＃13 結果
――放課後・図書室
「……」
「トモさーん、まだ落ち込んでますかー？」
現在、チヒロはトモと一緒に図書室にいた。トモは顔を伏せて珍しく落ち込んでいた。その理由は……
「負けた……マモルに負けた……」
――テスト返却日
「……というわけで今回、特別補習の対象者はなしだ！」
「よっしゃあーっ！！！」
マモルは絶叫して喜ぶ。ナオとレナも喜んでいた。
「よかったよー！」
「私、初めて90点とった……」
……そして授業が終わった後、それぞれがテストの結果を確認しあう。
「チヒロは社会どうだったー？」
「前よりは上がったな、しっかり復習しといてよかった」
「うわー、やっぱハルちゃんすごいなー」
「ん？おー、やっぱハルコは高得点ばっかだな」
「毎日の予習とテスト対策のおかげだよ」
それぞれがテストの成績が上がっていることに喜ぶ。そして全員がテスト勉強の大切さを改めて感じていた。
「何っ！？」
急な大声に振り返ると、トモが両手にテスト用紙を持って固まっていた。トモの普段聞かない大声に驚く一同。
「どうしたどうした？」とチヒロはマモルに問いかける。
「ん？今、トモと数学のテスト見せ合ってたんだけど……」
マモルがトモからテスト用紙を取り上げて、チヒロに見せる。トモが『90点』、マモルが『93点』だった。
「おぉ……マモル、めっちゃすごいじゃん……」
チヒロだけじゃなく、みんながマモルのテスト用紙を見て驚いている。
「いやー、数学が一番良かったんだよなー！」
マモルの他の教科のテストを見てみると、50点台や60点台といった感じだった。
「ん？じゃあトモはなんで固まってんだ？」
トモを見てみると、頭を抱えていた。そして何やらぶつぶつと呟いていた。
「ト……トモ？」
「負けた……マモルに……勉強で……」
……どうやら、マモルよりテストの点が低かったことがよっぽど悔しかったようだ。
「で、でもいいじゃん！トモも、前よりテストの点上がってたでしょ、よかったじゃん！」
「そうそう、社会『98点』ってすごいじゃない！」
ナオとレナが励ますが、効果はないようだ。その後の授業も、トモはずっと落ち込んでいた。
――図書室
「……トモ」
「……」
相変わらず落ち込んでいるトモ。しかしチヒロはそんなときの対処法を知っていた。
「明日、団子食いに行こうぜ」
「行く！」
チヒロの言葉にトモはすぐに顔を上げ、キラキラした目で答える。
トモの機嫌を直す方法……それはトモが一番好きな食べ物の団子をご馳走することだった。チヒロ達はこの方法を使ってトモの機嫌を直している。
「じゃあ、明日ね」
トモはそう言って、図書室を出ていった。そんなトモにチヒロは……苦笑するしかなかった。
