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魔狂。

よろしくお願いします!

 エルダ達の避難を済ませた後俺とリンは急いで村に戻った。


 ここまで来る途中、初めて実感したのだが俺の身体能力は生前より明らかに高くなっている、避難場所から村までかなり距離があったように思うのだが予想よりも早く帰って来れた。


 森の木の移り変わりから考えると時速50キロ程は出ていたのでは無いかと思う。

 それに余裕でついてきたリンは流石と言う他ない、称号などで薄々予想は出来ていたが居たがリンはかなりの素質と才能を持っているのだろう。


「想定より早く戻って来れたな、だが万が一の為ここで人間と話をする訳には行かないからもう少し進もうか。」


「はい、そうですね!人間との距離もまだあるでしょう、ギリギリまで近ずいて待ちましょう。」


 俺達は話し合い少し東に進む、すると川のある開けた場所に出た。


「ここなら人間達が通りかかる時に発見出来るはずです。」


 との事なのでここで冒険者を待つことにする、

数分程すると段々と草や枝を踏むような大人数の足音が聞こえ始めた、

 あれ、予想より多いいな...。




川を挟み対面する。


 あれ、明らかに想定より多くないか?ちょっと多くても80人とか100人位かと思っていたんだけど...、その倍はある様に思う。


 冒険者も俺達を発見した様だ。


「おいお前!こんな所で何をしている魔物に襲われるぞ!?」


「いや、待て、よく見てみろ、あれは人の姿をしているが魔物だ!」


 冒険者の1人が発した言葉により他の冒険者の心配する様な目から警戒する鋭い目に変わる、

 そして各々武器を構え始めた。っておい!


「ちょっと待ってくれ!俺達に戦うつもりは無い!」


 俺は人間に擬態する事で発声が出来るようになり人間とも話せる様になっている、これはゴブリン村に来る途中ナビさんに聞いた。


 だから話し合いを持ち掛け様と思った訳だ。

 冒険者達は俺が喋った事に驚き動きが止まった。


「魔物の言葉だ!お前達!耳を貸すなァ!!」


 1番前に居たリーダーの様な男がそう叫んだ事で他の冒険者達は動き始める。


「話を聞いてくれ!俺達は本当に戦いに来た訳じゃない!!」


 だがもう冒険者達は話を聴くつもりは無い様だ、クソっマジかよ、少し話を聴いてもらえればまだチャンスはあった、人間の姿であれば話を聞いてもらえるかも知れないと思ったのだが...。


 やはりこの世界で俺の現代常識はあまり意味を成さない様だ。

 


「遠距離構え!


 撃て!!」


リーダー風の男が言葉を発すと色々な色の魔法、そして弓が俺とリンに放たれる。


「フラム様!!」


弓と魔法の嵐が俺達に今にも振りかかろうとする時...、


一閃


 ヒュン、と風を切る音と何かが空中に煌めいた様に見えたと同時に



Don!



 冒険者の放った魔法が弓を巻き添えに爆ぜた。

 なんだ?誤爆でもしたのか?


「なんだ...、あれ...。」


 1人の冒険者が指を刺し震えながら俺を見ている。

いや、よく見ると他の冒険者も少なからず警戒した目で俺を見ている?


 いや、これは...、俺の隣?


 「ガァアアア!!」


 その時、すぐ隣でリンが叫んだ。

 

「おい、 リンどうし...。」


 そこに居たのは不気味な剣を持った灰のような白い肌に黒い血管の浮き出た化け物だった。


《この魔物は配下リンです、リンは魔剣召喚にて召喚された魔剣により一時的に変異している様です、魔剣の能力は解析されて居ない為断言出来ません、が、恐らく「魔狂化」であると思われます。》


 は?これがリンだって?いや、確かに面影はあるが...、


《マスター!魔力を全力で放出してくださいッ!!》


 魔力を放出?なんだよそれ!やり方教えてくれねぇとわかんねぇから!こんな感じか!?


 取り敢えず全身から何か出ろ〜と念じながら全身に力を入れてみた。


《スキル「魔装」を習得しました。》


ナビさんの報告が聞こえると同時にリンの剣が魔力を纏った、そしてそれを軽く振り下ろす。


 空気が重くなるような感覚を覚えると同時に剣の形をした魔力の塊が冒険者を襲った、冒険者達は咄嗟に障壁の様な物を張り押し潰す様な魔力の塊を受け止める。


「もう持ちません!ロガンさん!」


「クソッ、結界が壊れるぞ!避けろッ!!」


 だが数秒耐えたものの徐々にヒビが入り砕ける、冒険者の大半は避けられた様だが魔力が地面と衝突し砕けた、そして爆ぜた事により吹き飛んだ岩の欠片やなぎ倒された木が冒険者を襲う、大人数で来た事が逆に隊列を崩し乱れる。


 おいおい...、これじゃ交渉なんて出来ねぇぞ、まだ死人は出てねぇとは思うが...。


 そして魔力を放出し、爆風に耐えながらリンを見る。

 するとリンはもう一度剣に魔力を纏わせ始めていた。


「おい!リンやめろ!」


 おいリン!洒落にならねぇぞ!


「ガァアアアッ!!!」


《今のリンに意識はありません。》



 リンが先程よりも強い魔力を込め、剣を横に振るった、

 これで冒険者が死ねばもうチャンスは二度と来ないだろう。


「漆黒暴牙!」


俺は漆黒暴牙にありったけの魔力を込めリンの魔力の刃を噛み掴んだ。



「おい!早く逃げろ!」


 解ってはいたが予想以上に強い、冒険者を一撃で屠る為にかなりの魔力を使用したのだろう。

 今は魔力量頼りに耐えているが...、もたねぇ。


「魔物の言う事なんぞ...、


「んな事言ってる場合かよ!しっかり状況見ろハゲ!」


 もうそろそろ限界が来る、そうすれば俺は避けるだけなら出来るが...、冒険者達は違うだろう。


「グッ...、礼は言わんぞ、



お前達!撤退しろッ!撤退だッ!!」


リーダー風の男が撤退を促す。


「撤退!?ロガンさん!まだ何もしていないじゃないですか!まだ戦えますッ!」


「これは命令だッ急げ!!」


冒険者が撤退を始める、


よし、もういいかな...。

 俺はリンが放った魔力の進行方向を少し上に傾けスキルを解除する。


 魔力の塊は木々をなぎ倒しながら少しづつ上空に上昇して四散した。


「おいバカ!正気に戻れ!」


「グギャァアアア!!!」


 リンはキリキリと大気を震わす様な悲痛とも取れる叫び声を上げながら俺に剣を振り下ろす。


 それを瞬時に取り出した大剣をデカさ頼りに横にして防ぐ、

 だが段々と重くなるその魔剣に耐えられず膝を折った。



「おもてぇ...。」


 俺は足に渾身の力を入れて大剣を捨て後ろに下がる事で魔剣から逃れる。


「擬態!デッド・ベアー!」


そして擬態を使いデッド・ベアーに擬態し仕切り直す。


「ギギャァアアア!!!」


 追い打ちに来たリンの攻撃を防ごうとするがいきなり剣がぐにゃりと曲がったかと思うと胸から腹に掛けて激痛が走る。


 痛ってぇえええ!ゴブリンキングに切られた時も痛かったがそれが比べ物にならない程の痛みが俺の脳に届く。



痛みで魔力を維持出来ず擬態が解かれる。

ゆっくりと歩いて近ずいてきたリンが俺にトドメを刺す様に剣を振り上げた。


やべぇ...、こりゃ動けねぇぞ...。


 戦闘経験のほとんど無い俺はそんな感覚を初めて感じた。


「リ...リン...。」


薄気味悪い笑みを浮かべるリンの名前を俺は呼ぶ。


「フらむ?...さま?」


突然笑が消えたかと思うとリンが呟いた、だが次の瞬間、またケタケタと笑い始め...、そして魔剣を振り下ろした。







「ギャギ?」



 何時まで経っても来ない痛みに俺は目を開きリンを見る、

そこには自分の腹に魔剣を突き刺したリンが倒れる瞬間だった。




「リン様ッ!!フラム様ッ!!!」



そんな声が意識が沈み行く中曖昧に聞こえた。


ここまでお読み下さりありがとうございます!

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