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0-1.変態は閻魔様に泣かされました

※修正の際、元々存在していた一話目を削除。

 その影響により投稿日が狂っています。


細分化前タイトル

『なんか死んでた』

初掲載2018/7/08 

細分化前の投稿時文字数7392文字

細分化2018/09/24


 ……死因は隕石だった。


 新作ゲームを購入した後の帰り道にて。

 俺は飛来する隕石に直撃して死んだ。


「日岐古守君、君の生まれは今と同じ□□県の○○市だね。そして生まれた家庭はそれなりに裕福だったみたいだ」


 そして没26歳であり。

 結局生涯童貞だった俺、日岐古守ひき こもりは、


「小学校も中学校も、近所の場所にある場所に通っていって、学力面においても――」


 現在死後の裁判を受けるべく。

 閻魔様より俺の生前の経歴についてを振り返り、出生から現在に至るまでの略歴及び、その齟齬が無いかの確認が始まっていたんだった。


「ふむふむ……成る程。高校では帰宅部と……ダメだよ、帰宅部なんか。陰キャラの代表例みたいな感じじゃないか、部活って大事だよホント。上下関係学べるからね」


 ……と、こんな感じで言動に関しては、妙に軽く厳格なイメージとは裏腹の閻魔様であり、死者である俺に対してもそんな助言をくれていた。


 けれども……。

 まだこの時点では。


「特に日本じゃ上下関係ってマジ必要だからね。ワシも世襲制で長い事閻魔やってるけど、マジでお釈迦様ウザいからね。本当に現場見えてない癖に偉そうな事言ってんだよって話だよ」

(本当に軽いなこの閻魔様!?)


 まさか……こんなチャラそうで。

 何処かおバカ要素の感じられ、愛嬌すらある、


「おっと、ゴホン……ごめんよ、愚痴っちゃって。ええっと、話を戻して大学は……中退と……」


 こんな閻魔大王にすら、この直後。

 殺意を覚えられる悲惨な事になるなんて、この時の俺は予想だにもしていなかったんだ……。


「ふむふむ……ここまでが学生だった時の話だね。さて、問題はここからだ。裁判に最も関わる場面でもある、君の『最近の行動』についてだ」


(ギクッ!?)


 それはこの話題に至った瞬間!

 全身の鳥肌が我先にと立ちまくった。

 同時に震えも止まらなくなった……何故なら。


「え……閻魔様!? ちょっと!?」


 俺が生涯を思い返すに…………そこは、


「ちょっ!? ちょっとお待ちを――」


 今彼が口に出そうとしている部分は闇。

 パンドラの箱そのものだったから。

 決して開けてはならぬ黒歴史が詰まる。

 残念ながら希望も入っていない箱だから!

 だから閻魔様! お願い、読んじゃダメ!


「えっと、君のここ数年の行動は……」


 だが俺の制止など見て見ぬふりで彼は、その手元の巻物へ目をやりながら、


「重要なのはこの辺りだね……色変わってるし」


 記録されていると思しき俺の記録。

 その記述を指で追いつつ、眺めていく。


 ダメダメダメダメ!

 ダメダメダメダメェェェ!!


 ダメよ、読んじゃダメだって!!!


「ふむふむ……………………」


 閻魔大王が黙って読みふける間……。

 普通は死ぬ前に見る筈だが……。


(あばばば……やべべ……なんか見えてきた)


 俺の脳の中では生前の記憶の映像が。

 所謂走馬灯とでも言うのだろうか。

 その一つ一つ鮮明に蘇り、再生されていく……。



 ―― ―― ―― ―― ―― ――



 ……生前の俺は筋金入りの糞ニートだった。

 えっ、ニートって何かって?


 働く事もせずに親を泣かせて。

 ダラダラと遊び呆けている俺の事だ。

 高校、大学と親の金で遊び呆けたうえに。

 大学に関してはゲームにアニメやエロ本集めと。


 とにかく事あるごとに授業をサボりまくり。

 年度末では単位足らずで留年。果ては卒業せず中退。


「うん……職歴は案の定無職だね……」


 続いて……彼の仰った通りそんな怠惰な奴が就職どころか働くわけもなく、バイトすらせずに実家で母の出してくれるタダ飯をかっ食らい、ダラダラと動画視聴、アニメ、ゲーム三昧と。

 そんなニートのテンプレみたいな怠惰に満ち満ちた生活を、飽きる事無く続けていたのだ。


 そうして……親もついに悲しみ始める中、その生活を数年気兼ねなく続けつつ今回した事。


 それは就職活動の為に使う交通費だと大法螺を吹き、親から貰った金を握りしめた後。

 新作のゲームを買いに行こうとした矢先にて、まさかの隕石に直撃して無事死亡……という末路。


 一体誰がこんな人生、誇れるだろうか……。

 少なくとも裁判前に誇れるか?


「ふむふむ……成る程成る程」


 と、そうして俺の思い返す映像とその罪状や経歴が記されているであろう、閻魔様が持つ巻物に記載された内容が恐らく合致し。


「君の人生はよぉーく分かったよ」


 彼は読み終えた直後に発した言葉。


「君は……そうだね……死んだ方が良いね」


 その出た言葉がそれだった。


「……はい……はい……すみま……せん」

「いや…死ねはマズいか……うーん、でも死んだ方が良いと思うよ、軽くもう一回逝っとく?」


 ちょっと飲み足りないなあ……。

もう一軒居酒屋に寄って行く? みたいな。

そんな軽いノリで向けられた内容だった。


「ぐぐ………………」


 もう……命を亡くした亡者にも関わらず。

 死ねというストレートな罵倒が彼の口から飛んできた事に絶句せざるを得ず、既に顔をあげて彼の目を見るのがとても怖かった。


「むぐぐぐぐぐ…………」


 だからこそ反論など出来ず。

 黙る事を強いられる中で。


「ま、まあまあ……今のは……うん、よし! きっと君には事情があるんだ。何か諦めきれない野望があって、今の古守君はこんな天邪鬼になっているに違いない」


 どうした事か閻魔様がいきなり前向きな思考へと変わられ、俺の擁護に回られてしまったのだ。


 本当にごめんなさい、もう止めて……泣きそう。

 貴方様のそんな気遣いの言葉が非常に辛いよ。


 だって見てくれよ、あの閻魔様の顔。

 金の八的な熱血先生が不良を更生させようと。

 全てを受け入れる並におおらかで懸命に相手の事を気遣う、優しさの閻魔様だぜ。


 だからなのか彼は巻物を更に捲り。

 温情からか俺の微かな希望を探るべく、その目を必死に動かしていってしまわれた。


「ここからだね、君の性格については。大丈夫! 閻魔信じてるから……君は悪い子じゃないって」


(ギクギクッ!?)


 それ故にもう体の震えが止まらなかった。

 もう本当に……ダメダメダメダメ!

 マジでそれ以上はもうダメだから!


 止めて、もういいから!

 地獄でいいから、裁判抜きの極刑で結構。

 すぐにでも奈落へ落としてください!


「怖がらないで……ワシは君を信じる」


 だからもう読まないで!

 ヤバい、本当にヤバいから!

 そこからはさらに危険な領域なんですよ!


 ……だって性格の部分でしょう!?

 解釈すれば、即ち殺人でいう動悸ですよ!


 何故、どうして、何が原因で殺したか。

 それを指し示す部分と何ら変わりない!

 故に、一番ダメなぶぶ……ん……。



「ふむふむ。親の脛をかじって食う飯は旨い。ネットでも高学歴を語って人を煽り散らし、その反応を見るのは楽しい。だが、最高はやっぱりゲームやアニメだ。二次元万歳! 三次元の女なんかより、やっぱり可愛い二次元だ。死ぬくらいなら二次元の世界に行きたい!」



 ……血の気が……引いた。


 もう死人の筈なのに。

 改めて体に寒さを感じた。


 もしここに彼の配下の鬼達がいたなら。

 この真実が明るみになった瞬間に俺は金棒でグチャグチャにされてただろう。


「えーと……まだまだあるみたいだね……。ええっと……おっぱい万歳、巨乳万歳……金髪万歳……黒髪ロング万歳……もうたまらねぇぜ! 妄想が膨らむぅ! フゥゥゥゥー!」


 ……内容の進行状況につれてだった。

 語り始めこそまだ意気揚々としていた、閻魔様の表情が嘘の様に発言と共に重くなっていった。


 しかし当たり前だ。

 自分で聞いても泣きたくなるレベルだ。

 中学時代に書いた厨二臭いキャラとか、変な技名とか、そんな陳腐な内容を纏めた黒歴史ノートを母親に読まれた気分だもの……。


「……ご……ごめん……変な事言って……も、もうワシ、疲れちゃった。悪いけど、こっちが先に死んできてもいいかな? さっき叫喚地獄の大釜がイイ感じに湧いているって聞いたからさ」


 挙句の果てには音読していた閻魔様がご乱心。

 俺を置いて勝手に自害を図ろうとする程……本当にそれ位酷かったんだ……。


「ひぐ……ひぐ……ひぐ……」


 反射的に涙が出てきた。

 口元に流れてくる水がしょっぱい。

 こんな外道でも涙は出るんですね。


「………………………………」

「……グス……グス…………」


 ……場も完全に凍り付いた。

 周囲にあった業火や滾る溶岩による地獄の熱気すらも、もう忘れ感じなくなる程に。


「ゴホン……ま、まあ、もう判決いこうか」


 はい……覚悟は出来ておりますとも。

 どうぞご自由に責め苦でも何でも、お好きになさってください。



「では……失礼して、早速……日岐古守君! 生涯の行いを顧みた結果、君を、地獄の取り決めにより《転生》の刑に処します! 以上、閉廷!」



 そうして……俺の運命は決められたのだった。


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