払う人3
払う人3
蜘蛛猫は蜘蛛の脚で霊を押さえつけながら、人型の方の腕でPCをタッチする。
片手で本体を持ち、もう片方の手でタイピングしている。
何て器用なヤツだ。
「ニャッヒッヒ!傀儡化しちゃる」
あ、コイツやっぱ属性カオティックエビルだ。
それが証拠に目が逝っちゃってる。
「にゃにゃにゃーん!」
蜘蛛猫がキーを押すと、青白い電流のようなものがPCから蜘蛛猫本体、脚を通って腕に流れ込んだ。
ビクンと一際大きく腕が震えて、それからすぐに大人しくなった。
「にゃはははは! 芽を埋め込んでやったにょ」
「お前、実はラスボスだろ」
「にゃにお仰る、ステージ1のボスでしたにょ?」
「ああ、そうだったな」
オレは思わず納得。
「いや、芽って?」
「霊にも身体を構成するもにょがありまして…」
「もっと簡単に説明しろよ」
「DIO様の肉の芽みたいなもんですにょ」
「ああ、そういう…」
この際、なんでそんなもの知ってるとかツッコミはなしだ。
「これでコイツを意にょままに操れるにょで」
蜘蛛猫は言った。
「速攻で攻め込みましょう!」
「はあ?」
オレは予想外の言葉に呆けてしまった。
「ここでコイツを戻しても時間が立てば怪しまれるにょ」
「それもそうだな」
蛇女が同意した。
「わー、出入りだね」
黒い女が歓声を上げる。
…こいつそっち関係の人?
「オレも行くのそれ?」
「夕凪に頼まれたろ?」
蛇女がオレを見たが、
「いや頼まれたのはあんたじゃね?」
オレのモチベーションは低い。
てか、夕凪まだ気絶中だし。
「みんなで行くと楽しいよ」
なんでこいつテンション高いんだ?
「さあ行こ、行こ」
黒い女はオレと夕凪を抱え込むようにして押しやる。
「クロタンさぁ、もしかして組…」
「どっせいっ!」
いきなりの気合いにオレのセリフがかき消される。
「んんっ! なんか言った?」
黒い女はニコリとした。
でも目が笑ってない。
「いや、にゃんでも…」
蜘蛛猫は視線を外して言った。