#15 探検
――村長の家
「……なんだって?」
「だーかーらー……」
「俺たちとー……」
「「探検しようぜ!」」
「……」
さて、みなさんはこの2人を覚えているだろうか。『猫族』で双子のケンイチとケンジのことを。ケンイチとケンジとは、ナオと同じくらい会うことが多かった。チヒロは文句を言いつつも、なんだかんだいって2人の遊びに付き合っている。ケンイチとケンジは、そんなチヒロのことが大好きだった。
「「やろうよ、探検!」」
「どうして急に探検を?」
理由を訊くと、どうやらケンイチとケンジは、先日に見た映画の探検シーンを見て『かっこいい』と思ったらしく、自分たちも探検してみたいということだった。
「そして俺たちも……」
「伝説の秘宝を見つけるんだ!」
「「なー!」」
ケンイチとケンジは、声が揃う。そんな双子を見てチヒロはため息が出る。
「探検する場所とかねーだろ、遠くに行くのか?」
「それは大丈夫だ、もう見つけてあるから」
「このツキカゲ村にね」
「(そんなところあったか……?)」とチヒロは思った。
「というわけで、今回の探検場所は……」
「待て!」
ケンイチが言い切る前にチヒロは口をはさむ。
「俺はまだ一緒に行くとは……」
「えー?」
「大丈夫だケンジ、チヒロは来てくれるから」とケンイチが言うとケンジは「そうだね」と納得する。
「いや、おい……」
「じゃあ探検場所は当日発表ってことで」
「じゃあチヒロ、明日の昼に広場で待ち合わせねー」
そしてケンイチとケンジは足早に帰っていった。チヒロは明日が来るのが憂鬱になっていた……。
――次の日
天気はとてもよく晴れていた。チヒロは時間通りツキカゲ村にある広場にやってきていた。そしてその隣には……何やら仏頂面のナオが座っていた。
「「おーい!」」
チヒロが声のした方へ振り返ると、向こうからケンイチとケンジがやってきた。
「あれ、ナオも来たのか?」とケンイチ。
「そうだ、ナオも行きたいって俺に懇願してきてな」
「してない!」
今まで何も喋らなかったナオが、今日初めて口を開く。
「昨日何しに行くのって聞いて「明日のお楽しみ」って言うからなんだろうと思ったら、今日は探検だって……あぁ~、予定入れとけばよかった……」
ナオは頭を抱えてしゃがみこむ。
「まぁまぁ、それで今日行く場所はどういったところなんだ?」
チヒロがそう言った後、ケンイチが広場にある大きな岩の上に乗る。それにケンジ達3人はケンイチを見上げる。
「では発表します……今回、探検する場所は……」
「「「……」」」
「オオツキカゲの奥にある、謎の洞窟を探検しまーす!」
「イエーイ!」
「「……」」
盛り上がるケンジとは裏腹に、チヒロとナオは開いた口が塞がらなかった……。