1日目-9-
私は手を引かれるまま、東さんの後をついて行きました。最初、人混みの中知らない人々、知らない土地で東さんも戸惑っていたようでしたがわかる道に出れたのか、その後はまっすぐに予約したと言っていたホテルへと辿り着いてしまった。
道中、頭をクシャリと撫でられ驚きと恥ずかしさに包まれるも、しっかりと私に触れ、しっかりと私を感じてくれている事がわかり、内心凄く嬉しかったです。
「予約していた中結です」
「すいません、下のお名前もいただけますか」
「東です」
「はい、少々お待ちください」
手慣れた感じでホテルの鍵を受け取ると、802と書かれた8階の部屋へと移動する。すると、荷物を置いた東さんがその場で固まってしまう。
「どうしたんですか?」
恐る恐る聞き、東さんの後ろから(勿論、手は握ってもらってます)部屋の中へと進むとその意味を察する。
「あ……」
そこには一つのベッドがあり、私達は今二人いる訳で。
「しまったな、燈ちゃんを誘っときながら……うん、今夜は俺地べたで寝るから、ベッド使って良いよ」
「そんな! わ、私はその、あの……」
流石に一緒に寝て下さい、というのはダメだろうか。しかし、いつ東さんに見放されてしまうかわからない。むしろ、私自身いつ東さんにも認識されなくなっちゃうのかわからないのである。グルグルと頭の中で考えて、考えて、考えぬいた結果、私は思い切って提案する。
「あの、その、東しゃん!」
声が裏返り、更に噛んでしまう。あう、と一度顔を伏せてどもってしまうが、すぐさま言い直す。
「東、さん。私、東さんしか居ないんです……だから、その、一緒に寝て下さい」
途端、体中熱くなるのがわかる。そして、今では顔も真っ赤になってるだろう、私はこんな顔みられたくないと逃げ出したくなるが、手を離す勇気も無くその場で俯いたまま身動きがとれなくなった。