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#69 村長とタツオミ
――村長の家
「あー、やっぱり面倒くさい……」
村長は、右足首の捻挫の手当てに苦戦していた。捻挫になって3日目、まだまだ足を引きずっている状態である……。
「村長ー、失礼しますよ」
ナオの父、タツオミが来た。
「あれ、なんか雑ですね」
タツオミは、村長の右足首に巻いている包帯を見て、そう指摘する。
「そうか?」
「いつもはチヒロ君がやってるんですか?」
「交代制だ」
「あのー、聞いてます?」
タツオミは、村長のパソコンをいじっている。村長は、「パソコンに不具合が発生した」と昨日、タツオミに助けを求めていたのだ。そして直したついでにパソコンの操作について、レクチャーをしていたのだが……
「別に困ったらお前がいるじゃないか」
「自分で何とかしようとしてください!」
「考えておこう」と適当に言う村長。それを見て呆れるしかないタツオミ。
「これで完了……と」
パソコンの不具合を直し、ひと段落する2人。
「ご苦労さん。今、茶を入れよう」
そう言って村長は……いつになく慎重に立ち上がる。それを見てタツオミは首を傾げる。
「どうしました?」
「同じ轍はもう踏まん……」
タツオミは、訳が分からなかった。




