田舎の風習3
田舎の風習3
気がつくとオレは布団で寝ていた。
あれ?
何でいきなり寝てるんだ?
オレはボケボケした頭で考える。
蛇女と蜘蛛猫の大怪獣バトルが繰り広げられていたはずだが。
もしかして夢か?
オレは拍子抜けしたものの、すぐに安堵する。
意味フな気色悪い夢だったな。
全編通して釈然としないのだが、夢なら仕方ない。
それから皆に聞いたところでは「マモリ」は滞りなく済んだようだった。
オレを含めて誰も寝てないとか。
やはり夢だったということか。
◇
葬式が済んで、オレは両親と一緒に戻った。
大学生のオレは一応、学校の近くにアパートを借りて住んでいる。
一人暮らしだ。
部屋に戻ると落ち着く。
人と接した後なので、一人の時間が欲しくなるのだった。
適当に夕飯を食べていると、
「よっ」
青白い肌の女性がオレの真横に現れた。
「ブハッ」
オレは盛大にカップ麺を吹いてしまった。
「ななななな!?」
「お主の体は居心地良くてな、憑いてきてしもたわ」
蛇女…いや今は普通の人間のように足がある…はニッコリ笑って言った。
「はあー?」
「しばらく厄介になるぞ。都会見物もしたいしのう」
「え?」
夢でない上にここに住むおつもりですか?
「うん、そのつもりじゃ」
蛇女はうなずく。
いや、そんなこと言われても…。
オレが対応に困ってると、
「あにょー」
別の方向から声がする。
「ん?」
オレが振り向くと、そこには蛇女と激闘を繰り広げた蜘蛛猫が座っていた。
正座である。
「ほげぇっ!?」
オレはびっくりして心臓が止まりそうになった。
三途の川が見えかけたよ、マジで。
「あすこからおん出されちゃったんで、棲むとこナッシングなにょよね」
「はあー?」
「だから、ここに置いてよねーマジで」
蜘蛛猫さんは、妙になよなよしていた。
えっと、女性なのか?
「チッ、厚かましい猫だのぅ」
「いいじゃにゃいですか、家主さんに対して悪さはしませんよ」
蛇女と蜘蛛猫さんが部屋に押し掛けてきた訳だ。
オレの生活に平穏という言葉は戻ってこないのだった。




