#66 似ている
――村長の家
「「「……」」」
現在、居間にはチヒロとトモ、そして『犬族』の少女がいる。その少女は……チヒロのことを凝視していた。何故かというと、今から30分前……
夏休みの宿題を一緒にやるため、村長の家に来たトモは1人じゃなく、ある少女も連れてきていた。その少女はトモの背中に隠れていて、少しだけ顔を覗かせている。
「誰?」
「俺の従妹……」
少女の名前は『リサ』。トモの母の妹の娘だそうだ。今日はトモの家には誰もいないようで、1人にするのはダメと思い、一緒に連れてきたそうだ。
「この人はチヒロ」
トモが、自分の背中に張り付いているリサに紹介をする。リサはゆっくりと前に出てチヒロを見る。
「……リサ」
そう小さく言うと、再びトモの背中に隠れる。その様子を見て、チヒロは微笑んでしゃがむ。
「チヒロです、よろしくね」
そう言ってリサに手を振る。リサはそれを見て、頬を染めて小さく頷いた。
そしてチヒロとトモは、夏休みの宿題に取り組んでいる。リサは少し離れところで、自分で持ってきた絵本を読んでいる。
「……」
チヒロは困惑していた、リサが自分のことをじっと見てるからだ。そしてチヒロが不意にリサの方を見ると……
「……!」
すぐに目をそらして、絵本の方に目を戻す。ちなみに、これで3回目である……。
チヒロは、気づかれないようにそっとリサの方を見る。
「(……やっぱりトモに似てるなー)」
トモと同じ銀髪と犬耳、そして無表情なところ……チヒロはそんなことを思いつつ、宿題の方を続ける。
30分が経ち、一先ず休憩することにしたようだ。
「あ、そうだ。村長がお土産にもらった『シュークリーム』があったな。2人とも、それ……」
「食べる!」
チヒロが言い切る前に、大きい声をあげてそう言ったのは……リサだった。チヒロとトモは、リサの方を見る。
「あっ……」
リサは顔を真っ赤にして、トモの背中に隠れる。チヒロはそれを見て苦笑する。
「じゃあ、ちょっと待っててね」
チヒロは台所に向かう。その間も、あの時のリサの行動を思い出していた。それを思い出すと、どうしても笑みがこぼれてしまうチヒロだった……。




