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02 初見~は最悪

神様殺しー、そこら辺の神々は、今の主人公にはモブ同然です。


 何度も神々と剣を交える。 神々の剣は自分の短刀の前にはほぼ無意味のようで、神々が持つ神々(コウゴウ)しい剣や禍々しい剣は短刀により、いとも簡単に切れる。 弱い神々などは簡単に殺す事ができ、血など一切流さず光の粒子になり消えてゆく。 それが自分には余計に神々を殺す事になり、物を壊すかのように進んでいった。 進んでいくと城のような建物があり、そこには他の神々とは違い死んでいなければ、思わず平伏していただろう神々しさのある奴が一体。 容姿は女性で、大勢いた神々とは違い少し位は苦戦するかと思ったが、そんな事は無く同じようにあっけなく殺す事が出来た。

 ここまで楽に殺せてしまうと、今まで切り倒して殺してきた奴等が、全員自身の身代わりを創って攻撃を仕掛けてきたと思うくらいだった。

 その先にも同じように城がいくつもあり、男性に女性、果てには少年に少女、白い翼の天使に黒い翼の天使、白と黒混合の羽の翼の天使とさまざまな奴等がいたが、やはりいずれも簡単に死んでしまった。

 

 「手ぇ、痛いし疲れたな」


 思わずそんな呟きをしてしまうほど自分は心身共に疲れ切っていた。 つい、もうどうでも良いと思ってしまうほどに。

 だけどここで止める訳にはいかない。 そう心を引きとめ、落ち着くため息をつく。

 その時だった。 体に激痛が走り何かと思い、思わず振り返ってしまい剣の一閃を喰らい欠けた。

 

 「つっ――?!」


 「あらぁ~唯のちゃんばらごっこのようにそれを振り回していたの思ってたのですが~」


 妙に間延びした声に、恐怖感を憶える。 もし今の一閃を避けていなかったらどうなっていた? そんな自問。 その答えは――自分の後ろの空間自体が歪んでいる事から、その位置から、確実に顔が分からぬうちに真っ二つになっていた。 それが断定できた。

 

 「じゃあ~皆手を出さないでね~?もし手出ししたら~分かってるよね?」


 皆?その意味が分からず焦点をずらして見ると、女性の後ろには神々ではなく人間が、先端が様々な色に光る短い杖を持っていた。 何かと思い凝視していると殺気が来たので後ろへ急いで跳ぶ。


 「こんな美女の前によそ見しないでよ~っ!」


 「自分の理想を知ってから美女って言えばっ」


 「あなたの理想に達してる筈よ~?背だってあなたよりも高いし~」


 間延びする声がどうも苛々するので短刀を握り締めてから一気に距離を縮め、女性の持つ長い剣……ロングソードと剣を交える


 「残念でした、自分を殺しにくるような女性には興味ないね。 それに本当は背はできたら自分よりも低身長の方が好きだし」


 本音を言ったすぐ、一瞬短刀がまた白に淡く光り、途端に女性の持つロングソードが半分の所まで切れる。 


 「つっ~~?!」


 「もう死んだから意味無いのでさらに言うけど、二歳年下って言うのが良いね。」


 本音を完全に暴露した途端、短刀がいきなりズシッと重くなり、いつの間にか三十㎝から倍の約六十㎝ほどまで伸びていた。 日本刀と一瞬考えたが短刀が伸びただけでその分類に入るのか疑問に思った。というかそれ以上に――


 「使い方分かんねぇー……」


 これが日本刀だとしても日本刀は大きく絞っても三つほどに分類されて、それぞれ使い方が違った筈なので、結果使い方なんて分かる筈も無い。

 そんな気持ちが通じたのか、半分の長さまで縮んでくれた。 重さは変わらないが。


 「さぁ、とっとと面倒なので来てくれるとありがたいんだけど」


 その言葉を聞いてか女性は声を上げながら剣を振り上げて飛び掛ってきた。 実際の事ながら相手を本当に殺したいならば声なんて上げず尚且つ隙ができる飛び掛りなどしない方が良い。

 

 「はああああぁぁぁぁぁああああ!」


 だけどそれが戦略ならば相手は油断して来るので最高だろう、自分のように。

 


 

 女性が飛び掛ってきたので自分は迎え撃てるように両手で短刀を握り締め、息を吐き落ち着かせる。

 そして直前の所で剣に狙いを定め一気に振りかぶった。


 「う、あ……?」


 女性は今までの神々のように光りの粒子となり消えるのではなく、血を噴出すのでもなく、致命傷を負って唯々トサッと音を立て倒れ伏した。


 何となく周囲を見ると先ほどまでいた人間はどこにもいなく、それが余計に無情感をせき立てた。











   ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 




  

 


   

 


 先ほどまでは……女性と戦うまではどうしようもなく苛々とし、唯恨みを晴らすように神々を殺していたと言うのに、今はどうしようも無い虚無感のような、そんな感情になっていた。 ここにいるときは――訂正、死んでからは暑さ寒さなど感じなかったのに、ここに来て急に体が冷えてきた。 そんな良く分からない感情を抱えたまま、唯々先へと進んでいくと、今まであった城ではなく巨大な門がそびえ立ち、傍らには一人の少年が門に寄り掛かっていた。


 「お前は――ここまで来て、神々を殺して何を思う」


 自分はなぜかその問いに答える事はできなかった。 体が震え、目の前の相手に……怯えではなく負い目を感じていた。 無性に目の前の相手に謝罪ではなく懺悔をしたくなった。

 その自分の姿を見るに耐えなかったのか、少年は目を逸らし重々しくも口を開く。


 「お前の不幸は――否、幸せになりたいと言う願望は誰よりも何よりも強かった。 故にお前は自ら不幸を呼び寄せて願った。 そんな馬鹿な奴がこの門を通り、まだ周囲を不幸にしながらも、諦めずに変えようと言うのか?」


 問いに答えられないんじゃない、聞かれてる意味が分からない。 少年の言っていることを理解しようにも、自分の知らないし分からないんだから答えようが無い。

 その戸惑う様子に見かねてか、少年は今度は問いではなく話しかけてくる。


 「お前はだから駄目なんだよ」


 「は……ぁ……?」 


 「---------」



 そう言われた途端目の前が白く霞み、反論する前に意識を失ってしまった。

 直前で何かを言われた気がするが、そのまま倒れ伏した。

  


 



    ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ 








 


   

編集三月八日

もう絶対編集はしないはず。

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