共に行く。」
一瞬理解出来なかった...聖騎士を送ると言う話ならまだ解る、だが一緒に行く?このバカは本気で言っているのか?
そんな不敬罪で吊されそうな事を思って居ると王が言う。
「お前の報告が本当ならば片方の魔人はお前達冒険者を攻撃し、そしてもう片方の魔人が救ったと言う事だろう?
少し興味が湧いてな...、それに久しく剣を握って居ない、腕が訛っては行かんからな。」
この王は元ミスリル級冒険者だ、だが今は一国の王、国を離れて貰う訳には行かない。
遠回しに王に国に居るよう伝えねば...、
「お、王よ、事務はよろしいのですか?エングラム帝国との会談があるとお聞きしていますが。」
「全て終わっておるわ、それに会談は3ヶ月後だぞ?
問題は無いだろう?」
国王はニヤニヤと笑いながら言った。
本気かこの王、本当に行くつもりなのか...、
それに平民の俺が王に意見出来ない事を知りながら言っているだろうな、性格が悪い。
「どうした?ジバル?問題があるのか?」
国王はニヤニヤと笑みを浮かべながら問うた。
「い、いえ、何でもありません...。」
「では決まりであるな、さて出発に備えて聖騎士達に要請を送るか。」
そういい王は嬉々と紙に字を書き始めたのだった。
そしてジバルの胃に穴が開く音がした...。
魔階級
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《最下級
駆け出し冒険者パーティであれば討伐可能。
下級
銅級〜銀級冒険者パーティであれば討伐可能。
中級
銀級〜金級冒険者パーティであれば討伐可能。
上級
ミスリル級複数人であれば討伐可能。
最上級
ミスリル級〜オリハルコン級冒険者複数人であれば討伐可能。
災害級
大国の聖騎士団であれば討伐可能、ただし戦後大被害を被る。
破滅級
複数の強国と冒険者ギルドが共闘する事で討伐可能。
神滅級
人族では対処不可能。》
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