ユミの来る前の隊長
私が仕事を終えるちょっと前の事。
執務室に入って隊長を呼びにトトカが呼びに来た。
「隊長~。王子に呼ばれてます。」
「・・・・・・。」
「寝てるぞ?隊長。」
今言ったのは、ナサリオ。
とりあえず、例の言葉で起こしてみるか!と、
隊長を呼びに来たトトカが起こすことになった。
隊長の耳元で「アンさんがいらっしゃってます・・・。」
この一言の絶大な事。
目をぱっちり開け、周りをキョロキョロ、何処にいるんだよ!半分座った目で
睨みを利かしてくる・・・
起きた今がチャンス!!とばかりにトトカは「王子がお呼びです」と一言。
すると、「判った。」と言って立ち上がり執務室を出て言った。
トトカの役目はここまで。
廊下に出て王子の居る部屋に向かった隊長は、一体何で呼ばれたのか判らなかった。
一応、普段寝ていてもちゃんと仕事はこなしているし、これと言って問題もない。
親も特に問題を起こしていないはず・・・
問題・・・あれはもう帰って来たから関係ないはず・・・
もしや、お袋が変なこと王子に頼んだ訳じゃないよな?
まさかな?
そんなことを色々考えながら歩いているとあっという間に着いた王子の居る部屋。
分厚いドアをコンコンとノックすると中から「入れ」と声がかかった。
「失礼します。」
そう言って、ドアを開け中に入りドアを閉めると
いつもの態度に戻る。
「で、俺の睡眠の邪魔した理由ってなんだよ。」
「はぁ~やはり寝てたか・・・」
「悪いか」
「別に、お前の隊の場合仕事はキッチリしてるから文句は無い」
「じゃぁ、邪魔するな」
「いや、そうもいってられなくなってな」
そう言って話していると、王子がメイドにお茶を催促し
「立ち話もなんだから、まぁ座れ」
2人は、座りお茶を一口飲み一息入れると、
「この間のヨハンナ嬢は覚えているか?」と王子は問い、
又2人は話し始めた。
「あぁ、あのしつこいお譲さんだろ?」
「そうだ。」
「それが、どうかしたのか?」
「来た。」
「どこに?」
「この国」
「マジ?」
「あぁ。」
「・・・・・」
「追いかけて来たらしいぞ、お前を。熱烈だな(笑)」
「勘弁してくれ!」そう言って隊長は、両手で頭を抱えた。
「あっでも、直ぐに帰るんだよな?なっ?」
「それが、ちょっと厄介でな・・・」
「兄経由で、お前の身近なとこでメイドとして雇ってほしいと。」
「思いっきり、権力使いまくりじゃねーか!」
「「はぁ~。」」
「まぁ、今回は自国だしメイドとして扱ってやってくれ。」
「客じゃなくて、メイドでいいんだな?」
「あぁメイドで、頼む。」
「判った。」
話が終わると、
王子が先に言って一番被害が出るであろう夕美に謝ってくるといって
部屋を出て言った。
ヨハンナ様は、後から来るから執務室へ案内しなければならない。
2人っきりってだけでも憂鬱だった。
しばらくは、夕美に(仮)恋人を続けてもらうか・・・
と思いながら部屋で待機していた。
おはようございます。
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