#20.5 あの夢
※チヒロ視点の番外編です。
まただ……またこの夢だ……
今、俺はどこにいるのかわからない。ここにあるのは辺り一面の草原、その向こうには大きな川がある。
この夢を見るのはこれで三回目、この場所をしばらく見ていると……やっぱり来た。
「……」
青い着物を着た若い『人間』の女性だ、あの人はじっとこちらを見ている。一回目、二回目も同じようにあの人がじっとこちらを見ていた。
「あの……」
俺はあの人にしゃべりかけてみた。
「……」
あの人は何も言わない。
あの人は振り返ってそのまま向こうの方へ行こうとする……
「待って!」
俺は声を上げる、そしてあの人はピタッと止まりこちらを振り向く。今までは何もいえずにいたが、今回は思っていたことを聞いてみようと思ったんだ……。
「……あなたは誰なんですか?」
「……」
「……俺のことを知ってるんですか?」
「……」
あの人は何も言わない、しかしさっきの無表情とは違って、少し悲しそうな顔をしていた。俺はさらに質問を続けようとしたその時……
「……ごめんなさい」
「……え?」
あの人は小さくそういうと、振り返って向こうの方へと歩いて行った……。
「……」
俺は目が覚めた。窓を見ると夜が明けていた。
(「……ごめんなさい」)
……結局、今回もわからなかった。あの言葉はどういう意味だったのか。……いつかわかる日が来るのだろうか。




