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不思議アルバイト5

不思議アルバイト5


「任務失敗ってヤツね」

朝日さんはどこか他人事のように言った。


それ、普通は怒られるヤツだろ。


「あー、まあ、大丈夫だよ」

朝日さんは暢気である。


「……で、バイト代は?」

オレは聞いてみた。

「それは大丈夫、当初約束した通りの額を出すよ」

朝日さんは笑顔を見せる。


「よかった、これで少し足しになるぜ」

「生活費だね」

オレがつぶやくと、朝日さんはふふと笑った。


「私には?」

「元からなし。稼業の内だよ」

夕凪も聞いたが、朝日さんは冷たく言い放った。



『ま、平和的に終わったな』

蛇女はやれやれという感じで言う。

暢気にお茶を飲んでいる。

「あの口裂け女、ナニモンなんだ?」

オレは聞いた。

『うむ、まあ、古い知り合いみたいなもんだ』


既に部屋に戻っている。


「それだけじゃないだろ?」

オレは意味ありげに言った。


『……』

「……」

蛇女と蜘蛛猫は黙り込んだ。

そして、顔を見合わせる。


「ま、まあ、そんにゃに聞きたいにょ?」

『別にそんなもの聞かなくても問題はないだろう?』

2人とも話したくない雰囲気バリバリ出してるな。


「いや、何でそんなに話したくないんだ? 逆に興味出てくるだろ」

オレは正直な感想を述べた。


『仕方ない』

蛇女はため息をつく。


「あー、ぶっちゃけ、アイツら古代生物にゃのよ」

蜘蛛猫がなんか言った。


「は? ぶっちゃけ? なんだと?」

オレは聞き返す。


「古代生物にゃ」

蜘蛛猫は言った。

「アラフォーは絶滅した鳥にゃ」


「……」

オレは無言。


え、鳥?


『現代の言葉では恐鳥ってヤツだな』

蛇女が答える。

『フォルスラコスとか言ったかな』


小説だけじゃなく、図鑑とかも見てるのはそういう事か。


「じゃあ、口裂け女は?」

オレは少しムキになって聞いた。


「あー、あの動物にゃんて言ったっけにゃ?」

蜘蛛猫が首を傾げる。


『確か、ミアキスとか言ったかな』

蛇女は思い出しながら答える。


「なんだそれ?」

「こういう、猫みたいにゃ犬みたいにゃ、動物だにょ」

オレが聞くと、蜘蛛猫はスマホをいじって画像を出す。


イタチみたいなほっそりした姿の動物だ。


「これが…」

オレは画像に見入ってから、

「でも、なんで妖怪になってんの?」

正直な感想を述べた。


『コイツらのように妖怪化することを「変化」という』

蛇女は答えた。

なんか意外と真面目に答えてくれるのな。


『生きながら、死後に復活して、変化して永久不滅の存在になる場合がある』

蛇女はなんか言った。

「どんな場合だよ!」

オレはツッコミを入れる。

「ボケじゃにゃいにょ!」

蜘蛛猫が重ねてツッコむ。


『とにかく変化した結果、伝説・都市伝説の中で語られる妖怪・怪異となったのだ』

蛇女は言った。

なんだか厳かに聞こえる。


…ん?

てことは、蛇女とか蜘蛛猫も?


「じゃあ、お前らも?」

『ん? あー、そうだな』

オレが聞くと、蛇女は歯切れが悪い。


「蛇女さんはこれだにょ」

蜘蛛猫はスマホの画面を見せた。


『でかいヘビじゃん』

黒い女が後ろから、のぞき込んでいる。

全然興味を示さなかったのに。

寂しくなったのか?


「ティタノボアだにょ」

蜘蛛猫が言った。


『名前なぞ、どうでも良い』

蛇女はフッと笑った。

『かつてそういう生き物がいた。ただそれだけだ』


「蜘蛛猫は?」

オレはスルー気味に聞いた。


『いや、もっとわらわのこと聞けよ!』

蛇女はなんか怒ってる。


「私はいくつかにょ動物にょ合成ですにょ」

蜘蛛猫はにこやかに答えたが、

『うわ、それってキメラじゃん』

黒い女が引いている。

3メートルくらいか。


「変化と合成か、訳分からん」

オレは匙を投げた。


てか、もう何で問い詰めてるのか分からなくなってきた。


「ま、いいや。どんな生まれかより、今どうかだしな」

オレは適当に言って、しめた。


『ふん』

「にゃー」

『それより、大混乱クラッシュマスターズやろーぜ』

『いいな』

「やろにゃー」

3人は無視して、コントローラーを握った。


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