正義の女
「また来たの?」
部室に入ってきた女の子を見た
千恵子が呆れた表情をする。
「お前らがこの学校の風紀を乱すのを
やめるまで、私は戦い続ける」
女の子がどや顔で千恵子に返答した。
「なぁ、彼女は誰なんだ?」
貞治が壮吉に尋ねようとした途端、
彼女は自己紹介を始めた。
「私は赤塚さおり、アミティエ大学法学部
二年生、花の乙女の20歳、ボーイフレンド募集中、
将来の夢は正義を使命に戦う弁護士だ!」
さおりが貞治の前に人差し指を向けた。
「ところでお前は誰だ?」
さおりが貞治を不思議そうに見つめる。
「新しい部員の江夏貞治君だよ」
新二郎が紹介した。
「ところで、あんたはここに何の用があるんだ?」
貞治が問い詰めると、さおりが反論した。
「最近ここの大学の風紀が乱れて来ているということを
私は嘆いているんだ」
「だからそれは私達の部活とは関係ないって
言ってるでしょ?」
千恵子がさおりに反論する。
「だったらあんたのその風貌は何?
あんたも風紀を乱してると思うよ」
確かにさおりは他の法学部の女の子達とは
違う見た目だった。
真面目で地味な子が多い法学部の中で唯一さおりは
髪の色は金髪、さらにミニスカートと
今どきの女の子の格好をしていた。
「うるさい! とにかく今日こそ
ここをつぶしてやる」
さおりが必死に反論する。
「さおりちゃん、オレ達は悪いことはしていないんだ
きっと何か勘違いをしているんだよ」
壮吉がさおりをなだめようとする。
「そうだぞ、この部活は元々部長の壮吉が
友達のいない連中が集まって
友達のいない連中が共に遊ぶことで
友達を作るという目的で創部したんだ」
新二郎が説明をする。
「そうなの?」
そのことを初めて知った絹恵が驚いていた。
「あんた、本当はここに入りたいから
いつも乱入してるんでしょ?」
千恵子が言い放った。
「そうだったら入部してもいいよ、
歓迎するよ」
壮吉が笑顔で言った。
「本当に楽しい部活なんだよ、
私も赤塚さんを歓迎したいな」
キャロルが笑顔を見せる。
「そうだよ、一緒に楽しもうよ」
絹恵が拍手をした。
「う、うるさいぞお前ら!」
そう言うと、さおりは部室を走り去った。
「覚えていろよ!」という
悪役のようなセリフを吐き捨てながら。
「なんか、変な子だね」
ことの始終を目撃していた貞治が
千恵子に話しかけた。
「まぁ、あの子も結構いい子なんだよ」
壮吉がさおりをフォローした。
「自分の意思を伝えるのが苦手なんだろうよ」
新二郎がコーラを飲みながら呟いた。
そして同じ頃、学長室では
さおりが田宮学長と話をしていた。
「結局今日も逃げ帰ってきたのかね?」
紅茶を飲みながら田宮学長がさおりに呆れている。
「ごめんなさい、でも今日も楽しかったです」
さおりが笑顔を見せた。
「楽しいとかそういう問題じゃないぞ」
田宮学長が突っ込んだ。
「それに、覚えていろよとか
言いながら逃げてきたらしいじゃないか」
「はい、それがどうか?」
「それじゃ君が悪役みたいじゃないか」
「あっ、本当だ……」
思わぬ発見にさおりが驚嘆していた。