#41 ワタルの家出(後編)
――村長の家
「「ごちそうさまでした」」
夕食を終えても、ワタルのお父さんは来なかった。ワタルは、完全にこのまま泊まる感じになっていた。このまま今日は来ないのだろうか……と、チヒロが思っていると
「ごめんくださーい」
玄関から女の人の声がした。
「どうぞ」と村長が連れ添ってきたのは、ワタルのお母さんだった。
「母さん……」
「ワタル、迎えに来たわよ」
ワタルはその言葉を聞くと、少し何かを考えてから……「父さんは……何か言ってた?」と質問をする。
「……ふふっ」
ワタルの母さんは、何かを思い出したのか小さく笑う。それに首を傾げるワタルたち。
「それがね……」
「謝る練習をしてた?」
ワタルのお母さんの話を聞いて、チヒロは驚く。ワタルのお父さんとは何度かあったことがあるが、とにかく相手にも自分にも厳しいタイプの人なのを覚えていた。
「父さんが謝る……?」
ワタルも同じことを考えていたようだ。ワタルも、お父さんが謝る練習をしているというのは想像できないようだ。
「あの人も少し言い過ぎたなと思ったのよ、きっと」
「……さて、どうするんだワタル?」
チヒロはワタルに問いかける。そしてワタルは……
「……荷物持ってくる」
それだけを言って、客間の方へと向かっていった。
「お世話になりました」
ワタルの母さんと村長が話している最中、チヒロもワタルと立ち話をしていた。
「ちゃんと仲直りしろよ」
「わかってるよ……でも、また来るかもな!」
ワタルのその言葉に、チヒロは呆れながらも思わず笑う。そしてワタルとワタルの母さんは、自分たちの家へ帰っていった。
そして次の日、ワタルから電話がかかってくる。チヒロは仲直りした話を、長々と聞く羽目になるのを、チヒロはまだ知らない……。
リメイク前の1~41話まで書きました!
これからもよろしくお願いします!




