#24 ナオの家出
――村長の家
「また家出~?」
「そう」
ナオはオレンジジュースを飲んだ後にそう答える。チヒロは呆れていた。
「……今度はどんな理由?」
「それがさー……父さんが俺のアイスを食べちゃったんだよ!」
チヒロはため息を吐く。家出した理由が小さすぎるからだ。
「また食べ物でのケンカか……何度目になるかねー……」
「それだけじゃないんだよ! 父さんはその後なんて言ったと思う!?「アハハ、ごめん」だって……いや、何を笑ってんだよ!今こっちはめちゃくちゃ怒ってるんですけど!?」
ナオは、語気を強めながら理由を話しているが……今日が初めてじゃない。チヒロは、大体同じ話をナオが家出してここに来るたびに聞かされていたのだ。
「ちょっと、聞いてるチヒロ?」
「聞いてるよ……っていうかさ、家出するほどのことかなっていつも思うんだけどね」
チヒロのそんな言葉にナオは信じられないといった表情だ。
「えっ、じゃあチヒロは何か食べ物を取られちゃったらムカつかないの!?」
ナオがチヒロに顔を近づける。
「それはムカつくと思うけど……」
「でしょ?」
「おう、来てたのかナオ」
村長が帰ってきたようだ。ナオは、村長にもこの家に来た理由を話す。
「そうかそうか、確かにタツオミが悪いな」
「そうだろー?」
村長がナオの話に賛同する。ナオはそれを聞いて嬉しかったようだ。
「ワシもなぁ……父さんとケンカして家出したな……」
「そうなの? どんな理由で?」
「聞きたいか?」
チヒロは理由が気になって「聞きたい」と返す。ナオも気になったのか「俺も聞きたい」と答える。
「よし、話してやろう……」
――村長視点
ワシが18の頃だ、その時ワシは将来について悩んでいてな……。父さんとはその話になるといつも口論していたんだ。
「もっと現実を見据えろって言ってんだ!」
「わかってるって! 何度も聞いてるよその言葉!」
「わかってないから何度も言ってるんだろ!」
あの時はそんな日が多く続いたな……。そしてある日……あの事件が起きた。
「父さん、何してくれたんだ!」
「何だ、何のことだ?」
「とぼけんな! 俺が……俺が楽しみにしていた団子を食っただろ!!!」
「……」
「ホントにあの時はムカついてたんだな、ムキになって家出した……けどその後すぐに帰ったけどな」
「いや、あの……」とチヒロは口を挟む。
「ん、なんだ?」
「えーと、きっかけは……団子?」
「ん?」
「いや……将来のことについてが原因じゃなくて……団子が原因で家出したってこと?」
「あぁ、きっかけはそうなるな」
ナオは、村長を「何言ってんだこの人」というような顔をしていた。チヒロも同じような顔をしていた。
「チヒロ、俺帰るね」
「えっ?」
「なんか別に家出することもないなって思ってさー。じゃあまた学校で 村長、おじゃましました」
そう言ってナオは、早足で自分の家へ帰っていった……。
あいつしばらくは家出することはないだろうな……とチヒロは思った。




