#21 チヒロの決意
――村長の家
夕食が終わった後、チヒロはエミリがいる客間に来ていた。チヒロは、エミリと付き合ってる彼氏が気になっていた。なので、チヒロは「どんな人なの?」と聞いてみることにしたようだ。
「んーとね……私と同じ『狐族』の人でね、私と同い年なの。ちょっと待ってね……」
エミリはそういうと、カバンの中を漁る。そしてその中から手帳を見つけ、そこから1枚の写真を出す。
「この人だよ、名前は『ナオヤ』」
チヒロはその写真を見る。その写真にはエミリと彼氏のナオヤが笑顔で写っていた。
ナオヤは背が高くて清潔感があり、とても人がよさそうな印象がある。好きになる人は多いだろうな……とチヒロは思った。
「そういえばさ……結婚するんだよね?」
「うん」
「夏休みにホントに……彼氏を連れてくるの?」
チヒロは気になっていたことがもう1つあったようだ。
「ホントだよ。なんだかんだ言ってお父さんもナオヤに会えばわかってくれるよ!」
「なんだかんだねー……」
チヒロは村長のあの顔を思い出して苦笑する。
「チヒロも、会うの楽しみにしててね!」
「うん……」
そして次の日、エミリが菜の花畑を久しぶりに見に行きたいと言ってきた。そして現在、チヒロとエミリは、菜の花畑のある洞窟を歩いている。
「チヒロも、あの菜の花畑知ってたんだねー」
「あー、つい最近ね」
そんな会話をしていると、あっという間に菜の花畑に着く。意外と早く着くんだな……とチヒロは思った。
「わぁー、久しぶりだなこの景色」
エミリは笑顔で菜の花畑を見渡す。そしてカバンからおもむろにカメラを取りだす。
「お母さんにもこの菜の花畑を見せとかないとね。そうだ、チヒロも撮ってあげる」
「いや、いいよ俺は……」
「いいからいいから」
その後チヒロの写真、そしてエミリの写真、そして2人で写る写真を撮り、菜の花畑を後にした。
「「ただいまー」」
村長の家に着き、エミリは客間の方へ行く。チヒロは居間の方へ行くと村長が紙に何かを書いていたのが気になっていた。
「村長?」
「ん、あぁ お帰り」と村長がチヒロに気づく。
「何を書いてたの?」
「あぁ、ちょっとな……おっと電話だ」
村長が居間から出て行ったあと、チヒロは村長が何を書いていたのか気になりこっそりと見てみることにした。
そこには……『彼氏が何か言ってきたときの対応の仕方』と一番上に書いてあり、その下には何度も消したり書いたりを繰り返したように『対応の仕方』が書いてあった。彼氏が来るのは夏なのに……それまでこの『対応の仕方』を考えるのかなと思うとチヒロはおかしいと思い、少し笑ってしまった。そして、このことはエミリには黙っておこうと、チヒロは決意した……。




