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東と燈[invisible days]  作者: ぱてぃる
6/17

1日目-6-

『ツゥルルルル』


「あっ、江藤? 俺、俺だ俺」


 電話から小声で返答がかえって来る。


「タイミングの悪い奴め、どうした親友」


 江藤(しんゆう)は取り込み中らしく、小声で俺の相談にのってくれる。


「あー、そりゃ神隠しの一種だな。残念だが一度被害にあったら人の力ではどうしようも出来ないよ」


「そうなのか……」


「すまん、ちょっと取り込み中なんだ。ごめんな」


 忙しいのか、そう言葉を残して通話は途切れた。


「あの……」


 不安そうな表情をみせる燈には悪いが、俺は親友の言葉を伝えることにする。


「不思議な事に詳しい奴に確認してみた。どうやらお前は神隠しにあってるみたいだ」


「神隠し……?」


「うん。そしてこうも言ってた。人では解決出来ない問題だと……」


 俺が告げると、ギュッと手を握る力が増すのを感じた。


「私どうしたら……」


 不安がる燈を横目に、俺はふと考え込む。親友は俺が困っていた時どうしてくれたか? 俺は、この少女に対して少しは力になれるんではないだろうか。


「良ければ来る、か……」


「えっ?」


「俺にはお前を助けてやる力はない、けど一緒にいてやるくらいなら出来るぞ」


 俺の言葉を聞いた燈は、うん、うんと涙を流しながら何度も頷くのだった。




「さっ、行くぞ」


 俺達はファミレスを後にし、電車へと再び乗る。そして。


「ほら、乗った乗った」


 俺達は大きな駅につくと、今度は新幹線のホームへと辿り着く。そのまま新幹線に乗り込む俺に燈も続く。


「あ、あのあの、私初めてで……」


 キョロキョロと周りを物珍しそうにする燈を引っ張り、俺は予約していた席へと辿り着く。


「あー……」


 二人掛けの席の窓側をとっていたのだが、手前には既に他の客が座っているのである。しかし俺達は二人、座席は一つ。


『立ちっぱなし、という訳にもいかないしさて……』


 手を離してみようとそっと力を抜いてみるも、それを察知してかギュッと強く握りしめる燈。そして俺の顔を不安そうにのぞき込む。


「あの、ごめんなさい……」


「いや、いいって」


 俺が声を出したのに気が付いた手前に座ってた若い男性は、窓側の席の予約者だと気が付いたのか立ち上がりどうぞ、と道をあけてくれる。


『しょうがない』


「行くぞ」


 俺は燈にだけ聞こえるように小声で窓側の席へと連れやる、そして。


「あー、すまんな」

「その、その。私こそごめんなさい」


 俺の膝の上にちょこんと座る燈との旅が始まったのであった。

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