#42 夏のある日
――村長の家
「暑いねー……」
「そうだなー……」
チヒロとナオは、居間で寝ころんでいた。セミの鳴く声と風鈴の音が同時に聞こえている。机にはノートと鉛筆がある。どうやら宿題をしていたようだが、今は休憩中のようだ。
「海、行きたくね?」
ナオが寝ながら話す。
「海かー……」
チヒロはそう言うと、頭の中に海を思い浮かべる。そしてチヒロは、去年の夏に2年生のメンバーと、少し離れた場所にある海に遊びに行ったことを思い出していた。
「今年もみんなで行こうよ!」
「どうかな?」
チヒロは体を起こす。
「去年は、みんなの都合が偶然に合ったからいいけど……」
「あー、そうだったっけ」
「ただいまー……っと、ナオもいたか」
村長が帰ってきたようだ。
「ジュース買ってきたけど飲むか?」
「「飲むー」」
チヒロとナオは、村長から缶ジュースを受け取る。
「さて、手紙のチェックと……」
「おー、ホントにやるようになってる……」
そう、村長はあの件があった日から郵便物、特に手紙はしっかりと確認するようになっていた。
「お?」
村長は、1つの封筒に目が止まる。そしてその封筒を開け、手紙を読むと……
「すげぇ、あいつ別荘を買ったのか!」
「何々~?」
「あぁ、俺の友達が別荘買ったらしい、場所は『キサラギ』だ」
「キサラギ?」
「キサラギはね、こっから2時間くらいかな?人気の別荘地なんだよ」
ナオがチヒロに説明する。そして封筒には手紙のほかに1枚の写真があり、3人はそれを見る。そこには真新しい大きな別荘が写っていて、とても豪華そうだった。
「へー、社長さんなんだ!」
別荘を買った村長の友達の職業は、水産会社の社長だった。
「村長の友達って他にどんな人がいるの?」
「そうだなぁ……ほかの村の村長は、何人かはワシの学生時代の友達だな。後は……」
この後も3人の話は夕方まで続いた。
「おー、久しぶり。手紙読んだぞー」
その日の夜、村長は友達に電話をかけていた。
「ん?それは本当か?そうか……考えておこう」
そして、夏休みがはじまる……。




