第一話「精霊王女、人間界へ」
ミリィを見に来てくれてありがとう!
この物語は、精霊界の王女でありながら、好奇心に勝てず、人間界へ飛び出してしまった少女――ミリィの学院生活を描いたファンタジーです。
本人は「普通の留学生」のつもりですが、実際はとんでもない実力の持ち主。
そんな彼女が精霊王女としての立場を隠しながら、魔術学院でどんな日々を過ごすのか、ゆるく楽しく書いていけたらと思っています。
まずは、人間界に降り立つところから物語が始まります。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
(ミリィ)「人間界って楽しそうだから来てみたんだけど……魔術学院ってどんなところなんだろう? わくわくするなぁ!」
それでは――
精霊王女の学院生活、開幕です。
眩い光が弾けた次の瞬間――。
ミリィの身体は、ふわりと宙に浮かんでいた。
「わぁ……!」
視界いっぱいに広がるのは、青い空。
その下には広大な大地と、遠くまで続く森や川が見える。
精霊界とは、まったく違う景色だった。
「ここが……人間界……!」
ミリィは空中でくるりと回りながら、目を輝かせる。
しかし次の瞬間。
「……あれ?」
ミリィは気づいた。
自分の身体が――落ちている。
「え、ちょ、ちょっと待って!? お、落ちてる落ちてる落ちてるー!!」
地面がどんどん近づいてくる。
精霊界なら空を飛ぶのは簡単だが、今は転移直後で魔力の制御が乱れていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
その時。
ミリィの身体がふわりと浮いた。
見えない風が、優しく彼女を包み込んだのだ。
「ふぅ……びっくりした……」
ミリィは、ゆっくりと地面に降り立つ。
どうやら、無意識の内に精霊が助けてくれたらしい。
ミリィは周囲を見回した。
足元には、風に揺れる草原。
森の木々からは鳥のさえずりが聞こえる。
そして――
遠くには、大きな街が見えた。
「……!」
ミリィの瞳が輝く。
「本当に来ちゃった……人間界!」
その瞬間。
森の向こうに、ひときわ大きな建物が見えた。
白い塔がいくつも並び、魔法の結界が淡く輝いている。
壮大な魔術学院――
ルミナリア王立魔術学院。
「ここが……!」
ミリィは小さく拳を握る。
「よーし!」
そして宣言した。
「今日から、私は――」
少し考えてから、
「ミリィ・ルーベル! 辺境から来た、普通の留学生です!」
もちろん、偽名であり、普通ではない。
むしろ――
世界最強クラスの魔法使い。
だが、それは今は秘密。
ミリィは、そのまま森の方へと向かって歩き出す。
胸の中は期待でいっぱいだった。
「授業楽しみだなぁ……! 友達できるかなぁ……あ、学院のケーキって、美味しいのかな?」
だが――
ミリィはまだ知らない。
この学院生活が……
正体バレの危機、魔族の襲撃、六翼の捜索、様々な騒動を巻き起こすことを。
その頃。
精霊界では、すでに――
王女失踪の報告が上がっていた。
六翼の団長ヴァルドランが、静かに言う。
「……ミリシア(ミリィ)様が、消えた」
副団長セレストの顔が青ざめる。
「ま、まさか……また、城を抜け出したんですか!?」
これは、精霊界最大の捜索が始まろうとしていた。
その頃。
当の本人は――
「うふふ、入学試験……楽しみだぁ!」
のんきに笑っていた。
第一話「精霊王女、人間界へ」を読んで頂き、ありがとうございました。
ついに、ミリィが人間界へやってきました。
本人はのんびり学院生活を楽しむつもりですが、精霊界ではすでに大騒ぎ。
六翼も動き出しています。
この先、学院生活の中で友達ができたり、騒動に巻き込まれたり、時にはミリィの力が暴走したり……色々な出来事が起こる予定です。
宜しければ、感想やブックマークなど頂けると、とても励みになります。
それでは、次回も宜しくお願いします。
(ミリィ)「えっ!? 六翼が探してるの!? ちょっ、そ、それは、マズイかも……あはは。で、でも、きっと大丈夫! バレない……よね? 多分――」




