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遊人倶楽部  作者: ヨコワケデュガリー
活動記録03 愚か者の恋
9/28

留学生

その男は朝から住宅地で自転車を

立ち漕ぎしていた。

「寝坊しちまった、急がねぇとな」

加藤健二、アミティエ大学の美術部二年生にして

遊人部の部員であるこの男は

生身の女の子「三次元」に興味を持つことは無く、

漫画の中の女の子、「二次元」にしか

興味を抱いていなかった。


健二の自転車が曲がり角に差し掛かったとき、

右の角からベスパが飛び出してきた。

「やべぇ!」

健二は必死に急ブレーキをかけたが手遅れだった。

自転車はベスパとぶつかり、健二は

路上に倒れた。


「大丈夫ですか?」

倒れていた健二に、手が差し伸べられた。

「いてて……」

健二がその手を取って、立ち上がった。

「ごめんなさい、トリノから来たばっかりで

道が分からなかったんです」

健二を助けてくれたのは

長い金髪に青い瞳のかわいい白人の女の子だった。

「き、気をつけろよ」

健二は少し照れながら女の子から離れると、

再び自転車に乗って学校まで走り出した。


アミティエ大学に授業開始のチャイムが鳴り響いた。

「今日はちょっと奮発しちゃった、

まぁいいよね、これが私の好きなことだし」

大きな紙袋を持った絹恵が教室に入り

机の横に袋を置いた。

袋には「レコードショップ大松」と描かれていた。

ここはアミティエ大学服飾部の二年生教室、

絹恵はいつもここで授業を受けている。

「そういえば今日、留学生が来るんだったなー

イタリアかららしいけど、どんな子だろう?」

絹恵がそう考えていると、教室に教授が入ってきた。

「皆さん、今日は留学生を紹介いたします

さぁ、入ってきて」

教授が手招きすると、教室に一人の

女の子が入ってきた。

「トリノから留学生として来ました、

ジュリエッタ・パトレーゼと申します」

ジュリエッタが頭を下げた。

「かわいいなー」

絹恵はジュリエッタに一瞬見とれてしまった。

「それじゃ、手塚さんの席のお隣に座って」

そう教授に促され、ジュリエッタは絹恵の隣に座った。

「よろしく、手塚さん」

一礼をして、絹恵の席の隣に座った。

「よろしくー」

絹恵が歓迎する。


昼休み、絹恵はジュリエッタを誘って

学食で昼食を食べた。

「ジュリエッタは本当に可愛いよね、

そうだ、遊人倶楽部に入部しない?」

絹恵がきつねうどんを食べながら

ジュリエッタに話しかけた。

「遊人倶楽部? 何それ」

ピザを食べながらジュリエッタは

絹恵に尋ねた。

「あぁ、みんなで一緒に楽しむ部活だよ、

ジュリエッタならみんなとも仲良くできるかも

今日の放課後、遊びに来てみてよ」

「楽しそう、行ってもいい?」

「うん、歓迎するよ」

絹恵がジュリエッタに笑顔を見せた。


その日の放課後、遊人倶楽部の部室には

新二郎と健二がいなかった。

貞治と壮吉が本棚の前のベンチに座っている。

二人は向かい合って野球盤をしていた。

「なぁ、おっさんはどうしたんだ?」

貞治がボールの発射ボタンを押しながら

壮吉に尋ねる。

「今日は徹夜麻雀をするから帰るって」

壮吉がバットを振ってボールを打ち返した。

ボールがアウトの穴に落ちた。

「おっさんらしいな、じゃあ健二は?」

「魔女っ子キャサリンの画集が出たらしくてな、

本屋まで買いに行ったぞ」

「おいおい、それ小学生の女の子が見る

アニメだろ」

貞治が呆れている。

「そう思うだろ、でも最近

あのアニメには大きいお友達が増えてるらしいよ」

壮吉が笑いながら言った。

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