#37 あんず
――ツキカゲ中学校・2年生の教室
「「おはよー」」
「おはよう、暑いねー」
レナはハンカチで汗を拭う。トモを見てみると、団扇をあおいでいる、自分で持ってきたようだ。
「俺も持ってくれは良かった……」
今日から7月、太陽がギラギラと輝いていた。そしてチヒロは、あることを思い出した。
「そうだ、今日から『あれ』が始まってるんじゃないか?」
「あぁ……そういえばそうだね」
「よし、今日食いに行こうぜ!」
チヒロはナオと『あれ』を食べに行く約束をした。『あれ』の正体とは……?
授業が終わり、チヒロはナオと、ある場所へと向かう。そこは広場の中にあり、この村で一番長く続いている店だ。
歩いて10分、その店に着いた2人。その店とは……和菓子屋の『あんず』である。この『あんず』は、団子がとにかく美味しいことで有名なのだ。トモのために団子を奢る時も、この和菓子屋に来ている。早速、中に入ると……
「おばあちゃーん」とナオが声を出す。すると……
「はい、いらっしゃい……」
この店の店主、『犬族』の『ノブコ』が奥の方からゆっくりと歩いてきた。
「おばあちゃん、『あれ』今日からだよね?」
「あぁ……『あれ』かい、今日から用意しておるよ。お前さんたちが第1号のお客さんじゃ……ほれ、こっち来なさい」
ノブコが手招きしてながら歩いて、2人はそれについて行く。
2人の前には……大きなかき氷機があった。というわけで『あれ』とはかき氷のことだった。ここ『あんず』では、普段は和菓子しか置いていないが、夏季限定でかき氷を売っている。
そしておばあちゃんがでかい氷をかき氷機にセットする。
「ほれ、今日は特別にやらしてあげよう」
「いいの?」
ナオが聞くと、ノブコは「あぁ」と笑顔で言う。
チヒロとナオは、それぞれ自分のかき氷の氷を器に入れた。ナオが氷を器に入れ終わったと同時に、ノブコが小さいかごをもって来た。かごの中には、色々なかき氷のシロップが入っていた。
「ほれ、色々あるぞ」
「俺、いちごーっと」
ナオはイチゴシロップをかけた後、さらに練乳をかける。チヒロは、この店の一押しであり、去年初めて食べてからハマったという『杏シロップ』をかける。こうしてかき氷は完成した。
「「いただきまーっす!」」 “パクッ”
「「……うめぇー!」」
やっぱりかき氷はいいな……とチヒロは思った。2人は、自分で作ったかき氷を堪能した。




