BLACK PANTHER 剣術参照資料
剣道〔剣術〕に対する予備知識をまとめてみた。
本作品には剣術による戦いのシーンが多く登場するので一読し予備知識を拾っておくのも悪くないのでは・・・と編集し直して掲載する事にした次第である。
まず、現代剣道と剣術、武術とは似て非なるものである。
剣術とは武術の中の一つの部門だ、そして剣道は剣術を基にスポーツとして再編されている。
現代剣道は剣の理を学ぶことによって精神の鍛錬を目的とした人間形成の場の一つとして存在をしている。
「清く」「正しく」「逞しく」が指導の理念となる。
剣術〔主として徳川幕府以降に発展した剣術〕も精神的修練に重点が置かれ主に対して清廉潔白・忠誠な武士を育むと言う点では現代剣道に通じるものはある。
それ以前、戦国の時代の剣術は武術のあくまで一芸であり武術とは敵を殺すための手法であった。
一撃必殺を目指し創意工夫された訳であるが一撃必殺の精神の中には単に相手からの反撃を受けない為のものだけではなく、相手に余分な苦痛を与えず絶命させると言う慈悲の精神も共存している様である。
日本も古来は剣と盾を使用して戦をした。剣とは両刃の直刀のことである。
やがて盾が消え剣は野太刀となりやがて湾曲した日本刀となる。日本刀自体はかなり古くから存在した様であるがここでは簡単に説明する。
一般に平安時代以降の鋼鉄によって造られた片刃の湾曲刀で木製の柄に目釘で止められ拵えに収められた物を日本刀と言う。
長さによって刀〔太刀〕、脇差、短刀の3種に大別される。
その中でも国宝・大包平、妖刀・村正、雷切、秀吉愛刀・一期一振、佐々木小次郎の備前長船長光が「天下五剣」と称される名刀である。
日本刀は世界的に見ても特異な進化を遂げた刀剣である。
まず両手を使う長剣としては盾を使用しない剣法は日本のほかには唯一ドイツに存在したのみである。
刀剣類としてその製造には他に類を見ないほど複雑な工程を持ち刀鍛冶によって刀身が完成するまでに20工程ほどかかり、その後研師、鞘師、白金師、柄巻師、塗師、蒔絵師、金工師などの手を経て完成に至る。その為、剣としての美術的価値のみに留まらず刀身自体が美術的・工芸的価値をもつ剣は日本刀以外には世界でも存在せず故に日本刀には侍の魂が宿っていると外国人にも高く評価されている。
剣術とはこの日本刀の運用法の事である。
以下、出来るだけ簡略に現代剣道を通して剣術について述べていく。
『剣術の基本知識』
○礼に始まり礼に終わる
精神修業を重点とする剣道では単に勝負〔試合〕の勝ち負けに一喜一憂する事無く何事にも動じない強い心と潔さ何よりも正しい心を学ぶ事を心掛ける事を目的とする。
礼に始まり礼に終わると言われ、道場への礼儀、先生への礼儀、共に学ぶ仲間への礼儀、剣〔竹刀〕への礼儀作法が存在をする。
これは古武道の時代にも存在しており元来日本人は命の遣り取りをした相手〔敵〕に対しても基本的には礼節を重んじた民族なのである。
礼には立礼、中礼〔蹲踞ソンキョの姿勢によ礼〕、座礼〔正座の礼〕の「礼三法」がある。
道場への出入りに際しては道場への立礼をし稽古の初めと終わりには師範と神前への座礼がある。
稽古の相手へも事前・事後の立礼を欠かさない。
剣の修行とは即ち己に勝つための修行でありいつ何時においても常に自分を戒める心の表れとしても礼がある。
○蹲踞〔ソンキョ〕
これは昔、武士以下の身分であった足軽〔農民兵が多かった〕が野外にて高貴な相手に対して取った中礼の名残りで、剣道に取り入れられたのは古武道の形を演じる打太刀が木刀を手にする際に蹲踞の礼をしていた事に由来する。
両足蹲踞と右膝を立てた片足蹲踞〔主に女子の蹲踞〕があり立会いの前に行われる。
女子の蹲踞が片足なのは人前で大股を開く両足蹲踞がはしたないとの考えからである。
○四拳定法
人間の肩幅はだいたい拳4つの長さであり正座した時の足幅や剣を構えた時の足幅など人の行動〔動作〕の様々な場面でこの長さが生きている。
○竹刀
剣を竹で模した用具でこれを使って防具〔面、胴、小手、垂れ〕を着用した相手の打突部位を打ちまたは突いて稽古する。
竹刀に防具と言う井出達での稽古はごく近年からのことでありそれまでは真剣又は木刀によって形の稽古を行うのが主流で組稽古〔対人の稽古〕も防具なしで行われていた。
柳生の袋竹刀と呼ばれる細長い布袋に竹を細く裂いた物を詰めて竹刀として使用した例などもあり流派によっては葦を詰めたものなど工夫された物も存在した。
○袴〔ハカマ〕
現代剣道において稽古着として着用されているのは乗馬袴である。
袴には武士道的教訓が多く含まれており袴の後ろの一本の筋は忠孝一如を表している。
前の五本は五輪五常を意味するといわれ相撲の行事などの袴は四本線である。
剣道の袴には腰板と呼ばれるものがありこれが体と密着するようにすれば自然と背筋が伸びた姿となる。これを袴腰と言う。
袴の着用は左足から入れて脱ぐ場合は右足からが定法であり男子の行動は常に左足から起こすのが武士のしきたりとされ、駕籠に乗るのも、土間に上がるのも、風呂に入るのも左足からである。
参考までに「天皇陛下」の御前においても「左進右退」が礼法とされる。
稽古用の防具の置き方着脱にも作法はあるがここでは割愛する。
○道場
道場とはもともとは仏教に関する呼び名でお坊さんが修行する場所の事である。
スポーツ施設は単に体育館と言われるのにたいし精神修行として「道」の修行をする場であるとする認識から道場と呼ばれる。
○自然体
人間にとって基本の姿勢とされる重心を体の中心線に置き両足を肩幅に開き力を入れずにごく自然に立った姿勢の事である。
○正座
自然体から左足を引き右膝を立てた片膝蹲踞から右足も引いて正座する。
背筋を伸ばし両膝は拳二つ分ほど左右に開く。
両の手は左右の膝から拳一つ分体に寄せたあたりに軽く置き親指を中に軽く握る形とする。
立つ場合は右足から前に出して片膝蹲踞とし左足をひきつけながら立ち上がる。
これは敵からの攻撃に常に対処するための作法でもある。
○剣の握り方
剣〔竹刀〕は棟〔竹刀であれば線のある側が棟となる〕を上に刃を下に向け。
臍前で拳ひとつ分を空け柄頭に最も近い部分を左手で真上から包むようにして小指・薬指で握り、右手はおおむね拳一つ半上方〔鍔に近い部分〕をやはり真上から包むように小指・薬指の二本にて軽く握る。
その際わきの下に生卵をはさむ心算にて軽く空け肩の力は抜く。
○剣道の足裁き
剣道においては通常の歩み足に加え独特の歩方が使われる。
摺り足と呼ばれ前後・左右に斜め方向を加えた八方の足運びがあり構えの状態のまま移動することを称して体裁きとか足裁きと言う。
八方のどの方向に移動しても移動後の足の位置は元となる構えの足位置となり構えを変えるまでそれは変わらない。
運用は至って簡単明瞭で前進は前足から出て後ろ足を即座に引き付ける。
後退は後足から下がって前足を即座に引き付ける。
右への移動は右足が先行し左足を即座に引き付ける。
左への移動は左足が先行し右足を即座に引き付ける。
斜め横への移動は右か左かで横への動きと同じで右斜め前・後ろは右の足から、左斜め前・後ろの場合は左足から動けばいいのである。
注意するべき点は両の足を摺り足と言って足の裏を地面に摺るように行う事と一度の移動量を足一つ分位とし体のブレを極力押さえる点である。
人間の目は横方向のブレには比較的強いが縦方向のブレには弱い。
構え同様スムーズに水平移動できるように反復練習をする。
ここまでが出来たら継ぎ足といって応用技を練習する。
摺り足より大きめに移動するための摺り足の方法である。
摺り足で前進する際に相手にも気付かれぬ様に後ろ足を小さくひそやかに引きつけてから摺り足をする。これだけの事である。継ぎ足は前進にのみ使われる。前足が左足となっても動き方は同じ要領である。
○剣の間と間合い
日本刀は60cm以上を太刀といい90cmを越えると大太刀と呼ばれる。
30-60cmを脇差し〔小太刀〕と言いそれ以下を短刀と言う。
日本刀の湾曲は意図的に造られたものではなく異なる鉄を組み合わせて作られる日本刀に焼きを入れる際に急激に冷える部分と緩やかに冷える部分の素材の収縮率の相違によって生じている。
切れやすく折れにくいという矛盾した剣を作るには柔らかい鋼と硬い鋼を組み合わせるという製造方法がとられており職人の技がそれを可能としたのだ。
日本刀は切っ先三寸と言われ先端の一部が切れ味鋭く砥がれていて根元〔鍔〕に近づく程切れ味は悪くなる。また、引き切った場合に最大の切れ味が出る向きに砥がれている。
今一歩踏み込めばその部分で相手を斬れると言う間合いを一足一刀の間合いと言う。
それ以内を近間、以上を遠間と言う。
剣術に於いては二つの間があり間合いとは距離で間とは本来時間を表す言葉である。
距離の間合いはしばしば省略され単に間と使われる場合があるので注意が必要だ。
この間合いにおいて戦いは行われる。
足裁きはすなわちこの間合いを確保するための技である。通常は一足一刀の間合いから大きく踏み込んで打突する。この時の距離が間合いで打突のタイミングが間である。
○構え
構えとは竹刀〔木刀又は抜き身の剣〕を何時でも防御・打突に使用出来るよう保持する形の事で、防御を中心に攻撃に備えると言った意味合いを嫌い攻撃に特化した流派では形と呼ぶ場合もある。
剣道では構えと言う。
五方の構えとか五行の構えと言われ上・中・下段と八相・脇構えがある。
基本は中段の構えである。
あらゆる構えは中段を基本に状況に合わせて変化する。
剣の握りは先程述べた通り打つためには剣を振り上げ〔振りかぶりと言う〕振り下ろす〔打ち込みと言う〕と言う一連の動作が必要となる。
振りかぶりは中心線に沿って左手で押し上げる感じ。
打ち込みは右手にて剣を前方に放り出すと同時に左手を臍に向かって引き付ける感じの動作となる。
この時例外を除いて左手と右手は常に体の中心線に沿って動く。
○中段の構え〔土の位・地の構え〕
基本中の基本の構えで「常の構え」とも言う。
自然体にて正しく剣を握りその姿勢から右足を左斜め前に出す。それで右足が前・左足が後ろに位置する事となる。右足のつま先から左足の踵までの開き具合〔距離〕は四拳定法が目安となり右足の踵の少し後ろに左足のつま先が来る。
両のつま先は平行に前方に対して真っ直ぐを向き両足の間隔は拳一つ分開ける感じである。
重心は両の足の中心に置き後ろ足の踵を軽く上げ前足の踵も紙一枚の気持ちで浮かせて前傾姿勢の気持ちを作る。
腰を袴腰とし背筋を軽く伸ばし相手に対して真っ直ぐ正面を向く。
剣先の延長線が相手の咽喉を指すようにすればこれが中段の構えである。
練習は構えを崩し構えては崩しを繰り返し余分な力が抜け正しい構えが身に付くまで何回でも繰り返し行う。
中段の構えにはその剣先の着け所によって「五せい眼」が存在し。
①正眼〔剣先は相手の咽喉〕
②晴眼〔剣先は相手の眉間〕
③青眼〔剣先は相手の左目、気持ち内寄り〕
④星眼〔剣先は相手の額の中心〕
⑤臍眼〔剣先は相手の臍〕平正眼・地摺り正眼とも言う。
それぞれの意味〔使い分け〕については葛葉流の設定の中で紹介する。
○上段の構え〔火の位・天の構え〕
防御を無視した一撃必殺・攻めの構え。
右と左〔前に出ている側の足によって右左が決まる、右足が前なら右となる〕・両手〔諸手〕と片手があり、また軽い上段〔刀・竹刀は頭上で45度程後方に傾く〕とさらに剣を上に突き上げる大上段がある。
左諸手上段とか右諸手大上段と言われる。
いずれの場合も上段は足と手が同じ向きとなる即ち左足が前であるなら左手が柄頭に、右足が前であれば右手が柄頭にある。〔右上段の場合、手の持ち替えが必要となる。諸手右上段は殆ど使用者はいない。〕
中段の構えから左足を前に出しそれと同時に剣先で天を突く心持で剣を頭上にかざす。
これで左諸手上段である。眉間に手首が来てその手首の下から相手を望む位となるのが手の位置の目安である。大上段はさらに拳二つ分ほど上となる。
この状態から右手を下げ左手一本で剣を持てば左片手上段となる。
手足の向きを同じとするのはより遠くの間合いを打つ〔斬る〕ためで竹刀・木刀では諸手上段も打ち込みは鍔側の手で剣を押し出しながら手を離し柄頭側の片手で剣を振る。
真剣の場合左諸手上段は諸手のまま右足を踏み込んで面を斬るか右袈裟懸けにする。
○下段の構え〔水の位・人の構え〕
中段の構えからそのまま剣先を下げれば下段の構えとなる。
剣先は正面かやや右側に軽く開く感じとし概ね膝の少し下位の位置とする。
足元への打突に対応した構えである。
現在の剣道では脛部への打突はなく使用する者は殆どいない。対薙刀では基本の形となる。実戦においては左足が前の下段もある。
○八相の構え〔木の位・陰の構え〕
中段から左足を前に出し左手をみぞおちの前に鍔が自身の唇拳一つ分を空けた位置に来る様に剣を立てれば八相の構えである。
相手が複数である場合に対応した構えで視界が広く取れ八方に対処することから発早の構えとも言う。
○脇構え〔金の位・陽の構え〕
中段から右足を引き軽く両肘を締めながら剣先を体の後ろに隠せば脇構えである。
竹刀〔寸法が決められている〕を使った剣道では意味はないが実戦に於いては人によって刀の寸法が違うため剣先を隠す事によって相手に間合いを取り難くさせる利点があった。
これらの構えは単独で使われる事はまず無く状況によって組み合わせて使われる。
○打突
実戦においては相手のどの部位を打突しようと構わない。
剣道に於いては面・胴・小手と咽喉への突きのみが有効とされその他の部位を打突するのは反則となる。面のみ正面と左右面があり、胴と小手は右左。
小手のみに前方だけが有効と言うルールがあって中段を相手の場合右小手への打突が有効となる、相手が振りかぶり腕が上がると左小手が前側となり即ち打突は有効となる。
剣道において突きは高校生以上から使用を認められる。
打突には気・剣・体の一致が必要でこの総てが揃って初めて一本となる。
○表・裏
正しい間合いで相対した場合相手の剣は自分の剣の左側となる。
自分の剣の左側を表と言い右側を裏と言う。
○ 目付け
「遠山の目付け」と言う言葉をご存知だろうか剣道の有段者であれば知っている言葉の一つである。
相対する敵の目を通り越し遠く一点を見詰める視線を指す。
「目は口程にモノを言う」と言われるように特に剣道の初心者などは小手を打とうと狙いを定めるとどうしても小手を意識してしまい視線がそこに集中をする。狙い所が良く判るものだ。
他にも不安や焦り怯えと言った心の動きが目に出る事もある。相手のそれらの心の動きを察知すると同時に自分の心の動きには知らぬ顔を決め込むのがこの目付けである。
もうひとつ、視野を広く保つと言う事は敵の僅かな身体の動きの予兆を察する事が出来るという利点がある。
人の動作とは余程の訓練をしない限り予備動作なしには発動しない。
拳と剣先の動きを凝視することなくそれとなく感じればよい。
見てないようでちゃんと見ていることから「心眼」とも言う。
さらには相手の呼吸を計れる。剣の達人が立会いに望む場合には呼吸を相手に計られない様に息を浅くして肩の動きを極力控える。
理由は簡単で人が動けるのは息を吐きながらだけなのである。息を吸っている状態では満足に動けない。
相手が息を吐ききって呼吸が止まった一瞬が打突の機となる。
剣術では相手の息を計るとか読むと言う。流派によって呼び名や詳細は違っても言わんとする境地は同じである。
○先と後
よく、先を制す、後手に廻るなんて言い回しが使われる。
剣道の先とは仕掛けの事で自分から相手に先んじて討って出るのが“先の先”。
相手が動こうとした瞬間こちらも動き出し相手より早く打突するのを“先”という。
相手が既に討ちに来ておりそれに応じてこちらの打突を決めれば“後の先”となる。
厳密には技などでもう少し言い方も異なるのだが感覚的には上の三つの感じが掴めればよいかと思う。…後の後は…当然斬られて死んでいる。
構えから相手に生じた隙目掛け、気合一閃に踏み込んで打突する。
押し切り、引き切るり、叩き斬り、または突くのである。
剣道には様々な技があるのだが攻めの際、剣を担ぐようにして相手の意表を衝くのを「かつぎ技」と言う。
相手の動くその瞬間を打突するのを「出鼻技」と言う。
自分の剣を振りかぶりながら相手の剣を跳ね上げる事を「跳ね上げ・摺り上げ」技と言い返す太刀で相手を斬る。
同時に切りかかり相手の剣を叩き落しながら相手を斬るのを「切り落とし・打ち落とし」技と言う。
相手の剣を受け流し打突するのを「応じ技・返し技」と言い相手の打突の隙を打ち抜けば「抜き技」となる。
こちらも他にも在るが興味があるなら詳しくは剣道の入門書でも参考されるといい。
○ 一源三流
家〔門〕のためには汗を流す。友のためには涙を流す。国のためには血を流す。
武士の魂のありようを説いた言葉。
○段位
現代剣道は級から段となり級は6級から5.4.3.2.1.級と進む。段位は初段から10段までありその他に錬士・教士・範士と言った称号がある。
昔は、切紙、目録、印可〔中伝〕、免許、皆伝、秘伝、口決〔口伝・奥技〕と言った。
○三無の剣
無理なく、無駄なく、無法なく。
剣の至高の領域の事、「音なしの剣」はここより出ずる、とされる。
○四戒
恐れ、驚き、疑い、惑い。
いずれも己の気〔心〕の迷いから生じるものであり敗北の要因となる。
「平常心」にてこれ等を克服するのが修行のひとつの目標である。
○守・破・理
仏教で言う習・絶・真の事で、守はひたすらに基本を学ぶ段階を言う。
破は基本をもとにそれにさらなる磨きをかける段階となり。
理は離とも言われ修行の最終段階であり総ての基本を意識せずとも体が動いて自己の個性が発揮される段階に至った事を言う。
○放心
放心状態の事ではない。
心を開放し自由にさせておく精神のありようを表す言葉。
すなわち万事に対応可能となる。
○四つ習い
師に習い、人〔友〕に習い、己に習い、場に習う。
修行をするさいの心の在りようを説いている。
○割り稽古
茶道の稽古に使われる言葉であり、茶をたて飲むだけが稽古ではなく。
身の振る舞い、ふすまの開け方、道具の置き方、一つ一つに意義がありそれらを部分的に学ぶ事である。
剣を学ぶのも考え方は同じでただ剣を無闇に振り続ければ好い訳ではないと言う教え。
○見取り稽古
割り稽古とほぼ同様の意義。
他人の練習する様を見る事によって何処がよく何処が悪いかを学ぶ事を目的とする。