#36 その日が来るまで
――ツキカゲ学園・図書室
「どうしたの、チヒロ?」
「あ、いや別に……」
「おーいお前ら、飲み物用意したぞー」
チヒロたちは図書室に戻り、ユウキが用意したお茶を飲む。チヒロはまだ考えていた……卒業アルバムに写っていたあの人、『チハル』のことを……。
そしてチヒロはあることに気づいた。ユウキはこの人のことを知っているだろう……と。そしてチヒロは、後でちょっと聞いてみようと決めた。
「よし、休憩は終わりだ」
「じゃあやるか……」
「おう!」
休憩が終わった後、チヒロたちは再び作業を始める。
そしてあっという間に夕方になった。まだ3分の1は残っているが、最初の頃よりは片付ている。
「今日はここまでにしよう、今日はお疲れ様」
「はぁーっ、疲れたー!」
「そうだね……」
ナオとトモは疲れているようだ。
「さて、帰るかチヒロ」
「あ、悪いな ちょっとユウキさんに話があるから、先に帰ってて」
「そうなの? わかった、じゃあトモ帰ろうか」
「うん」
「じゃあねー、チヒロ」
ナオとトモが帰り、2人だけになったところで、チヒロはユウキに質問をする。
「ユウキさん、あの……」
ユウキは、卒業アルバムの写真を、腕組みをしながら見ている。
「チハル先生は確か……俺が中学2年生の時に来たんだよ、3年生の時に担任になったんだけど、とても優しい人だったなぁ……ちなみに俺が『人間族』っていう種族を見たのが、その日が初めてなんだ」
ユウキは、15年前のことを鮮明に覚えているようだった。
「この人とはその後会ってないの……?」
「それがなー……俺らの卒業と同時に学園を辞めちゃったんだよ。それ以来は会ってないなぁ……」
「そうですか……」
「それにしても、どうしてチハル先生のこと気になったんだ?」
「実は……」
チヒロはユウキに、時々見る夢のことについて話した。ユウキは、最初は驚いていたが、その後は「うんうん……」と相槌をうちながら聞いていた。
「確かに気になるよなー、それは」
「はい……」
「何とか力になれればよかったんだけどなぁ、悪いな、力になれず……」
「いや、大丈夫です……」
チヒロは歩きながら、今日の出来事を思い出していた。
あの夢の人はどんな人なのかはわかった。しかし、それじゃあ何故あの人が夢の中に何度も出てくるのか?あの人に会ったことがあるのか?チヒロの中で様々なことが思い浮かんでいた。
「……いや、焦っちゃダメだ」
あまり深く考えすぎてはいけない、必ず思い出す日が来る。その日が来るまで待とう……チヒロは空を見上げてそう決心した。
「ふーっ、暑いな……」
チヒロは来ていた上着を脱いで、Tシャツ1枚になる。季節はそろそろ夏へ……。
#1から#36までが『春編』です。#37から『夏編』となります。




