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不気味アルバイト1

不気味アルバイト1


「今日は」

と、挨拶してきたのは、ストレートロングの黒髪の女性。

痩せ気味な体型に、シックな感じのワンピースを着て、髪にはカチューシャを付けている。

日本的な美人といった雰囲気だ。


「夕凪ちゃんの親戚の昼間朝日ひるま・あさひです」

女性は自己紹介した。

「朝日さんも退魔師なんですか?」

オレは聞いて見た。

「そうよ、普段は事務の仕事してるけどね」

朝日さんはうなずいた。


『む…』

蛇女がオレの右上辺りで唸った。

「ん、どうした?」

オレが聞くと、

『この娘、禍々しい気をしとるのぅ』

蛇女はしかめっ面で答えた。


「あ、蛇女さん、よろしくね」

朝日さんはフレンドリーに言った。


……やっぱ見えてんのかよ。


『うむ、よろしく』

蛇女は鷹揚にうなずいた。

特に問題はないみたいだな。

夕凪と出会った時は結構、バチバチきてたけど。

蛇女も丸くなってきてるのかな。


「朝日姉さん、早く用件を言ってよ」

夕凪が急かした。

「はいはい」

朝日さんはニコニコしながら、

「えっと、私が今請け負ってるお仕事で手伝いが必要になりそうなのね。

 ぶっちゃけ「おとり」なんだけど…」


は?

なんて?


「……おとり、ですか?」

オレは聞き返した。


「うん、そう。なかなか経験できないよ、おとりになるなんて」

朝日さんは、やはりニコニコにしている。


…あ、この人、オカシイや。


オレは諦めた。

どうせ、断ってもやらされるんだろ。


『何を退治するんじゃ?』

蛇女は聞いた。

「あー、なんて言ったっけ? 夕凪ちゃん」

朝日さんは思い出そうとしたようだが、結局、夕凪に聞いた。

「アラフォーだよ」

夕凪は面倒臭そうに答えた。

「なに、その40前後みたいなヤツ?」

オレは思わずツッコミを入れるが、

「アラウンドフォーティーじゃないよ!」

夕凪は逆にツッコミ返してきた。

なかなか言うようになったな、コイツ。


「アラビックリ・フォーティセブンだよ!」

「だから、何だよ、それ!?」

オレは叫んだ。



アラビックリ・フォーティセブン。

コイツは赤い帽をかぶり、赤い服を着た、背丈が2メートルを超える女性の妖怪らしい。

妖怪というか、都市伝説的な怪異だろうか。


アラビックリ、背が高い!

アラビックリ、走るのが速い!


と遭遇した者が皆、証言するそうだ。

なので、アラビックリ。


「フォーティセブンは?」

オレが聞くと、

「なんか、47都道府県全部で目撃されてるから、らしいよ」

夕凪は微妙な表情をした。

「へ?」

オレは一瞬、理解しきれずに聞き返す。

「私もよく知らない」

夕凪は視線を逸らす。


「それはね、47体いるのよ」

朝日さんが答えた。


『ふん、ヤツらか』

蛇女は鼻を鳴らす。


オレたちは喫茶店の一角でお茶しながら話している。

夕凪と朝日さんが並んで座り、対面にオレと蛇女が座っている。


「知ってるのか、蛇女?」

『ライ○ンじゃないぞ!!w』

小ネタを挟みつつ、

『昔からおる連中だな』

蛇女はそう言って、視線を逸らした。

珍しく、忌々しそうな表情をしている。


「へー、あなたがそんな顔するなんて珍しいね」

夕凪はちょっと驚いたような感じで、言った。

『言っておくが、あんなの敵ではないぞ』

蛇女はチッと舌打ちしてから、

『だが、ちと面倒なヤツらでな……』

モゴモゴと何やら言いつつ、下を向いた。


「ふーん、そんなに面倒なの……?」

夕凪が不思議そうな表情。


だが、心の中では「フォー! 蛇女の苦手なモノ発見ーッ!!」とか思ってそうだ。

それなりの付き合いだから分かる。


「とにかく、最近、この辺で目撃されてるのよ」

朝日さんはちょっとイラついてきたのか、話を進めた。

コイツら脱線しまくりだからなぁ。


それから、集合時間を聞いて一旦解散。


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