#59 トモの手伝い
――和菓子屋 あんず
チヒロとナオがいつものように、かき氷を食べにあんずへ行くと……トモがいた。トモは、ノブコと同じ青のエプロンを着ている。そして……
「……いらっしゃい」
いつものテンションで、そう言った。
トモは夏休みの間、時々この店で手伝いをしていた。
「楽しい?」
ナオの質問にトモは「うん」と短く答える。
「なんで手伝いすることにしたの?」
今度はチヒロからの質問。
「それは……」
「はい、出来たよー」
話の途中、ノブコがかき氷を持ってきた。チヒロはいつもの杏のかき氷、ナオもいつものいちご練乳のかき氷だ。
「そうじゃ。トモ、今日は『よもぎ団子」でいいんじゃな?」
「うん」
トモに何かを確認したノブコは、ゆっくりとレジの方へ戻る。
「よもぎ団子?」
「そう……手伝いのお礼に」
詳しく聞くと、トモは最初、店を手伝うことをちょっと面倒くさいと思っていたが、ノブコから……
「(手伝いを頑張ってくれたら、団子をご馳走しよう)」
ノブコのその一言で、やる気になったそうだ。
「団子のためか……」
「トモらしいね」
チヒロとナオは笑いあった。そして、トモは相変わらずの無表情だった。
「……」
トモは、自分の家へ帰っている途中だった。右手には、団子が入った包み紙を持っている。
「あっ、トモ」
向こうから、ハルコがやってきた。
「そっか、お手伝いしてるんだ」
トモとハルコは話をしていた。しかし、ほとんど喋っているのはハルコだが。トモは、ハルコが持っているビニール袋が気になっていた。
「あ、これ?」
トモの視線に気づいたハルコは、「これはねー……」とビニール袋の中を見せる。
「パンケーキの材料?」
「そう。今、勉強中なの。自信作ができたら、トモに一番に食べさせてあげる!」
ハルコはその後、「じゃあね」と言ってトモと別れる。
「……」
トモはしばらくハルコを見て、再び自分の家へ歩き始めた。さっきと違うのは、少し微笑んでいることだ……。




