夢
――ねえ、海斗。
――誰だお前。
――君が昔から知っている者だ。
――名前を言え。
――それは言えないな。
――何故だ。
――何故だろうね。
――なっ!
――それよりも君にお願いがあるんだ。
――何だよ。
――君達・・・・・・
――なに言ってんだ。聞こえないんだけど。
見知らぬ者は口を開いているのに、僕には何も聞こえなかった。
――聞こえているはずだよ。
――聞こえてないよ。
――聞こえているよ。君がある答えを見つけたら必ず聞こえる。
――何だよそれ。答えって何の答えなんだよ。
――それは君自身が見つけることだ。じゃあね。
――おい、待て。
そこで目が覚めた。それは夢だった様だ。
「あいつ・・・翔太・・・・か」
「行って来ます」
「行ってらっしゃい」
朝になり、家をでて、学校に向かっていた。
それにしても、何だったんだ、あの夢は。あれは確かに翔太だった。だが、夢に何で死んでしまった翔太が出てきたんだ。しかもお願いがあるって。答えを見つけなきゃお願いが聞こえないとかも言っていたな。ただの夢だし、気にすることでもないんだけど。
僕が眉間にしわをよせ、考えていると、後ろから声がかけられた。
「よう、何怖い顔してんだよ」
「おう、こう」
僕はこうこと親友の霜田光輝だということがすぐに分かった。
「なにー、悩み事?」
「いや、そんなんじゃないんだけど」
「だけど?」
「いや、そんな話よりも違う話しようぜ」
僕は話を逸らした。こうには悪いが、あまりこの話は誰にも話したくない。
でも、本当になんだったんだ、あの夢は。