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魔神の子  作者: 天野 竜
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第1話

 少女が書類に目を通し、黙々と仕事をこなしていく。

「すまない」

 そう声を掛けられ正面を向いた。

 全身黒づくめの少年がいた。

「え?」

 と驚いた声を上げた。

 いくら仕事をしていたとはいえ、正面から来る人物に気が付かなかったのだ。

 突然の出来事に、綺麗な碧の瞳を丸くし、形の良い唇を開け、癖で自分の長い金髪を弄っている。

「ギルドに登録したいのだが」

 少年は気にした様子もなく淡々と話を始める。

「あ、はい!」

 少女・・・リンも自分が座っている席で受付業務も行っていることを思い出し、対応を開始する。

「ギルドの説明をいたしましょうか?」

「爺から聞いたが・・・一応頼む」

「わかりました。

 まず、ここ迷宮都市ルディエでは大小様々な迷宮があり、ギルドは迷宮の調査・探索を支援する組織です。

 支援の内容としましては、迷宮内での依頼の斡旋、素材や財宝の鑑定・買取、迷宮内での情報を閲覧などが上げられます。

 つぎにランクについての説明です。ランクは高くなければ、受けられない依頼や閲覧できない情報、入ることが出来ない迷宮などがありますので、無理のない範囲でランク向上を目指してください。

 ランクを上げる方法ですが、これは単純に迷宮の最も深くまで踏破した階層数で決まります。0~49階層までがGランク、50~99階層がFランクと50階層毎に徐々に上がり300~349階層がAランク、その上に350~399階層がSランク、400~449階層がSSランク、450~499階層がSSSランク、500階層以上はExランクとなっております。なお歴史上の最大踏破数は512階層となっておりますので、ランクは一般的にExまでとなっておりますが、もし1000階層以上を踏破されました探索者にはEx+というランクがございます。

 最後に迷宮内でおきた負傷や死亡はギルドでは一切責任は負いませんので、それらを承諾した上で登録をお願い致します。

 なお、不明な点がございましたら、その都度お気軽に受付にご確認ください。

 ご説明は以上です。よろしいでしょうか?」

「ああ、問題ない」

「では、こちらの書類にご記入をお願いします」

 少年が記入を始める。その間リンは少年を観察する。

 リンは自分に気づかれず近づいた少年に並々ならぬ関心が芽生えたのだ。

 歳は十代半ばから後半、リンと同年代ぐらい。

 黒髪黒目で顔立ちは美少年というほどではないが、そこそこ整っている。

 服装は黒のシャツに黒のズボン、ジャケットも黒で極めつけに靴まで黒。手と顔以外は黒一色で闇に紛れたら視認不可能かもしれないと思わせる服装だ。

 最後に探索者にとって最も大切な道具であり、相棒であり、証である武器に目を留める。

 腰の左右に吊るした二振りの剣、剣は一般的なものであるが少年のものは少々特異だ。

 幅は一般的な片手剣と同じものだが、長さがかなり短い。戦闘用のナイフと剣の長さの中間ぐらいの長さで、更に厚さが剣の倍近くある。明らかにオーダーメイドではあるが、あれでは重さや遠心力で叩斬れないし、鋭さや手数で攻められない。攻撃可能な範囲や取り回しについて考えても中途半端なものに思える。

 もしかしたら、本命の武器は隠しているか、宿辺りに置いてきているのかも、と考えている時。

「終わったぞ」

「はい、それでは確認させていただきます」

 そして、リンは書類に目を通す。


 名前:レン

 年齢:16

 性別:男

 出身地:ガルク山

 戦闘方法:剣


「ん?」

 大体予想通りだったが、一つだけ不可解な点があった。

「あの、出身地がガルク山ってあのガルク山ですか?」

「どのガルク山かは知らないが、ガルク山という山はたくさんあるのか?」

「い、いいえ!ですが、ガルク山は年中魔物が跋扈する魔の山だと・・・」

「まあ、魔物はいたな」

「近くに村もないはず・・・」

「山中に小屋を建てていたしな」

「・・・」

 もはやリンは少年・・・レンに突っ込むのはやめた。

 これ以上は自分の常識が崩れ落ちそうだし、登録書類は形式的なもので、例え嘘が書かれていたとしても問題ない。

 それに、これ以上不要な問答を続けるのはギルドの職員としてもよくない。

 そう思い手続きを次へと進める。

「では、次に刻印の書き込みに入ります。刻印の説明をいたしましょうか?」

「ああ、頼む」

「はい。迷宮内には当然魔物が出ます。魔物を倒すと魔力素というエネルギーに変換されます。魔力素は素材や様々なアイテムに再構成されますが、余ったり再構成されなかった分は探索者のために、魔力素を取り込んで能力を向上させる。そのためのシステムが刻印です。

 具体的には、探索者はレベルという概念があり、肉体に一定量の魔力素が溜まるとレベルが上がると能力値が向上します。

 確認する手段としまして、刻印の書き込みを行いますと対になるカードが配布されます。そのカードにレベル、能力値、必要魔力素などが記載されていますので、そちらでご確認をお願いします。

 以上です。何かご質問はございますか?」

「いや、ない」

「それでは刻印の書き込みを行います。こちらにどうぞ」

 レンはギルドの奥の部屋へと導かれる。

 床も、壁も、天井も染み一つ無い白で神聖な感じがする部屋だ。

 唯一、部屋の中央に宙に浮いている水晶が異質に感じるが。

「こちらの水晶に手を翳してください」

 レイはそう言われ水晶に手を伸ばす。

「つっ・・・」

 突然、左肩に激痛が奔る。

 袖を捲くり見てみると、蒼い紋様が浮かんでいた。

 鍵の形をした紋様で、これが刻印かとまじまじ見てしまう。

 ふと前を向くと掌サイズの板切れが水晶から出てくる。

「これは・・・」

「こちらが刻印と対になる探索者カードです」

 リンが説明する。

「内容確認のために拝見させて頂いてよろしいでしょうか?」

「ああ」

 レイが許可を出す。

「それでは、拝見いたします」


 名前:レン

 年齢:16

 レベル:1

 腕力:98(F)

 耐久:102(E)

 魔力:68(F)

 精神:201(C)

 俊敏:173(D)

 幸運:83(F)

 最大踏破階層:0

 ランク:G

 称号:基礎の塊、双剣の使い手

 スキル:悪運、気功術、魔力操作、剣技補正、加速、隠密行動、気配察知、気配隠蔽、見切り、罠察知、罠解除、鍵開け、魔法剣、毒耐性、魔法(火、水、風、氷、雷、補助、治療)

 職業:なし

 魔力素:0 次のレベルまであと100

 備考:なし





「え?」


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