第三章 封《と》じる者 穿つ者 (2)
トルナーレ隊に続いて、サン・クレメンテ基地へと先行して上陸した光輝がみた光景とは――。
2
第一艦隊艦載機部隊は、戦闘機での戦いを
主としているものの、戦闘機で強襲後、相手
艦隊に乗り込む事もままあるため、全員がそ
れなりに、腕に覚えがある。
基地メンテナンス通路外部ハッチを開ける、
非常用パネルについては、スタフォードによ
って〝乗っ取りウイルス〟が仕込まれていた
が、次の定石としては、そのウイルスを剥が
して、物理的に「侵入」をする事なので、シ
ェルダンから事前に解錠コードが渡されてい
たテゼルトは、それを使って、基地の中へと
乗り込んだ。
「艦橋、医局、兵器管制室、営倉、居住区…
だったな。よし、事前に打ち合わせた通り、
ここで分かれるぞ!問題があった場合は、俺
に報告、あるいは艦橋まで来い!」
とりあえず、基地の主要部署がどうなって
いるのかを確認しなくてはならないので、テ
ゼルトはまず、それぞれに部署の解錠コード
を渡して、隊を分散させた。
そしてテゼルト自身は艦橋へと向かい、ベ
ルンフィールドが光輝に通信を飛ばしたのが、
実にこの時だった。
「隊長!4代目から、お墨付き出ましたけど、
どうしますー?」
状況が状況なので、詳しく口に出来なかっ
たベルンフィールドだったが、テゼルトは正
確にその先を読み取っていた。
「全員そのまま行かせろ!多少の想定外で腰
が引けるようなヤツが、ウチの隊にいるのか
⁉︎」
どう見ても、正気じゃない兵が暴れている
のは、尋常な事態ではないのだが、かと言っ
て、隊員を引き返させて、隊を固めたところ
で事態が泥沼化するリスクを上げるだけであ
る。
「演習とでも思って、堕として来い‼︎」
迫力あるテゼルトの声が、場を圧倒する。
隊員達も、怯むどころか「はっ!」「おお
ーっ‼︎」と言った気炎を各々が上げた。
銃に関しては、殺傷能力が並ではないプラ
ズマ光線銃になるため、普段は武器庫で管理
され、常時携帯を認められている将官を除き、
作戦上必要と判断された時にしか貸与されな
い。
佐官以下の士官兵士が普段所持しているの
は、特殊金属製の柄形で、柄頭のスイッチを
切り替える事で、プラズマの光刃が、剣、短
剣、鞭と切り替わる様になっている、変形武
器である。
変形を統一させる事もあるが、この時点で
は、どの形態で攻めるかについては、個人の
裁量に委ねてあった。
テゼルト自身は、剣と鞭を器用に使い分け
る事が多い。鞭で相手の武器を弾いたり、手
足の動きを封じたりした上で、剣で留めを刺
したりするので、その一連の大きな動きが〝
死神の大鎌〟と呼ばれる所以でもあった。
テゼルトは、無闇に殺すなと言った光輝の
言葉を聞いていた訳ではなかったが、サン・
クレメンテは金星側の基地であると言う意識
が先んじていたのか、光刃鞭で暴れている兵
の足を狙って、次々と床に転がしていた。
ただ、暴れている兵達が、どう見ても正気
じゃないと彼らが思ったのは、その血走った
目もさる事ながら、テゼルトが足の腱を切っ
て床に転がしているにも関わらず、起き上が
って飛びかかろうと不気味な声をあげるので
ある。
後日「C級ゾンビ映画を無理矢理見させら
れたみたいでした」と漏らしたベルンフィー
ルドが、テゼルトの後方から更に乱闘する羽
目になっていたのは、そう言った理由からで
あった。
「ベルン、鍵!」
念のため、解錠装置を最後方のベルンフィ
ールドに預けていたテゼルトは、艦橋の扉の
前でそれを受け取ると、開閉パネルにそれを
セットして、扉を開けた。
「……っ」
――鼻を突いたのは、血の臭い。
床の血は、既に乾いてこびりついていた。
だが、艦橋の隅に薄紫の布で覆われた小山
があり、そこから人の手のような物が覗いて
いるのを見れば、何があったかは、想像に難
くない。
「第一艦隊艦載機部隊だ!基地の凍結プログ
ラムは解除された!今、艦橋に責任者はいる
か⁉︎」
あくまで〝トルナーレ隊〟は通称なのだが、
その方が通りが良い場合も多い。
テゼルト達が突然現れた事に、ギョッとし
たように身体を浮かせた士官もいたが、案の
定〝トルナーレ隊〟の言葉に、空気がやや和
らいだ。
恐る恐る…と言った態で、艦橋の一角から
手が上がる。
「兵器管制主任ユーダム少佐です。基地責任
者であるノティーツ大佐ですが…その……」
ノティーツが、基地乗っ取りを危惧して、
基地を閉じてしまっていたと言う話すら、乗
り込む直前に聞かされたテゼルト達にとって、
その先の話は、彼らの権限も、許容範囲も越
えていた。
アルフレッド・シーディアが、そろそろト
ルナーレの所に合流する筈だとは思ったが、
状況的に、それを待つ余裕はないように、テ
ゼルトには思えた。
そして、そんなテゼルトからの通信を受け
た光輝も、その判断は、迅速果断。
まだ他の部署に向かわせた部下からの報告
も揃わない内に、スタフォードら数名と共に、
短距離移動艦で早々に基地に乗り込んで来た
のである。
〝トルナーレ隊〟の隊長は、生え抜きで繰
り上がる場合と、出世コースの通過点として、
他艦隊から配属される場合と、代々二通りに
分類されるのだが、6代目テゼルト、4代目
光輝、2人共が後者に当たるため、生え抜き
組のベルンフィールドと違って、直接の面識
がない。
だがテゼルトの方には、ベルンフィールド
を始めとする、生え抜き組からの情報がアレ
コレ吹き込まれているため、およそ10歳年齢
が違うと言う事についての、卑屈さや嘲りな
どは全くなかった。
「艦橋にいた者達の話を、ある程度まとめる
と、ノティーツ大佐が星域保安庁宛に超法規
回線を開いて、基地の閉鎖を通告した直後、
何者かに刺されたようだ、と。副官のルーサ
中尉も同様のようです。2人を医局へ運んで、
残された士官でプログラムの解除を試みたも
のの、手こずっている内に、高位権限者が次
々倒れたり暴れ出したりしはじめて、通常業
務すら雲行きが怪しくなってきたため、暴れ
ている兵士、士官を全て通路に締め出して、
まずは正気な人間の保護を優先したところで、
今に至る――と。まぁ、通路を進む都度、暴
れる兵とぶつかるのも道理です」
テゼルトから、そう報告を受けて、光輝は
僅かに顔を顰めた。
「暴れている理由に心当たりのあるヤツは、
いないと言う訳か」
「そのようです。医局は、暴れた兵に巻き込
まれた者達の治療に追われて、暴れる原因に
までは手が回っていないのが、現状かと」
光輝もテゼルトも、まるで麻薬中毒患者の
ようだと思ってはいたが、医局の専門家を頼
らず、判断するような事はしない。
「第七艦隊からも、医務士官を回すか――」
光輝がそう言いかけたところで、テゼルト
が所持していた、無線通信機が鳴った。
『隊長。こちら、営倉班のキンバリーです。
今、話せますか』
「問題ない。続けろ」
『続ける、と言いますか…隊長、営倉へ来て
頂いても?」
デレク・キンバリーは、隊の次席、副長で
ある。また、生え抜きか配属かと言われれば、
彼は生え抜き組、光輝との面識もあり、余程
の事がなければ、連絡をしてくる事も、まし
て自分のいる方へ来るように言う事もないと
思えるため、テゼルトも、そこは一刀両断に
はしなかった。
「…こちらもいま、血の痕が散見されている
ような状態だが?」
単に理由を説明しろと言っても、状況的に
困難な場合もあるため、テゼルトはまず、キ
ンバリーに、重要度の判断基準を与えた。
これは同時に、自分達の判断基準にもなる。
『確かにこちらでも、同様の事象が発生した
形跡があります。ですがそれは、暴走兵の犯
行ではありません。…少なくともこちらでは。
こちらには、いる筈のない者達がいて、彼ら
が営倉の中を自ら制圧したんです。本人達の
話も、もちろん聞きました。ただ正直――私
の職域で、それ以上どうこう言える話ではな
い、と』
「いる筈のない者…?」
「テゼルト、行くぞ。ここはスタフォードと
ベルンフィールドにでも預けて、シェルダン
と連携させろ」
中佐であるキンバリーが判断に困る話、と
聞いた時点で、光輝の動きは早かった。
「…はい?」
「ちょっ…お二人で行くのやめて下さい!分
かりました、こっちは何とかしますから、何
人か連れて行って下さい‼︎」
ベルンフィールドは、システム関係にそれ
ほど強い訳ではない。
が、この隊で「出来ない」「苦手」は基本、
誰も口にしないので、ベルンフィールドとし
ても、ぽかんと口を開けたスタフォードを巻
き込んででも、場を預かるより他はない。
恐らくはキンバリーが営倉へ向かった際、
そちら方面の暴走兵はあらかた叩きのめして
いる筈だが、それでも、光輝とテゼルト、2
人で向かわせるなど、言語道断だ。
慌てて3名ほどに後を追わせつつ、ベルン
フィールドは、それまで代理で基地を預かっ
ていたユーダム経由で、基地の通信士官に、
第一艦隊旗艦にいる筈のシェルダン宛、回線
を開いて、凍結された基地のプログラム解除
に関して、その指示を仰ぐよう伝達をした。
ただその結果は、とりあえず自分が着くま
では、スタフォードの手を借りるようにと言
うシェルダンの「指示」を招く形になり、ス
タフォードが画面の向こうに本気で切れると
言う状況を、基地内に生み出した。
どうやらスタフォードは、戦闘機乗りであ
りながら、白兵戦にもそこそこ強く、更にシ
ステムにも強いらしい。
上官に平然と、喰ってかかれる度胸もある
ようだ。
…と、その会話から察したベルンフィール
ドだったが、ガチ切れ中の本人に、褒め言葉
にしろ、声をかける事は流石に控えた。
ただ後で、隊長であるテゼルトには状況を
過不足なく報告したため、面白がって、鍛錬
と言う名の二次災害(もしかすると、三次四
次だったかも知れない)にスタフォードが引
っ張り回される事になったのは、黙って墓場
まで持って行こうと、内心で誓う。
――ちょうどその頃が、アルフレッド・シ
ーディアがトルナーレと再合流を果たした頃
であった。
※ ※ ※
「隊長、こっちです」
営倉までの通路は、艦橋までのそれと大差
なく、暴走兵がいたようだったが、既にキン
バリーらによって蹴散らされた後で、抵抗も
ない状態で、光輝とテゼルトは、入口まで辿
り着く事が出来た。
「4代目も、ご無沙汰しています。すみませ
ん、お二人ともにご足労頂いて…」
またしても言われる「4代目」の言葉に、
光輝の顔が引きつって――と言うか、こめか
みに青筋が浮かんでいるようだったが、その
先を言わせない内に、営倉の違和感に気が付
いたテゼルトが、辺りを見回しながら、キン
バリーに声をかけた。
「二重構造…か?これは……」
警邏室の隣に鉄格子、その奥に相部屋と、
個室…と言うのが、一般的な営倉の構造であ
る筈だったが、キンバリーが姿を現したのは、
更にその奥にあった扉――と言うよりは、壁
面に擬装されていた扉――の向こうからだっ
た。
「我々も、この扉に気が付いたのは偶然なん
です。解除コードは営倉の入口と警邏室だけ
でしたし、ましてや壁に同化した扉なんて、
あるとも思いませんからね。突然ここが開い
て、人が出て来た時は流石に絶句しましたよ」
キンバリーが、コンコンと、軽く壁を叩い
ている。
「しかもそれが、血塗れの少年でしたから」
「⁉︎」
「いえ、どうやら死んだ兵たちをどうするか、
考えあぐねた結果が、兵たちを奥に安置して、
自分達が表の営倉に入る事だったようで…。
血は、少年自身のものではありませんでした」
第一艦隊艦載機部隊の隊長は、現在はテゼ
ルトであり、キンバリーからの報告を受ける
のも、まずはテゼルトであるべきと思ってい
た光輝は、敢えて口を挟まずに、相部屋の個
室の中を、監視用の小窓から一部屋ずつ覗い
ていた。
「営倉を制圧した彼ら、と言うのは少年なの
か?しかも独りじゃなく?そもそも、何故少
年が営倉に?」
テゼルトの疑問は、留まるところを知らな
い。
営倉の中に入ってしまえば、自分の意志で
鉄格子の外へ出る事は難しい。奥を死体安置
所にしたために、手前の部屋に入らざるを得
なくなったところまでは、もちろん理解出来
る。
だが問題は、そもそも何故、営倉になど入
る事になったのか、である――それも、二重
構造の奥に、押し込まれるようにしてまで。
「……あくまで、私が聞いたままを申し上げ
ますので、あとは直接話を聞いて頂けますか」
「あ、ああ」
「身分を誰何した我々に、彼らは答えました。
自分達は、天王星よりも更に先にある、辺境
衛星ルドゥーテから、食糧・医薬品の提供と
引き換えに、連れて来られたと。各艦隊であ
ったり、場合によっては地球軍に潜入者とし
て従軍するよう言われていた――と」
「食糧と引き換えに従軍⁉︎」
それは、言い方を変えた人身売買に他なら
ない。
しかも、地球軍に潜入とまでなれば、その
人材は、下手をすれば「使い捨て」だ。
「いったい、誰がそんな――」
呻くテゼルトに、答えを持たないキンバリ
ーは、首を横に振る。
「ルドゥーテはまだ、辺境開発、入植からそ
れほど年月のたっていない衛星で、奥にいた
少年達は一様に、自分達が表に出る事で、故
郷への医薬品の提供が滞るのだけは困る、と
――」
「なっ……」
「キンバリー」
手前から、一部屋一部屋、小窓を覗いてい
た光輝が足を止めたのは、まさにその瞬間だ
った。
「おまえの言うそれは、こいつらか?」
弾かれたように駆け寄るテゼルトの視線の
先には――3人の少年。
光輝が指差す小窓の先を確認したキンバリ
ーは、頷いた。
「実際は、他の部屋にも更に若い少年たちが、
もう何名かいますが…営倉を中から制したの
は、その3人です」
「開けさせろ。確かに、これは艦載機部隊で
は手に余る。いや、実際に余るかどうかじゃ
ない。佐官級がここで主導権を持つと、まと
めて証拠隠滅の、いい身代わりだ。テゼルト、
おまえは警邏室から、艦橋経由で第七艦隊旗
艦のバルルークに連絡を取れ。そろそろ第一
艦隊の参謀長サマが、ふざけた大返しから、
旗艦に合流している頃だ。どうせ、バルルー
クに俺の居場所を聞いてるぐらいのタイミン
グだろうしな。その方が余計な手間もない。
俺はそれまでに、もう少し話を聞いておく」
光輝のシーディアに対するぞんざいな物言
いが、今更なキンバリーは、完全に聞き流し
て、営倉の扉を開けに向かったが、テゼルト
は流石に少し、乾いた笑い声を滲ませながら
「分かりました」と答えて、その場に留まっ
た。
「艦載機部隊の、ここが限界と言う訳ですか
…。少し悔しいですね。実際の闘いであれば、
どこにも劣らないと胸を張って言えるのに」
「…艦載機部隊と言うよりは、佐官の限界だ
ろうな。悔しいなら、将官に上がれテゼルト。
将官に上がって、お前自身の手が届く範囲を
広げろ。――例えば、こんな風にだ」
そう、光輝は不敵に微笑うと、ガチャリと
旧式な音と共に鍵が開いたドアから、相部屋
営倉の中へと足を踏み入れて行った。
「悔しいなら将官へ、か……」
生え抜きではないが、幾つかの艦載機部隊
や白兵戦部隊を渡り歩いてきたテゼルトにと
って、当初第一艦隊艦載機部隊は軍歴の頂点
とさえ思えていたのだが、近頃は中央議会か
らの圧力を受けたトルナーレが、苦々しげに、
本来の職分から離れた事を依頼すると言った、
ままならない事も増えていた。
その、言葉にならない「もやもや」の正体
が、この佐官と将官の溝だと言われた気がし
て、テゼルトは、しばらくそこに立ち尽くし
ていた。
「隊長!艦橋のベルンフィールドに、第七艦
隊旗艦宛、通信を飛ばすように言いましたか
ら、もうすぐバルルーク大佐と繋がると思い
ますよ?」
「あ…あぁ、すぐ行く!おまえはこっちの様
子を見ていてくれ、キンバリー!場合によっ
ては、おまえが私に中の会話を伝えてくれ!」
「承知しました!」
最初に少年達と邂逅したキンバリーはもち
ろんの事、テゼルトも光輝も、廃れて久しい
「徴用兵」と言う単語が、すぐに口をついて
出た訳ではない。
『辺境衛星からの、徴用兵?』
むしろ、バルルークが言わなければ、この
先、誰の口にものぼらなかったかも知れない。
『現在進行形で、カミジョウ准将が、その彼
らから話を聞いている――ーと言う認識で、合
っているかね、テゼルト大佐?今、私はシー
ディア中将と話をしている途中だったものだ
から、聞かなかった事にするとか、うっかり
報告を忘れるとか、そう言う選択肢は今回存
在せんのだが』
「⁉︎」
この初老の参謀は、いったい何を言ってい
るのかとテゼルトは一瞬目を瞠ったが、ふと、
光輝が言い置いて行った事を思い出し、それ
をバルルークに告げた。
「小官の報告が…貴官とシーディア中将との
連絡の最中になるであろう事は、4代目――
カミジョウ准将も、予測済みのご様子でした
から、そのままご報告頂いて良いのではない
かと。貴官に連絡をとっておけば、それで手
間が省ける――と仰ってましたし」
『今回は、そのまま報告を上げて良い…と。
ふむ。どうやら余波が将官なり議会なりに及
びそうと言う事か…』
「え?」
光輝が、バルルークに連絡を取るよう言っ
た事が、どうしてそこに繋がるのか――テゼ
ルトは把握しそこねたと言う感じで、目を瞬
かせた。
『まぁ、カミジョウ准将が上層部に報告を上
げると言うのは、それくらいの事が起きてい
る証左だと、思っておいて貰って構わんよ。
あの方は実績重視で、報告書の内容で上層部
に媚びや恩を売るような事を、ほぼなさらん
のでね。私が、いつも報告書の匙加減に頭を
悩ませると言う具合だ』
…笑い事ではないのに笑っているバルルー
クは、大したものだと、テゼルトは思う。
『ではまた、ある程度その少年たちの話が拾
えたところで、連絡を貰えるかね?この回線
は、いつでもすぐに通じるよう、開けておい
て貰うとしよう』
「了解です。ではまた、後ほど」
階級は対等だが、年齢は20歳以上違うバル
ルークに対し、最大限の敬意を持って、テゼ
ルトは黙礼した。
もう一度、同じ事をアルフレッド・シーデ
ィアに説明する手間を省いて貰えるのは、確
かに有難いと――そんな風に思いながら。
初代の影響を受けて、若干体育会系なトルナーレ隊は、これからも光輝を「4代目」と呼び続けるのだと思います――きっと(笑)