仕事
気を取り直し、私たちは花をいじっているおじさんのもとへいった。
「この人は、ここの庭師でアンさんの旦那さんよ。」
メイがおじさんを紹介してくれた。
「ロイック=ラドリーです。よろしく夕美ちゃん」
あれ?
「なんで、私の名前知っているんですか?」
「あぁ、昨日君のお兄さんに会って宜しくと頼まれたしね(笑)」
「・・・」
「ちょっと過保護だけど、良いお兄さんだね♪」
「はい♪」
「と言うことで、よろしくね。」
「あっ、こちらこそ宜しくお願いします。」
そういって、ロイックさんにごあいさつ。
そしてお互い挨拶が終わると、メイと一緒に端っこにある井戸へ行きまずは水汲み。
そして、大き目のジョウロに水を入れ花に水をあげる。
ジョウロは鉄で出来ていたけど、軽かった。
2人で水をあげている最中メイに聞いたら「それは、軽くなる魔法が掛かっているから」
だって。
それでもこの広さ、たくさんのお花に2人でも水をあげるのは一苦労だった。
これを、一人でやっていたメイはすごいと思った。
そのことをメイに言ってみると、実際は時々ロイックさんやほかの人たちに手伝ってもらっていたそうだ。
どうにか、お昼の鐘の音が聞こえ少したったころ無事終わった。
私たちは、ロイックさんに「お先に失礼します。」と一言うと、
「じゃ、また明日。」と、言ってくれた。
良いおじさんだ。
そして、メイと昼食をとるために食堂へ。
相変わらず、混雑していた。
昼食が終わり、一休みすると食堂の裏へ向かった。
すると、野菜がごろごろしていた。
メイは、「じゃ、やろっか!」
そういうが、私はこの世界の野菜事情なんて全く知らない。
「メイ・・・あの・・・出来れば、教えてもらえる?」
「えっもしかして、刃物持ったことないの?」
「いや、そっちじゃなくて・・・。」
「どの野菜の皮を、どんなふうに剥いたら良いか。」
「・・・とりあえず、そこの緑の丸い野菜の皮をこうやって剥いていこう。」
緑・・・この世界の野菜たちは教えてもらっていくととてもカラフルなことが判明。
けれどそれは、皮だけで皮は硬く食用に向かないそうだ。
だから、食堂でご飯食べてても、気づかなかったのか。
黙々とメイと一緒に野菜たちと悪戦苦闘していると昨日メイの元に連れてきてくれたアンさんが
やってきた。
「どうだい、調子のほうは。」
「あっはい、おかげさまで。」
「あんたが、来てくれて助かったよ。メイもいい加減一人じゃかわいそうだったしね。」
「私のほうも、行くとこ出来て助かりました。おかげさまでメイと仲良くなれましたし。」
「そうかい!そりゃ、よかった!!」
「まっなんかあったら、いつでも言ってきて良いんだからね。あんたの兄さんから
くれぐれもってたのまれたしね。」
「兄が・・・すいません。」
「いいんだよ!家族を心配するのは当たり前のことなんだから♪ほら、手動かして」
「あっはい!」
「じゃ、メイも夕美もがんばりなよ」
どうやら、アンさんは様子を見に来てくれたらしい。
それにしても、ロイックさんといい、アンさんといいホント良い人だな~。
似たもの夫婦ってやつか?
そんなことを考えながら手を動かしているうちにどうやら最後の一個になったらしい。
最後の一個も皮をむき終わり、今日の仕事しゅうりょ~。
「おわったね♪」
「お疲れ様♪」
「メイもお疲れ様♪」
そう言って、あと片づけをして、夜ごはんを食べて部屋へもどった。