3-6.変態が山道を行く間に
修正の報告のみです。
1.全話のタイトルの変更、統一。
及びタイトルの追加を行いました。
変態『は』○○『しました』はほぼ主人公側視点。
変態『が』○○の『間』は他者視点。
または三人称の文章などになります。
2.1-5までの文章を添削しました。
※これからも継続して添削をしていきます。
バチッ!
それは日の光が差し込まぬ。
地上と隔離された地下にて。
罪人を叩きこむ為に設けられた。
幾つもの牢屋並ぶ廊下の一角にある。
鉄の扉で閉ざされた拷問室より。
先程から数度に渡り、鳴り響いていた。
バチッ!
「ぐっ!?」
「……本当に……貝のような人ですわ」
黒い軍服に身を包むその女性は。
椅子に縛り付けている男性に向けて。
縫い跡残る古傷が目立つ、その肩をめがけ。
バチッ!
「グギッ!?」
その皮膚の表面に触れた途端に。
まるで何かが破裂したかのような。
直撃した部位から異様な音を上げて。
瞬く間に、全身へとその衝撃が。
バチッ!
「グ!? ググ……」
その高圧の電流が流れる。
表面よりバチ! バチ! と。
音を鳴らす電撃棒を。
「………………早く……」
軍服の女性は動物を躾ける鞭の様にして。
未だ情報漏らさぬ男に向けて。
「早く口を割るのです!」
「グギッ!?」
容赦なく振るっていたのだった。
しかも何度も……何度も……。
「何故、口を割らないのです!」
バチッ! バチッ! と。
無抵抗の相手に対して。
殴りつけ、痺れさせていたのだった。
けれども……返事は人間が反射的に訴える。
痛みを堪える為の悶絶する声だけであり。
【生体レベルが低下シテいまス。お気ヲ付ケを】
「…………くっ」
急所を外しての拷問とはいえ。
もう既に相手の体はボロボロになり。
既に電撃棒を受けた部分より臭いが。
その焦げた皮膚からは、やたらと鼻に着く。
肉の焼ける様な形容しがたい臭いが漂っていた。
「……………………へ……」
だが…………男は。
もう肉体的に限界が迫りつつある事を認識し。
自身でも体表から発せられる異臭を自覚し。
それを重々承知しつつも……彼は。
「……………………へへ」
あくまでも。
屈する様子など、微塵も見せずに。
そう不敵な笑いを浮かべながら。
自分を好き勝手に殴りつける女性へ。
嫌味たらしく笑みを溢したのだった……。
「くっ!? この!?」
すると彼女は男の屈服する事なく。
余裕すら垣間見せるその男が溢す笑みと。
不敵な眼差しに対して。
「答えなさい! 『工房』は何処に!? 『合言葉』は!? 貴方が何かを隠しているのは明白なのです! 早く答えなさい! 何を企んでいる!」
腹の底よりこみ上げてくる。
その煮え滾る怒りを露わにして。
感情に突き動かされるようにして。
失禁し、死亡するリスクのある首元を除き。
腕、足、手など当てられる場所全てを。
バチッ! バチッ!
「ぐっ!? がっ!?」
間髪を入れずに。
休憩する暇を与える事無く。
連続して電撃棒を振るい。
「早く……答えなさい!」
「ギッ!? グッ!?」
「命が惜しくないのか!」
「ウグッ!? ギギ!?」
……さして求めてもいない。
只々悶え苦しむ男性の声を。
悲痛な声を何度も自身の耳に入れていく。
【意識レベル低下! 生体レベルさらに低下!】
【拷問は……そこまでにしてくだサイ】
「工房の場所を! 吐くのです!」
けれども……。
そんな明らかに冷静さを失い。
余りに一方的に拷問を進める彼女は。
既に周囲の部下達の言葉すら耳に入らず。
ただ電撃棒を振っていた彼女は……。
【お止めクダサイ、『マシンレディ』様】
「……なっ!?」
人型をした機械の兵隊である。
軍内では魔造兵と称される部下により。
棒を握りしめていた二の腕を掴まれ。
処刑とも言える程の拷問を止められた。
【この男の生体レベルからして、コレ以上拷問を続ければ死にマス。お気をオ鎮めクダサイ……】
「で……ですが!」
【コノ男の殺害は命令にありまセン。幾ラ、貴方様が現在の指揮権を任されているとはイエ、『トイ・ジェネラル』様の命令は絶対デス……】
「くっ……………………」
【我々魔造兵はトイ・ジェネラル様ノ命に従いマス。レディ様の勝手ナ行動は認められマセン】
「……………………」
血の流れぬ、感情無き第三者より。
命令を徹底的に遵守する配下から。
冷静にそう警告を促されてしまい。
「分かり……ました……」
彼女自身も頂点の命令には逆らえないと諦め。
悔しくも仕方なく……その青い電流を帯びる。
電撃棒をギュッと、まるで自分の一部の様に、深く握り込んでいたその拳の力を和らげると。
「………………はい」
【確カにお預かり致シマス……】
黒軍服の女性……いやマシンレディは。
躊躇いつつも魔造兵に拷問器具を渡す。
「………………ハア……」
そうして……。
厳重注意の後、道具を取り上げられ。
拷問を中断させられた事によって。
欠いていた平静を取り戻した彼女は。
自身の連続して与えた電流の衝撃により。
「…………………………ゼェゼェ」
「くっ……」
ブス、ブス、と僅かに黒い煙あげて。
上半身から臭いを発しつつも、体を前に傾ける。
その傷ついた男性を横目に。
拘束具の錠へ手を伸ばすと。
「……鍵を外します。牢に戻す準備を」
【ハッ! 了解致しマシタ】
そう先程、道具を取り上げた魔造兵に下し。
身動きの取れない様、拷問中に暴れない様にと。
武器にもなりえる腕、足は勿論の事。
腰、手首と、肉体の数か所に渡って拘束し。
しっかりと鍵をかけていた椅子の器具を。
「……………………本当に」
ガチャリ……ガチャリと。
一つずつ外していき……そして。
最後の錠を外そうとした時に。
「貴方も強情な男です……」
その度を越えた。
先の例えの様に固く、口を閉ざす貝の如く。
ここまでの酷な拷問を乗り越える男の。
凄まじい辛抱強さに呆れた声を漏らす。
「……ゲホゲホ……………………ゼェ……ゼェ」
対して……男性は、体内に溜まったガスを。
黒く焦げた吐息を漏らしつつ、瀕死の状態で。
今日の拷問は終わった事を朧ながら認識し。
「ゼェ……ゼェ…………ハア……ハア」
焦点の安定していない。
虚ろな視線ながら、見慣れた足元へと。
その石で組まれた無機質な床を見ながら。
「ウウ……グ…………」
ドサッ、と。
視線と共に身を地面に倒す。
「……人とは苦しみには勝てぬものです。悶絶し絶望し、己が窮地に立たされた時こそ……人間の汚い部分……いえ生存本能とでも言えば良いのでしょうか…………」
自身の手で執り行ったとはいえ。
マシンレディはそう告げながら。
目元を隠すように軍帽を深くかぶると。
【では、囚人ナンバー001を連行しマス】
【ウム、その後に軽く傷ノ手当てをしてオケ】
【ハッ! では回復薬を使用致しマス】
容赦の無い拷問のせいか。
拘束具を外されても自力では動けぬ為に。
部下の手によって。
【囚人、自力での歩行は不可能の為、引きずって牢まで運ビマス。さあ……行きマスよ】
「…………ハァ……ハァ…………」
ズルズルと元の房へと引きずられていく。
そんな見るも痛痛しい姿をした男に向けて。
「生きる為ならば……他者を売り、自分だけが助かろうとする筈だと。私はそう思うのですが……」
身から血を流し、電流を流されても。
生傷だらけになっても尚、『毎回耐え抜く』。
痛みという概念が存在するのか疑わしい程の。
強情すぎる彼の姿を見て、そう発して。
【では、マシンレディ様。我々モ囚人ヲ独房に戻スの二同行致しマスので。上でお待ちくダサイ】
「ええ……分かりました。警戒は怠らぬように」
【ハッ!】
部屋の封をしていた鉄の扉が開かれ。
外へと連れ出されていく彼の姿を見ながら。
「トイ・ジェネラル様……申し訳ございません」
最後にそう誰も聞きとる者がいない。
冷たい空気だけが残る拷問室内で。
そう独り言を溢すのだった……。
その……山間に存在する国。
ガンテルツォでは戦争があった。
この土地に住まう民の多くが。
国を愛する者達の多くの民達が。
守るべき物の為に。
初めてその手に武器を持ち。
これまで血で塗れた事が無い。
戦とは無関係であり。
平和だった筈の国にて。
身を置き生活してきた。
民達の一人一人の彼らが、彼女らが。
襲来してきた敵と一線を交えたのだ。
【牢屋に到着シタ】
【鍵を開ケマス】
念のためだが……。
戦争と一口に言っても。
他国との資源の奪い合いや。
領地の奪い合い、強奪、奪還といった。
国益によって、武器を交えたりするという。
そう言った類の。
人間同士の血生臭い。
他国民との戦争と今回はまた質が違い。
この戦いはあくまで、他国を巻き込まずに
国内にて勃発したものだった。
【サア、入レ。次の尋問は明日ダ】
【ソレまで、大人シク待機してイロ】
そしてその平和の虚を衝くように。
突然襲来した魔物達によって奪われた。
…………自分達の『宝』を。
…………未来を取り返す為に。
「くそったれ…………早くこの国から消えろ」
その国民達は国王の指示の元。
懸命に抗い、侵略者共を打倒せんと。
彼ら自分達が開発した武具を持ち。
自分達の為、隣人の為にと。
未知の脅威に立ち向かい……そして。
「ちくしょう……俺がもっと強ければ……」
《負けたのだった》。




