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遊人倶楽部  作者: ヨコワケデュガリー
活動記録02 遊び人たち
6/28

超能力者

貞治たちが応接間で

スナック菓子を広げながら

他愛も無い話をしていると、

部室のドアが開いた。

「こんにちは、久しぶりだねぇみんな」

外国人の女の子が部室に入ってきた。

「はじめまして、江夏貞治君」

女の子は貞治に近寄った。

「初めまして……」

貞治は彼女と合ったのは初めてだった。

しかし、何故彼女は自分の名前を知っていたのか

それは分からなかった。

「江夏貞治君、この大学の工業部二年生、

将来の夢は電車の整備士、好きな色は青と緑、

趣味は釣りとプラモデル作り、西鉄ライオンズのファンを

子供の頃からやっている、好きな食べ物はエビフライと

カツカレー、嫌いな食べ物はグリーンピース、

どう? 当たってる?」

「すごい、当たってるよ!」

貞治が興奮している。

「彼女はキャロル・バーキン、

ニューキャッスルの出身、20歳だよ」

千恵子が説明した。

「この大学の国際部の二年生をやってるんだ、

将来は通訳になりたい」

キャロルが自己紹介をする。

「ねぇ、何でオレのことを知ってたんだ?

誰に教えてもらったんだ?」

貞治がキャロルに問い詰める。

「知ってたんだよ」

キャロルが笑った。

「え?」


「キャロルは超能力者なんだぜ、

何だってお見通しさ」

壮吉が笑った。

「超能力者だって?

すごいじゃん」

貞治が大はしゃぎする。

「ほら、見てて」

キャロルが空のグラスと

瓶入りのオレンジジュースを取り出した。


「ハッ!」

そう叫ぶと、誰も握ってないはずのジュースの瓶が

宙に浮かび、グラスにジュースを注ぎ始めた。

「すごい! すごすぎるよ」

貞治は大はしゃぎだ。

「ほら、飲んでみて」

キャロルがジュースを差し出した。

そのジュースも本物だった。

「おいみんな凄いよキャロルって」

貞治は大はしゃぎしているが、

周りは誰もはしゃいでいなかった。

「おいおっさん、凄いと思わないか?」

貞治が新二郎に話しかける。

「凄いとは思ったよ、最初は」

新二郎がバットを吸いながら言った。

「でも、毎日見てたら飽きるんだよな:」

そう言い放った。

「あっそ……」


すると、部室のドアが開き

また一人の女の子が入ってきた。

「いよぉ諸君、今日もいい天気だね」

「絹恵ちゃん、今日は雨だよ」

壮吉が笑いながら言う。

「彼女が手塚絹恵ちゃん、

服飾部の二年生、20歳なんだ」

壮吉が紹介した。

「まぁいいじゃん壮吉君、

私は雨だって好きなんだよ」

千恵子とキャロルの間に座った

絹恵が平凡パンチを開いた。

「ねぇ千恵子、やっぱりかっこいいよね」

少し照れながら雑誌を見せる。

そこには「ザ・クーパーズ」という

グループ・サウンズのメンバー達が

見開きで写っていた。

「やっぱドラムの遼一君が一番

ハンサムだよね」

絹恵が言えば、千恵子は

「でもベースの一義君もかわいいよね」

と意見をする。

「でも、全員カッコいいんだよね」

絹恵と千恵子が共鳴した。

「キャロルはクーパーズってあまり知らないよね?」

絹恵がキャロルに話しかける。

「うん、分からないなぁ」

「今度またレコード買ったら

ここで聴かせてあげるね」

絹恵がキャロルと約束した。


「貞治君のことは壮吉君から聞いてるよ、

友達がいないんでしょ?」

絹恵が笑いながら貞治に話しかけた。

「な、何てこと教えてんだ壮吉」

貞治が壮吉をにらむ。

「俺にも友達はいるぜ、

お前っていう最高の友達がな」

そういった途端、少し貞治は照れた。

「あれ? なんか恥ずかしい」

壮吉が顔を真っ赤にする。

「今の発言、オレが一番恥ずかしかったぞ」

壮吉がもっと顔を真っ赤にしていた。

※用語解説


ニューキャッスル……イングランド北部にある

都市のひとつであるニューキャッスル・アポン・タインのこと。


平凡パンチ……1964年に創刊された男性向け週刊誌。

1988年にいったん休刊後、89年に復刊するも

すぐに休刊した。


グループ・サウンズ……60年代後半に流行した

エレキギターなどを使って演奏を行うグループのこと。

ザ・タイガースやザ・スパイダーズなどが有名。

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